防災や危機管理に関する多様な本が出版されています。防災リスクマネジメントWebでは、筆者や編集者から、各地の自治体担当者にその本をどう読んで欲しいかのメッセージをいただいて紹介していきます。
 期間限定で、読者プレゼントも行います。無料トライアル中の方も対象となりますので、ぜひ、ご登録下さい。

秀吉を襲った大地震

秀吉を襲った大地震 地震考古学で戦国史を読む
寒川旭(2010/1 平凡社新書・903円)

著者からのメッセージ
 寒川旭 産業技術総合研究所招聘研究員
 豊臣秀吉は、波乱万丈の人生で、2度も大地震に遭遇した。まず、1586年に発生した天正地震。琵琶湖南西岸の坂本城にいた彼は、肝をつぶして大坂城へ逃げ帰った。その後は、着々と天下統一事業を進めながら、京都に伏見城と城下町を築いて、巨大な大仏をそびえ立たせた。そして、得意の絶頂に達した時、再び、大地震に襲われた。1596年の伏見地震によって、城も大仏も皆、自らのプライドとともに崩れ落ちたのである。
 二つの地震は、秀吉を取り巻く戦国大名たちの運命を変えた。まな娘を失った山内一豊、末弟を亡くした前田利家。そして、背後の山腹の大崩壊によって、居城の帰雲城とともに地の底に閉じ込められた内ヶ嶋氏理。彼らの体験した悲劇や心の痛みは、地震に襲われた現代の人々の悲しみとも通じ合う。
 天正地震と伏見地震は、内陸の活断層から発生した。とりわけ、京阪神・淡路地域を壊滅させた伏見地震は、兵庫県南部地震と密接な関連のもとに生じた。つまり、伏見地震で京都盆地から淡路島にいたる一連の活断層が活動し、この時、おとなしくしていた淡路島北西岸の野島断層が、400年の歳月を経て地面を激しく揺らせたのである。
 本書には、地上の人間ドラマだけでなく、地下で繰り広げられる砂や粘土の激動の物語も登場する。つまり、地震に特有な、液状化現象や地滑りなどの地盤災害について、地震考古学の成果が満載されている。
 今世紀の中ごろまでに、南海トラフから巨大地震が発生すると言われ、それにいたる期間は、内陸の活断層からの地震が発生しやすいと考えられている。この意味で、私たちは、秀吉と同じく、内陸地震の時代を生きている。阪神・淡路大震災から15年の歳月が流れた今、振り返って学ぶべきなのは、戦国の世の人々が体験した大地震である!(了)

災害ボランティア文化

KOBEの検証シリーズ「災害ボランティア文化」〜阪神・淡路大震災15年と震つな
編集委員・栗田暢之、中川和之、菅磨志保、松田曜子(2010/1 震災がつなぐ全国ネットワーク・630円)

編者からのメッセージ
 栗田暢之 震災がつなぐ全国ネットワーク代表
 振り返れば何と災害の多いことか。いや応なしに相次ぐ災害現場にあって、災害ボランティアがいない現場はないと言っていいほど、日本社会にその存在意義を示し続けている。この歩みは、まさしく「文化」の創造である。
 しかし課題もある。ややもすれば災害ボランティアセンターやコーディネーターといった言葉だけが先走りしてはいないか。本当に災害ボランティアは被災者の声に耳を傾けてきたのか。阪神・淡路大震災から15年。改めて災害ボランティアの歩みを振り返り、震災がつなぐ全国ネットワークの自戒やざんげ、被災者支援にかかわる次世代や識者の方からの苦言も含め、今後の災害ボランティアの質的な転換の提言ともなる一冊です。防災の実務者の方なら、「よく、ここまで書いた」とびっくりされることでしょう。(了)

津波から生き残る

津波から生き残る そのときまでに知ってほしいこと
土木学会津波研究小委員会編(2009/11 丸善・1,575円)

著者からのメッセージ
 今村文彦 東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター
 我が国で「つなみ」という言葉を知らない人はいないであろう。しかし、津波の実態や被害の恐ろしさを理解し、発災時の対応を意識されている人は極めて少ない。津波注意報や警報が発表されても、海岸に津波を見にわざわざ行く人は後を絶たない。現在、自治体での津波避難率はわずか10%とも言われる。低頻度であるが、いったん発生すると甚大な被害を伴う津波の経験や教訓は、残念ながら十分に継承されるとは言えない。
 2004年スマトラ沖地震による津波の被害は史上最悪であった。当時、インド洋に津波警報システムが整備されていなかったために逃げ遅れ、インド洋全体で23万人以上にもおよぶ人的被害を出したと言われる。一方、地域での津波被害の伝承を受け継ぎ、地震の揺れの直後に、また、海面の異常な変化の後に、避難行動をとり、多くの人命が救われた事実もある。  津波は広域に影響が及ぶために人的被害が甚大になるが、地震発生後にある程度の余裕時間があるために、避難という行動をとれば多くの人命を守ることができる災害でもある。犠牲者ゼロも可能である。実際、07年9月に発生したスマトラ南地震による津波の犠牲者はいなかった。このように適切な対応をとるために必要なことは、一人一人の災害に対する正しい知識と高い意識を持つこと、それを行動に移すことと考える。
 04年のインド洋大津波の大災害の状況を踏まえて、津波防災に関連する研究者・実務者たちは、津波災害のメカニズムや津波予報・警報の重要性や被害を軽減するための対策など、様々な観点から研究や対策を進めてきた。これらの多くの知見は、国や地方自治体、国際機関などで津波防災対策として活用されようとしている。さらに、たとえ被災してもその状況を乗り越えていくためには、国や行政機関や研究者たちだけが備えや対策を検討し実施するだけではなく、私たちの社会を構成するすべての人々が自らのこととして考え備えることが肝要である。
 本書では、一般市民が、津波災害の恐ろしさを知り、津波の特徴を学び、津波災害から生き残る知恵を学び、津波災害に対して備えるために、第一線で活躍する津波防災の研究者・実務者がわかりやすく説明するとともに、最新の研究成果や具体的な市民による防災活動の事例を取り入れ紹介している。21世紀に入った今、世界各地で大きな被害を伴った地震および津波が頻発している。今後も活発な活動は続くと考える。過去の被害を繰り返さないためにも、本書を通じて知識を身につけ対策に活かすと共に、市民を対象にした防災教育や自主防災活動に活用していただきたい。(了)

