防災リスクマネジメントWebでは、このメディアから配信される情報が、日本各地の防災力向上に資するメディアたり得ているかどうかを外部評価していただくため、中央省庁や自治体、専門家の方々に「防災リスクマネジメントWeb外部評価委員」を委嘱。交替で「気になった記事」という形で、当Webのコンテンツをチェックしていただきます。
国連笹川防災賞で日本から初の受賞者−外部評価委員・西川智
西川智 国土交通省水資源政策課長
10月10日の国際防災の日に、国連ジュネーブ本部で国連笹川防災賞2007の授賞式が執り行われ、人と防災未来センター長で京都大学防災研究所所長の河田惠昭教授が、日本からは初めて受賞した。この賞は、1986年に防災分野での国際的な賞として国連に設けられ、国際防災の分野では大変名誉のある賞として国際社会では知られている。日本は防災分野の研究と実践では世界でも最も熱心な国でありながら、意外なことに、日本にご縁のある方では、これまではペルーの日系人の地震防災研究者であるフリオ・クロイワ氏が1990年に受賞されただけである。
そのせいか、誠に残念ながら、河田氏の受賞を報じた日本のマスコミは全国紙1紙が後日、人欄で報じたのみで、防災リスクマネジメントWebでも取り上げられなかった。しかしながら、今回の受賞は、日本で防災教育や防災広報を実践している者が共同して慶賀すべき快挙であることをここでご紹介したい。
2005年1月、神戸のポートアイランドで開催された「国連防災世界会議」は国連総会決議に基づく正式(国連総会と同等の国際的拘束力のある)な会議として、空前の168カ国の参加を得て1月18−22日の間、開催され、当時の村田吉隆防災担当大臣が総会議長となり、会議最終日の22日に、05年から向こう約10年間に国際社会として防災のために取り組むべき共通の指針として「兵庫行動枠組み(HFA)」を168カ国の合意文書として採択した。
その直前にスマトラ島沖大地震・インド洋大津波があり、「災害に対する予防策を講じれば、犠牲者は減らすことができたはずだ」ということが国際報道の中で周知された直後で、先進国の中では異例に自然災害の苦い経験の豊富な日本での国連会議は、国際的な注目を集め、会議は大成功裏に終了した。
◇人と防災未来センターでの教育啓発の取り組みに評価
この会議の際に、参加者のための見学先として最も人気を集め、皆が驚嘆と賛辞の声をそろえたのが神戸市中央区にある人と防災未来センターである。1995年1月の阪神・淡路大震災の苦い経験を世代と国境を越えて伝えることを狙いとして02年4月に開設され、以来270万人以上の見学者が訪れた世界でも類例のない施設だ。春と秋の修学旅行シーズンには、団体バスがその前に列をなし、まさに、日本の防災教育実践の「聖地」の観を呈している。05年1月に採択された「兵庫行動枠組」では、防災教育と防災に対する意識啓発がいかに重要であるかを力説しているが、そのお手本が日本の防災教育でのさまざまな取り組みであり、その中でのシンボルは神戸の「人と防災未来センター」である。
今回の河田氏の受賞は、日本でのこのような先進的な取り組みを、今後各国が参考にしてもらいたいという意図が背景にあってのことである。時間があれば、兵庫行動枠組みをご覧いただければと思うが、実はこれは、日本の災害対策基本法に基づいた中央防災会議を中心とした防災体制をベースに作られたものであることに容易に気づかれるだろう。
防災は事後の対応だけではない、事前の予防的施策、災害リスク軽減のための社会的投資、災害情報伝達、防災意識啓発、国レベルからコミュニティーレベルまでの各層にまたがる防災体制の必要性、マスコミや教育セクターの防災活動での役割、などなどが列挙されている。
今回の受賞は、2005年1月に、国際社会が基本とすべき防災体制のdefactoスタンダードの見本とされた日本の防災のなかで、防災教育・防災広報の分野に再び国際社会が注目した証しであることをここに強調しておきたい。(了)
(2007年11月16日配信)
宇部市防災課兼危機管理室防災係長 弘中秀治氏
時事通信社が「時事防災リスクマネジメントWeb」を立ち上げて防災に取り組まれられることは、同じ防災に関わる者としてたいへんうれしく思います。
日々更新される「今日の防災一覧」や「災害HOT NEWS」は、特に中央や全国の情勢を知る上で大変役に立ちます。また、「取り組み事例紹介」では、地方自治体職員にとって経験することの少ない貴重な事例を学ぶことのできる優れものだと思います。このほか「会見詳報」は、中央の記者会見の様子をうかがい知ることのできる楽しみなコーナーとなっています。 今後も各自治体の元気な取り組みや中央の最新の動きをご紹介いただき、防災担当者にとって楽しみとなるような情報提供を期待しています。
東京大学地震研究所教授 島崎邦彦氏
ニュースにうとい人間で、私が知ったことは既に皆が知っていることだと言われておりました。しかし、防災Webのおかげで、悪名返上に向かいつつあります。防災Webの良いところは、忙しくて見逃したニュースが辿れること。また、事件発生などで新聞、TVなどに取り上げられないニュースが捕まえられること。地方版のニュースも同様です。
防災Webの強敵は、検索エンジンが提供するニュースメールでしょう。これは無料なのが強みです。ただ毎日見ていないと、あっと言う間にネットから消えたり、有料になったり。やはり今のところは防災Webですね。
NTT東日本サービス運営部災害対策室長 東方幸雄氏
昨年の尼崎列車事故や東証のシステムダウンなど社会的に影響の大きな事件・事故に対し、指定公共機関としてリスクマネジメントの強化が望まれています。従来は、あちこちの事件・事故に関わるwebを検索する必要がありましたが、「防災Web」の検索できめ細かに把握でき、また過去の事象もファイリングしてある ので助かります。
他の民間会社からプッシュ型で配信してもらっているものも併用し、有事の際の対応の迅速化ができればと思っています。
このほかの外部評価委員のみなさん
板橋区契約管財課長 鍵屋一氏
総務省消防庁防災課長 金谷裕弘氏
神戸市保健福祉局長 桜井誠一氏
練馬区介護保険課係長 高橋洋氏
国土交通省近畿地方整備局長 布村明彦氏
名古屋大学大学院環境学研究科教授 福和伸夫氏
関西学院大学総合政策学部教授 室崎益輝氏
東京海上日動リスクコンサルティング情報グループリーダー 指田朝久氏
2008年4月1日現在