※土木学会刊行物案内

地域防災力を高める

地域防災力を高める 「やった」といえるシンポジウムを!
山崎登(2009/11 近代消防社・1,890円)

著者からのメッセージ
 山崎 登 NHK解説委員
 私は自然災害の現場や防災対策を取材してきて、防災対策は、どんな小さなことでも、その人がやった部分だけ効果がでると思っています。
 地震の強い揺れで、食器棚からガラスや陶磁器の器などが落ちて散乱し、その上をはだしで歩き回った多くの人が、足の裏にけがをしたことがありました。ところが、その地震の取材で、私が会った一人の高齢の女性は、夜中にトイレに行く時のため、枕元に懐中電灯を置いていて、床の状況がわかり、スリッパをはいたために、けがをしなくてすみました。また断水で多くの家庭が生活用水に困っていた時に、風呂の残り湯をためる習慣のあった家庭では、その分だけ楽な避難生活を送っていました。
 もちろん、国や自治体などが法律を作ってシステムや制度を動かさなくてはできない防災対策もあります。しかしさまざまな現場をみて、やれることを、たとえ一つでもやっておけば、その分だけ効果がでるのが防災対策の基本ではないかと思うのです。
 この本では、災害現場で起きていることや、最近大きく変わってきた災害情報のこと、防災対策の課題、各地で催されている防災シンポジウムのやり方などを取り上げています。その中の一つでも興味のあるところを読んでいただき、身の回りや地域でやってみよう、取り組んでみようと思ったことを行動に移してください。
 地域の防災力を高めるために大切なのは、人と人のつながりを強め、コミュニティーをきめの細かいものにしていくことです。そうした努力は、さまざまな地域活動を盛んにし、暮らしやすい地域社会を作ることに役立つはずです。この本で、私は、防災を毎日の暮らしの中に組み込むためにはどうしたらいいのかを、皆さんと一緒に考えたかったのです。(了)

火山災害復興と社会

火山災害復興と社会
高橋和雄・木村拓郎(2009/11 古今書院・2,625円)

著者からのメッセージ
 高橋和雄 長崎大学工学部教授
 本書は、1990年から95年までの雲仙普賢岳噴火による火山災害で、復興開始期から復興終了までの間、必要に迫られて対応した地域および行政の取組みをまとめたものである。火山災害の発生期の災害応急対策から復興計画の策定までについては、拙著「雲仙火山災害と復興対策」(2000年、九州大学出版会)に詳しく触れており、本書はその続編に当たる。本書とセットで活用いただけたらと考えている。
 内閣府がまとめた2007年までの10年間の統計によれば、自然災害による死者1192人のうち、火山災害による被災はゼロである。内閣府は、同年に自然災害の「犠牲者ゼロ」を目指す取組みとして、実際に直面する可能性の高い自然災害による被災事例について必要な対策をまとめたが、火山災害については、新たな技術開発やハード対策が提案されていない。
 しかし、火山災害に対して我が国の災害予防、災害応急および復旧・復興対策が完備しているわけではない。東京大学地震研究所藤井敏嗣教授が指摘するように現在は火山噴火の静穏期に当たっているためで、火山噴火の歴史が教えるように、今後規模の大きい火山噴火が発生する可能性は十分にある。
 雲仙普賢岳の火山災害からの復興から、(1)手がつけられないような甚大な被害から手掛かりをつかんで立ち上がる人間のすばらしさ、(2)災害復興の主役は紛れも無く地域住民、(3)工夫をし、挑戦すれば成し遂げることができる、(4)復興にはアイディアが必要、(5)面的な整備事業の充実が不可欠、(6)弾力的な事業の推進が必要、(7)事業間の調整能力が必要で、コーディネートできる人材が地域にも行政内にも必要−と私は考えている。これらを体系的にまとめてシステムとすることが次のステップである。
 この本で取り扱った復興に関する内容は、1995年の阪神・淡路大震災、2000年有珠山噴火などにおいて、よりシステム化された。また、近年設立された日本災害情報学会や日本災害復興学会の活動で、本格的に議論されている。この本が、地域全体に影響を及ぼし、復興が困難な火山災害の復興を考える場合の参考になり、火山災害対策のシステム化に役立つことを期待している。(了)

防災人間科学

防災人間科学
矢守克也(2009/9 東京大学出版会・3,990円)

著者からのメッセージ
 矢守克也 京都大学防災研究所教授
 自著の紹介としては異例かもしれませんが、まず本書の表紙についてご紹介したいと思います。それが、本書に込めた私の思いを伝える早道だと思うからです。
 表紙には、山田実希さん(神戸市立だいち小5年生=当時)が書いた書を使わせていただきました。この書、今も、だいち小学校に飾られています。書かれている詩は、まもなく発生から15年を迎える阪神・淡路大震災の被災地で歌い継がれてきた「しあわせはこべるように」(臼井真さんの作詞・作曲)です。この信じられないほど力強く素晴らしい書は、未曾有の震災から立ち上がろうとしてきた被災地の方々の強い気持ちを表現しているように思います。
 この本は、阪神・淡路大震災がなければ生まれることはありませんでした。正確に言えば、関西に暮らす私自身が、阪神・淡路大震災を「内側から」経験することがなければ誕生することはなかったでしょう。本書の帯には「防災の心理学から減災のアクションリサーチへ−震災被災者が生きてきた時間によりそいつつ、その体験を学び、語り、伝え、防災実践の共同体を作る。実践のフィールドから構想する新しい防災学へのいざない」とうたっていただきました。
 15年間にわたって被災地とかかわってきた研究者として、私は、被災地の内側に立って、当事者の傍らに寄り添いつつ、しかし同時に、徹底して深く考えることを心がけてきたつもりです。その成果の一部が、被災者の方と共に歩んできた語り部団体での活動であり、防災ゲーム「クロスロード」をはじめとする防災教材の開発です。
 世間では、「役立つもの」と「理屈っぽいもの」とは、互いに矛盾すると思われがちです。しかし、本書のタイトルに掲げた「人間科学」を支えるアクションリサーチ(実践的研究=研究的実践)のアイデアを初めて世に問うたレヴィンという研究者は、50年以上も前に「よき理論ほど実践的なものはない」と喝破しています。
 日々、それぞれの役割に向かい合っている皆さんに、熱い思いに支えられた現場での実践と考え抜かれた理論との美しい競演を本書に感じていただき、皆さんの取り組みのどこかに役立てていただければ、筆者としてこれに勝る喜びはありません。(了)

時事通信オンデマンドブックレットシリーズ
新型インフルエンザ国内初! 神戸市担当局長の体験的危機管理

時事通信オンデマンドブックレットシリーズ
新型インフルエンザ国内初! 神戸市担当局長の体験的危機管理
桜井誠一 神戸市保健福祉局長著(2009/10 時事通信社・840円)

著者からのメッセージ
 桜井誠一 神戸市保健福祉局長
 神戸市内の高校生が、5月16日に国内初の「新型インフルエンザ患者」となり、さまざまな対応や判断を迫られていく中にあって、時事通信の「防災リスクマネジメントWeb」を通じて掲載いただいた情報が、私どもにとっては本当に貴重なものだったことを防災Web外部評価委員の記事として書きました。それをきっかけに、私たちが体験した危機について、3カ月にわたった集中連載を行い、ブックレットになりました。
 危機管理は理論も大切ですが、実際の体験を聞くことや体験記録を読むことは大切です。それによって実際に起こることを身近に感じ、場面を想像できます。そして、創造力を発揮し、危機への予測や対策が生まれます。この連載では、事実だけでなく、私がその現場でどう感じたのかもできるだけ書き残すようにしました。
 ただ、体験談にも一方的な見方に陥るという危険性が潜みます。そのため、この連載では、異なった視点から課題提起をしていただけるよう、横浜市の上原さんや練馬区の高橋さん、京都府の今井さん、芦屋市の今石さんにコメンテーターとして登場いただきました。同じ時期に、新型インフルエンザ対策最前線にあたった方々ですが、都市の規模、組織の規模、府、市、特別区といった違いがあり、そのコメントは様々な自治体の方々の参考になるでしょう。また、国土交通省で広報課長を経験された渋谷さんにも、防災危機管理広報の本質について指摘をいただきました。リスクコミュニケーションの理論だけでなく、実践的に学ぶための教材開発もされている慶応大の吉川さんや、中川編集長にも協力いただきました。
 自治体の方だけでなく、多くの方にこの本をお読みいただいて、参考にしていただければ幸いです。明日はあなたが当事者かも知れませんから。(了)

どう伝え合うクライシスコミュニケーション

危機管理マニュアル どう伝え合うクライシスコミュニケーション
吉川肇子、釘原直樹、岡本真一郎、中川和之(2009/9 イマジン出版・1575円)

著者からのメッセージ
 吉川肇子 慶応大学商学部准教授
 新型インフルエンザの発生直後に、防災リスクマネジメントWebでも紹介しました健康危機管理時におけるクライシスコミュニケーションマニュアルが、書籍として出版されました。これは、私が研究代表者を務める平成19、20年厚生労働省科学研究費補助金「健康危機管理時におけるクライシスコミュニケーションのあり方の検討」の成果ですが、一般書店で販売されるので入手しやすくなりました。また、書籍化にあたって、マニュアルの内容を一部加筆修正しました。
 以前、内容は「【研究リポート】少しでも混乱を避けるために(090501)」で紹介しましたので、ここでは著者についてご紹介しましょう。釘原直樹先生は、パニックや避難行動の専門家で、数多くの事故事例の分析や実験をなさっておられます。また、「テロリズムを理解する」という本の翻訳もなさっています。岡本真一郎先生は、言語表現の効果を心理学的に検討されている大家です。時事の防災Web編集長の中川さんにも著者として加わってもらい、新型インフルエンザ発生以降の対応について、ジャーナリストの視点から検証してもらいました。取材の最前線からの情報満載、必読の内容となっています。
 危機的状況で人間がどのように振る舞うのかが知りたいと思われる方は、また、市民への情報の言葉遣いに悩まれる方には、ぜひお読み頂きたいと思っています。(了)

土砂災害から命を守るポケットブック

土砂災害から命を守るポケットブック−地域防災力を高めるために
砂防技術研究会(2009/8 砂防・地すべり技術センター・送料込み300円)

著者からのメッセージ
 菊井稔宏 砂防・地すべり技術センター砂防部次長
 土砂災害から人命だけは守ろうとする対策が国や都道府県などによって実施されていますが、現実には毎年土砂災害により多くの人命が失われています。なぜでしょうか。財政的理由から砂防えん堤などハード対策が充分にできないこと、地球温暖化による豪雨の増加、行政による防災対応の限界、災害に対する正常化の偏見など、さまざまな要因が考えられます。
 そこで、著者らは、少なくとも土砂災害から人命を守るために何が必要かを検討し、現在の行政の警戒避難のシステムに加え、一般住民や防災リーダを対象とした簡便な自主避難マニュアルの作成が必要と判断。豪雨時に土砂災害の発生を感知し避難するためのチェックリストとその解説書をポケットブックとして作成したものです。実際に土砂災害に遭いながら、地元住民の判断で無事避難ができた事例や、土砂災害に備えがないまま被災したケースなど、具体的な例をもとに、チェックポイントを分かりやすく整理しました。
 防災は、誰かがやるものでも行政だけにまかせるものでもありません。行政、住民、みんなで防災情報を共有し、「自分の身は自分で守る」という意識をもって、災害に対応していきたいものです。
 なお、本書は住民だけでなく、国や都道府県、市町村の防災担当者の皆さまにも一読いただき、地域の防災力を向上させるとともに、防災担当をする側からみた自主避難のあり方や行政の責任として発令する避難指示・勧告などの参考にしていただければ幸いです。(了)

※ 入手方法の問い合わせが多く、送料込みで1冊300円で頒布することにしましたので、砂防・地すべり技術センターにお申し込み下さい。

未曾有の大災害と地震学−関東大震災

未曾有の大災害と地震学−関東大震災 シリーズ繰り返す自然災害を知る・防ぐ第6巻
武村雅之著(2009/8 古今書院・2940円)

著者からのメッセージ
 武村雅之著 鹿島建設小堀研究室プリンシパル・リサーチャー
 関東大震災は各地で多くの悲劇を生んだ。その中でも本所被服廠あとの火災旋風と根府川・米神(現・小田原市)での土砂災害は歴史上類をみない大惨事となったが、詳細になると分からないことも多い。真の姿をもとめ、できるだけ正確に86年後の今に伝えるべく、地震学者のいわば実況見分調書作成が前半のテーマである。正確な実況見分調書は、懸念される首都直下地震や岩手・宮城内陸地震で再認識された土砂災害の脅威への対応に役立つものである。
 後半では、すべての被害の元凶である地震の発生原因を究明する歴史を振り返る。いわば関東大震災の犯人捜査の歴史である。犯人捜査の担い手はもちろん地震学者である。なぜ地震が起こるのか、震源の正体は何かということは長い間地震学の大きな研究課題であった。それらを解き明かす歴史はまさに地震学の歴史そのものである。
 地震災害の多い日本の社会において、地震学者はただ単に犯人を見つけることだけでなく、災害軽減にいかに資するかを期待される。これは刑事に犯罪撲滅を期待するようなものである。このため日本における地震学の歴史は、このような社会の期待にいかに応えてゆくかという地震学者の試行錯誤の歴史でもあった。現代における地震学者の社会的役割とは何か。筆者も悩むこの問題を最後に考えてみたい。本書を通じて、日本における震災とその対策についての歴史的背景を知ることが、皆さんの防災対策に役立つことを期待する。(了)

健康リスク・コミュニケーションの手引き

健康リスク・コミュニケーションの手引き
吉川肇子編著(2009/7 ナカニシヤ出版・2835円)

編著者からのメッセージ
 吉川肇子 慶応大学商学部准教授
 本書は、リスク・コミュニケーションを実施する際の手引き(マニュアル)として企画されたものです。日本のリスク・コミュニケーションマニュアルは、海外のものを翻訳した例はありますが、日本語の言語表現を含めた検討がなされていないという問題点がありました。また、私たち心理学者が読むと、根拠となっている心理学的な理論やデータが推論できるのですが、翻訳されて「ハウツー」の形式で示されていると、「なぜAという行動がBという行動よりも推奨されるのか」という理由がわかりにくくなっています。そのため、リスク・コミュニケーションが科学的根拠に基づかない、経験に基づいた単なる技術と受け取られているのではないかという懸念も持っていました。
 このため、この本では、日本語の言語表現の問題を第2章で詳しく解説しています。中心となるリスク・コミュニケーションの手法についても、あまりに大量だと面倒なものと思われはしないかというジレンマがあったのですが、第3章でできるだけ簡略に、しかし、根拠となる理論やデータは脚注の形でできる限り添付するようにしました。冒頭の第1章では、一般的なリスク・コミュニケーションについての基本的な知識を、最近の動向を含め簡単に論じています。以上が3章に分かれた第1部のマニュアル部分です。
 この手引きは、私が主任研究者をつとめた研究班(平成14年−16年厚生労働省科学研究費補助金「内分泌攪乱化学物質のリスクコミュニケーションに関する研究」)の成果物がもとになっています。もとの成果物は、「環境ホルモン」と称される内分泌攪乱化学物質に特化したものだったため、より広く健康リスク問題のリスク・コミュニケーションに活用することができるよう、大幅に加筆修正して出版することにしました。
 第2部では、その研究班の成果に基づき、健康リスク・コミュニケーションの事例を中心に紹介しています。まず第4章は健康リスク認知の問題(内分泌攪乱化学物質の事例)を、第5章はリスク・コミュニケーションの中でも突発的な危機における事例(PCB曝露事故)を、第6章では科学的な証拠に基づくリスク・コミュニケーションを三宅島火山ガスの事例を交えながら紹介しています。第7章では、よりよい健康リスク・コミュニケーションはどうあるべきか、検討課題を中心に述べています。
 新型インフルエンザ問題で、コミュニケーションの技術が注目されていますが、何か問題が起こってからどうしようと考えるのではなく、平時からリスク・コミュニケーションの考え方や技術を学んで準備していただくことが重要です。紹介したように、本書は理論だけでなく、事例も詳しく掲載しておりますので、参考になるのではないかと思っています。(了)

富士山噴火とハザードマップ−宝永噴火の16日間

富士山噴火とハザードマップ−宝永噴火の16日間
シリーズ繰り返す自然災害を知る・防ぐ 第4巻 富士山噴火とハザードマップ−宝永噴火の16日間
小山真人著(2009/7、古今書院・2625円)

著者からのメッセージ
 小山真人 静岡大学教育学部教授
 2001年7月に富士山ハザードマップ検討委員会が設置され、富士山の火山ハザードマップ作成のための作業が開始された。委員会のおこなうべき重要な作業項目の中に、江戸時代の宝永年間に起きた富士山の1707年噴火(宝永噴火)の実態の把握と、それを現代に置き換えた場合の被害想定が掲げられた。この委員会の委員であった筆者は、検討委員会の作業開始とともに、いや応なしに宝永噴火の史料の収集と解読作業に没頭する毎日を送ることとなった。
 その後、富士山のハザードマップは04年6月に完成し、上記委員会は最終報告書を提出して解散となった。筆者らの調査結果は、宝永噴火と同種・同規模の大規模噴火の降灰予測や被害想定のための基礎データとして役立てられたが、これまで調査結果そのものを報告する機会がなかった。本書によって、その機会がついに得られることとなったのである。
 本書では、まず1707年富士山宝永噴火の推移を、主として史料にもとづいて復元した(第1章)。これが本書の主要部分である。第2章では、富士山ハザードマップ検討委員会の設置・検討の経緯や、その成果と課題、その後の動向などを筆者の視点からまとめた。第3章では、富士山のことに限らない一般論として、火山ハザードマップの役割についての筆者の考えを述べた。
 富士山の宝永噴火が実際にはどんな噴火であったのか、富士山のハザードマップはどのような考えのもとに、どのように作成されたのか、そして活用の実態や課題は何なのか、そうしたことに興味を抱く専門家・非専門家のすべてに本書をお薦めしたい。(了)

巨大地震災害へのカウントダウン=東海・東南海・南海地震に向けた防災戦略

巨大地震災害へのカウントダウン=東海・東南海・南海地震に向けた防災戦略
河田惠昭、林春男監修、大大特成果普及事業チーム33編集(2009/6 東京法令出版・2520円)

著者からのメッセージ
 永松伸吾 人と防災未来センター研究副主幹
 本書は、今年度前半にも発生すると言われる東海・東南海・南海地震を、我々の社会はどのように迎え撃てば良いか、そのための戦略を示した書物です。東海・東南海・南海地震は,極めて広域に揺れと津波の被害をもたらし、政府の想定では死者2万4000人にも及びます。このような巨大災害の被害を軽減し、かつ対応するためには、既存の防災対策の延長では限界があることは明らかです。自治体防災の最前線を担う自治体職員と、既存の発想に縛られない若手防災研究者らが、3年間に渡って議論を積み重ねた成果として、このような「国難」を乗り切るための戦略が展開されています。
 東海・東南海・南海地震の発生確率のピークは20−30年後にやってくると考えられています。このため、戦略構築にあたっては、人口減少・少子高齢化など社会環境の中長期的変化を視野に入れておかねばなりません。一方で、東海・東南海・南海地震に対して、抜本的かつ大胆な対策を行うための時間は、まだ残されていると考えるべきです。またこの地震の被災地を、一つとして考えることは必ずしも適切ではありません。地震動の大きさや揺れの周期の違い、津波の高さと襲来時間という外力の違いや、大都市や中小都市、中山間地域かという地域特性によって、異なる対応戦略を持つ必要があります。
 これらを正しく見極めることによって、従来にはなかった、新しい対策の発想が可能になります。例えば、紀伊半島南端部のように、地震発生から数分で十数メートルの大津波が襲来する地域では、発想を転換して、津波から逃げなくても済むまちづくりを促進するべきだと主張しています。
 本書のメッセージや戦略作成の方法論については、首都直下地震をはじめとした巨大災害対策すべてに適用可能なものだと考えています。防災戦略を構築する新しい方法論としても多くの方に参考にしていただけることを、「チーム33」の一人として切に願います。(了)

クロスロード・ネクスト

クロスロード・ネクスト
吉川肇子・矢守克也・杉浦淳吉著(2009/7 ナカニシヤ出版・2625円)

著者からのメッセージ
 吉川肇子 慶応大学商学部准教授
 防災リスクマネジメントWebの皆さまにもかわいがっていただいているクロスロード。ゲームと共に利用いただいている解説書の第2弾「クロスロード・ネクスト」がついに完成しました! 2004年の公式発表会から5年、神戸編から始まったクロスロードですが、その後、市民編、災害時要援護者編、感染症編、食品安全編、地域編と、さまざまな分野で展開されています。今回は、それらの展開を、問題例を紹介しながら解説しています。そして、クロスロードとは一体どういうツールだったのか、5年たって改めて振り返ってみています。
 中身をちょっとご紹介しましょう。感染症編は、事実を取材して作成されたものですが、今回のインフルエンザ騒動を予言したかのような内容もあったりします。例えば、「あなたは病院長。新型インフルエンザが発生。しかし、普通のインフルエンザとの区別が難しい。入院している患者への感染を防ぐため、『インフルエンザの患者は、感染症専門病院へ行って下さい』と張り紙する?」。実際に、東京でも大きな病院で張り紙をしたところがありましたね。一段落したかのように見える今、「次」に備えてクロスロードで勉強しませんか?
 また本書では、クロスロードだけでなく、ぼうさいダックや防災すごろく、ぼうさい駅伝など、防災Webでも紹介されたほかのゲームも、使い方と共に紹介しています。広島県呉市の幼稚園で実施したぼうさいダックの事例や、学校でのクロスロードの実践例など、実際使う際のヒントも満載です。
 そうはいっても3人とも研究者、ちゃんと理論編も用意しています。「ゲームなんて遊びじゃないの?」、「遊んでいて本当に勉強になるの?」なんて言う人がいたら、理論編の部分も読んで理論武装して下さい。ゲームでしか学べないことがある、というのがよくわかっていただけるのではないかと思います。
 学術書と思えない気楽なタイトルとピンクの表紙、早速つかんでレジへGO! まだまだ進化中のクロスロード、それからそのほかのゲームも、さらには前著の「防災ゲームで学ぶリスク・コミュニケーション」も、よろしくお願いします。(了)

決定版!新型インフルエンザ「事業継続計画」入門

決定版!新型インフルエンザ「事業継続計画」入門
新型インフルエンザBCP策定研究会著(2009/6 都政新報社・2310円)

著者からのメッセージ
 深谷純子 日本アイ・ビー・エム (特非)事業継続推進機構理事
 この本は、まず何より、国民の生命と健康を第一に考え、次に事業者としての事前対策を講じることで万が一の倒産や大損害を避けることと目的に、事業継続計画(BCP)策定の流れを解説しています。地震や風水害を想定したBCP策定の有無にかかわらず、新型インフルエンザBCPを策定する上での課題や考慮点が分かるように書かれていますので、これ一冊で入門書となっています。
 著者は、新型インフルエンザのBCPの策定に民間企業で携わっている担当者や、幅広い業界に精通しているコンサルタントたちです。BCP策定担当者は、今までさまざまなことに悩み、試行錯誤を繰り返してきました。コンサルタントも、国の内外から多くの情報を集め、専門家に話を聞きながら、感染拡大防止と事業継続を両立する方策を一緒に考えてきました。研究会を通じて知り合った執筆メンバーは、これまでの試行錯誤の経験を生かすと共に、行政や弁護士からのアドバイスも受けて、この本を執筆しました。
 現在、世界で感染が広がりつつある豚インフルエンザ由来の新型インフルエンザは、日本では一時の加熱状態は過ぎてやや落ち着きを示しています。今回の経験を生かし、今後想定される第2波や、鳥インフルエンザ(H5N1)由来の新型インフルエンザ発生に対応できるよう、本書がお役に立てればと願っています。(了)

ゲームソフト「絶体絶命都市3−壊れゆく街と彼女の歌」

絶体絶命都市3−壊れゆく街と彼女の歌 PSPゲームソフト(2009/4 アイレムソフトウエアエンジニアリング・5040円)

監修者からのメッセージ
 渡辺実 防災・危機管理ジャーナリスト/まちづくり計画研究所長
 阪神・淡路大震災以降、次に来たる巨大地震へ戦いを挑むために、若い世代の防災力向上が私の最重要テーマである。そのために、若い世代の身近なメディアを使って防災・減災のメッセージを送ることにこだわってきた。震災から10年目に「彼女を守る51の方法」(マイクロマガジン社)というグラビアを活かした防災本を出版し、同名の漫画が週刊連載(新潮社)を経て全5巻でコミックス化。翻訳・出版されて海外での防災教育にまで役立っている。
 次は、多くの若者が熱中し生活の一部となっているゲームの世界で、防災・減災メッセージを送りたいと考えていたところに、ゲームソフトの監修を依頼された。1年かけて制作にかかわり、大地震に遭遇したときに身近に起き得る事態から生命を守るために必要なノウハウを具体的に提供した。ゲームは、大都市の人工島に渡る海底トンネルの中で巨大地震にあった主人公が、助けた女性と共に、倒壊したビルや道路の巨大な亀裂、液状化現象、火災旋風が襲う人工島からの無事脱出を目指すというストーリーだ。ゲームを楽しみながら、身につけて欲しい災害時のノウハウをゲームソフトの目玉とし、81項目のマニュアルが、ゲーム内の要所要所に配置されている。地域の防災訓練の1コーナーに、このゲームを置いておけば、子供たちや若い世代の集客が増えることまちがいなしのはずだ。(了)

地域防災データ総覧−能登半島地震・新潟県中越沖地震編

地域防災データ総覧−能登半島地震・新潟県中越沖地震編 地域防災データ総覧編集委員会編(2009/3 消防科学総合センター・非売品)

編者からのメッセージ
 黒田洋司 消防科学総合センター調査研究第2課課長
 当センターでは、2007年に発生した「能登半島地震」と「新潟県中越沖地震」に着目し、それぞれの災害時の対応をコンパクトに整理した「地域防災データ総覧」を作成しました。作成に当たっては、被災地となった石川県、新潟県内の自治体関係者や学識経験者を交えた編集委員会を設置し、できるだけ生の情報をわかりやすく掲載することに心がけました。
 災害対策本部の設置・運営、災害情報の収集・伝達、医療、避難、要援護者支援、ボランティア対応、被災者の再建支援等、災害に見舞われた自治体が必ず直面する問題について、図、写真も豊富に盛り込んだ資料集となっています。また、「県市合同会議」、「住まいの道具の一時避難」、「元気能登創生プラン」、「GISの活用」、「地域FMによる広報」、「弁当プロジェクト」など、それぞれの災害でみられた特徴的な対応についても掲載しています。地域防災計画や防災マニュアルの見直し、防災訓練の企画立案などの際に、ぜひ参考にしていただきたいと考えています。(了)

風景を読み解く地質図 火山が作った伊東の風景

風景を読み解く地質図 火山が作った伊東の風景 小山真人著(2009/3 伊豆新聞社・500円)

著者からのメッセージ
 小山真人 静岡大学教育学部教授
 伊豆の大地には火山の恵みがあふれている。火山に祝福された土地と言ってもよい。火山は災害をもたらすだけの存在ではなく、大きく永続的な恵みを伊豆の住民とそこを訪れる観光客に与え続けてきたのだ。
 もし、伊豆東部火山群が噴火していなかったら、伊豆高原や城ヶ崎海岸が存在しないことになり、場所によっては海岸線が2キロメートル以上後退してしまう。伊東市は、山の急斜面と海岸にはさまれた寒村のままだったに違いない。火山が誕生し、せっせと溶岩を流してくれたおかげで、陽光が降りそそぐ広い土地がつくり出されたのだ。
 火山の恵みはほかにもある。大室山のかわいらしく美しい山体もそのひとつである。また、道路ぞいや海岸のがけでさまざまな火山の造形を観察することができる。火山は水の恵みも与えてくれる。火口の中に水がたまった一碧湖は、とっておきの憩いの場所を私たちに提供してくれた。火山特有の良質の水は、伊東市の上水道の源でもある。そして、火山のもつ地熱によって温泉がわき出している。火山の産物である伊豆石などの石材や金などの鉱床が、古くから採掘されて人々の暮らしに役立てられてきた。私たちは、火山とともに生きるすべを自然と身につけてきたのだ。
 こうした恵みは普段なかなか意識できないが、少しだけ知識があれば、見慣れた風景の中に火山の息づかいをたくさん見つけることができる。この地図は、そうした知識を楽しみながら学ぶことができる火山観光地図である。
 火山に限らず、すべての自然災害は、長い目で見れば大きな恵みを私たちにもたらしている。こうした認識の転換が、自然との向き合い方や防災意識の質を根本的に向上させる。願わくば、こうしたマップが日本各地の行政や観光業関係者の手で作られてほしいと願う。(了)

地震被災建物 修復の道しるべ−新潟県中越地震・能登半島地震・中越沖地震 被災住宅修復支援の現場から

地震被災建物 修復の道しるべ−新潟県中越地震・能登半島地震・中越沖地震 被災住宅修復支援の現場から 長谷川順一著(2009/2、住まい空間研究所・非売品)

筆者からのメッセージ
 長谷川順一 住まい空間研究所主宰
 突如として起こる震災は、命を取り留めたその瞬間から、市民にも行政にも復興への見えない道筋を描く過酷な負荷を強いる。震災復興の要は「住宅の再建」といわれ、公的支援制度が徐々に整備されつつあるものの、支援の動きはまだまだ弱い。特に、実際の被災現場に入れば、そのほとんどが市場の原理に委ねられるという状況がある。一方、被災地では安全第一を前提に、何よりも慌てずにさまざまな可能性を落ち着いて探る必要性があり、現実に「全壊」とされた家でも、修復して戻ることのできた事例は新潟県中越地震以降、数多く生まれてきた。
 中越だけでなく、能登半島地震や新潟県中越沖地震での全壊住宅の修復事例や、行政として取り組むべき課題、平時から市民としてどう備えるかなど、被災地からでなくては伝えることのできない多くの現実を、浮き彫りにした。木造建物を中心に、被災者から行政、一般工務店レベルまで、通常は知る機会の少ない地震に被災した建物の危険性と修復可能性の見極め、安全に修復する技術を、540点の写真と80点余りの図表を用いて被災状況別に平易に解説した。
 世界に起きる地震の10分の1は日本で起こっている現実の中で、地震が起きるたびに「木造建築は弱く、古いほど危険だ」という風評が流されてきたことへの疑念を持って、新潟県中越地震以来4年間、筆者は建築修復を支援してきた。中越地震で膨大な既存木造建築がどうなったのか、筆者が取り組んできた成果を中越大震災復興基金事業の一環として取りまとめたのが本書である。(了)

災害廃棄物

災害廃棄物 島岡隆行・山本耕平編 廃棄物資源循環学会監修(2009/3 中央法規出版・3360円)

編者からのメッセージ
 山本耕平 (株)ダイナックス都市環境研究所代表取締役
 本書は廃棄物学会が一般社団法人廃棄物資源循環学会として再出発した記念刊行物として企画されたものである。おそらく「災害廃棄物」と題した書籍は本書が初めてだろう。
 災害廃棄物は、災害の種類や特性、規模によって発生量も質も大きく異なる。被害者が当事者であり、また非常時であるために通常のシステムでは処理が困難である。地震災害の場合は倒壊した建物を迅速に撤去し、処理を行うことが復旧の第一歩である。災害廃棄物の処理が遅れれば、都市の復興はそれだけ遅れることになり、経済的な被害も甚大になる。水害の場合、水を含んだ廃棄物は衛生上の問題となる。地震や暴風災害であっても長期にわたって現場に放置されれば、雨水を含み腐敗が進んで衛生を脅かす。災害廃棄物への対応を誤ると、災害による直接的な被害以上に二次災害が生じるおそれがある。
 災害による廃棄物をゼロにすることはできないが、災害廃棄物による被害をできるだけ低減していくことは可能である。つまり減災の対策としても、災害廃棄物対策を準備しておくことは極めて重要なことである。  しかしながら,災害廃棄物は自治体の防災計画の中でも扱いは小さい。災害廃棄物に対する計画がない自治体も少なくないのが実情である。その背景には、災害廃棄物に関する体系的研究が不十分であることや情報が少ないことがある。
 遅ればせではあるが、廃棄物問題の専門学会として災害廃棄物の重要性を訴え、今日までの研究と実務者の経験をまとめたものが本書である。第1部では災害廃棄物問題の全体像を概説し、第2部では阪神大震災、中越地震、2004年の台風23号による豪雨災害(兵庫県)、ハリケーン・カトリーナの事例、第3部では危機管理としての災害廃棄物処理計画のあり方、支援体制等について記述している。災害廃棄物の体系的研究書とは呼べないものの、実務には十分参考になる内容である。
 ちなみに、本書のほか「地球温暖化と廃棄物」「循環型社会をつくる」の2冊が「廃棄物資源循環学会シリーズ」として同時刊行されている。廃棄物問題に関心のある読者は、ぜひお読みいただきたい。(了)

シリーズ「災害と社会」(8)社会調査でみる災害復興

シリーズ「災害と社会」(8)社会調査でみる災害復興 田中淳・サーベイリサーチセンター編(2009/3 弘文堂・2730円))

編者からのメッセージ
 田中淳 東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター長
 本書は、2000年三宅島噴火災害からの復興の過程を、4回にわたる継時的な調査で浮かび上がった島民の想いと現実を、直視しようと試みたものである。
 この噴火災害は、火山予知の難しさや泥流対策、火山ガス対策といった火山災害に固有の課題を突きつけた。しかし、4年半に及ぶ全島避難だけでなく、高齢化を迎えた日本社会における復興という、これからの日本社会共通の課題に直面し、その解決に地域社会が挑戦している災害でもあった。その意味で、三宅島の被災と復興は、災害と社会とのかかわり考える上で重要な課題を提示する災害事例である。
 災害研究は、被災者ひとりひとりの現実に寄り添い、ともに解決していく実践的性格を忘れることは許されない。常に、災害現場に立ち返らねばならない。しかし、災害を対象とした社会調査のすべてが、社会調査として信頼性・妥当性を持っているわけではない。専門的知識や専門的訓練を受けることなく実施されているものも少なくない。
 その意味で、専門の調査機関である「サーベイリサーチセンター」が、企業としての社会的責務を果たすために行った結果は貴重だ。データに語らせ、利用者の判断の材料を提供しようとする。その意味で、寡黙な調査機関が社会に発信しようとしている本書は、災害研究のみならず社会調査研究としても意義は高い。
 日本の防災行政観は応急対策に偏っている感がある。復興を考える、高齢化社会を迎えた日本の防災を考えるために、質の高い実践的教科書として、すべての行政関係者に読んでいただきたい本である。(了)

噴火の土砂洪水災害−天明の浅間焼けと鎌原土石なだれ(シリーズ繰り返す自然災害を知る・防ぐ5)

噴火の土砂洪水災害−天明の浅間焼けと鎌原土石なだれ(シリーズ繰り返す自然災害を知る・防ぐ5) 井上公夫著(2009/3 古今書院・2940円)

著者からのメッセージ
 井上公夫 砂防フロンティア整備推進機構参与・技師長
 最近も小規模な噴火をした浅間山が天明3年(1783年)に大噴火した時の被害の状況は、非常に多くの調査研究がなされている。しかし、7月8日(新暦の8月5日)に浅間山北ろくの鎌原村を埋没させた原因は、火砕流や岩屑流・岩なだれとされてきたが、筆者は地すべりによる中腹での水蒸気爆発噴火と想定し、「鎌原土石なだれ」と命名した。
 土石なだれは、吾妻川に流入して「天明泥流」となり、吾妻川や利根川沿いに大規模な災害を引き起こした。最も被害の大きかった鎌原村では477人が亡くなり、高台の観音堂に逃げた人と村外に出ていた93人は生き残ったと記録されている。天明泥流は吾妻川・利根川を流下し、利根川河口と江戸川河口まで達し、1500人以上の犠牲者を出した。
 激甚な被害を受けた地域で残された被災民は、江戸幕府・藩・庄屋・篤志家などの援助により、徐々に復興作業に取り掛かった。生き残った者は篤志家の計らいで救助米が与えられるとともに、家族を再構成し、集落の復興を遂げている。それ以外にも、各地でさまざまな復興事業が行われ、220年以上経過した現在では、被災の痕跡はほとんど残っていない。
 被災地では、犠牲者を弔い災害の記憶を長く残すために、3回忌、33回忌、100回忌、150回忌、200回忌ごとに、石造りの供養碑を建立し、慰霊祭を行ってきた。本書では、多くの史料や絵図を分析し、現地調査を行って撮影した写真をもとに、復興事業と供養碑の一部を紹介する。
 火山を抱える自治体だけでなく、自治体の防災担当者であれば、大規模な土砂災害の恐ろしさとその後の復興をイメージするためには、200年以上たった今でも、浅間の経験を知ることは意義深いことである。(了)

地震防災

地震防災 里村幹夫編(2008/10 学術図書出版社・1890円)

編者からのメッセージ
 里村幹夫 静岡大学理学部地球科学科・防災総合センター教授
 東海地震が発生すると言われ続けている静岡の国立大学法人である静岡大学では、2004年から全学の学生を対象とした「地震防災」の講義を立ち上げている。この本は、最初からこの講義を担当した研究者や行政マン、ボランティアらが、その講義ノートをまとめたものである。地震学、建築学、砂防学、地理学、経済学、行政、医学、精神医学、そしてボランティア論とかなり広い分野にまたがる地震防災の教科書ができたと自負している。
 地震を研究しているということが分かると、地震が起こったらどうすればいいかと尋ねられることが多いが、「地震が起こってからできることはほとんどない。普段から、地震のこと、震災のことをよく知り、正しく地震発生に備えることこそが正しい対処法」と答えることにしている。地震を、我々が普段多くの恵みを受けている自然の営みの一つとしてとらえ、地震発生のメカニズムを正しく知り、必要以上に恐れず、また無視したりあきらめたりすることもなく、正しく地震に対処することが震災を減らす最も重要なポイントであると信じている。この本は、その立場から編集した。
 静岡大学の教科書として作ったものであるが、すでに複数の行政や企業の防災担当者からも「防災全般にわたって分かりやすく書かれている本だ」と好評をいただいた。この本が、さらに多くの防災関係者の目に触れ、災害を減らすことに役立つことを願っている。(了)

知りたいサイエンス 富士山大噴火が迫っている!−最新科学が明かす噴火シナリオと災害規模

知りたいサイエンス 富士山大噴火が迫っている!−最新科学が明かす噴火シナリオと災害規模 小山真人著(2009/1 技術評論社・1659円)

著者からのメッセージ
 小山真人 静岡大学教育学部教授
 富士山は活火山です。かつては「休火山」に分類されたこともありましたが、現在では、地表に噴気などの火山現象が見られなくても、将来噴火する心配のある火山はすべて活火山という言葉で呼ばれています。これまで富士山の噴火対策を何もしていなかったことに危機感をいだいた国と自治体の協力により、富士山のハザードマップが2004年に作成されました。今では、このマップが富士山ろくのすべての家庭に配布されています。
 ハザードマップは、火山で将来発生する恐れのある噴火の規模や影響範囲を予測したもので、災害対策の基盤となる地図です。そして、このマップにもとづいて、富士山が実際に噴火した時の避難計画も作成されています。いまや、富士山は日本の火山の中で、もっとも防災対策が進んだ場所のひとつと言ってもよいのです。しかし、そうした経緯や内容を、平易な言葉で解説する入門書がありませんでした。
 この本は、富士山に深い関心を寄せている人々のために、火山としての富士山のなりたちや噴火の歴史、将来の噴火予測と防災対策、そして富士山という火山が普段から私たちに与えてくれている恵みについて、やさしく総合的な解説をほどこしたものです。
 一方で、最近、近未来の富士山の噴火を描いた漫画と小説があいついで刊行されています。「セクターコラプス−富士山崩壊−」(石黒耀・原作、光原伸・画、集英社2008年刊)と、「昼は雲の柱」(石黒耀・著、講談社2006年刊)です。小説のほうが漫画の原作という関係です。私はこの両作品の監修もつとめました。これらは、現実の科学と防災対策に即してつくられた富士山の噴火シミュレーションと言うべき作品です。本書は、この両作品の解説書としての側面も備えています。本書と、この両作品がきっかけとなって、火山としての富士山についての正しい知識と理解が広まっていくことを願ってやみません。(了)

シリーズ「災害と社会」(7)災害情報論入門

シリーズ「災害と社会」(7)災害情報論入門 田中淳、吉井博明編集(2008/12 弘文堂・2730円)

編者からのメッセージ
 田中淳 東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター長
 すべての人を救う。最後の一人まで救うために、情報で何ができるのか。これが災害情報論の基底をなす問題意識だ。
 災害情報論は、情報論の観点から災害による被害の軽減にアプローチする。情報の生産過程、伝達過程、受容過程、表現、そして効果の総体から、もっとも有効なあり方を模索している。例えば、警報や避難勧告がどのように利用されたか、活かされるにはどうすべきかを検討してきた。例えば、リスク情報がどのように軽視され、行動に結びつかなかった、街を守り、家を守るにどのようにリスク情報を伝えるべきかを追いかけてきた。
 使われない情報は、意味がない。情報は万能の武器ではない。使われるために、そして限界を言う前に、ぎりぎりまで、一歩でも前進をしつづける努力をし続けなければならない。情報の伝え手であるだけでなく、重要な受け手でもある行政や企業の実務家には、まだまだできることはある。本書がそれを考える一歩となれば幸いだ。(了)

シリーズ「災害と社会」(4)減災政策論入門 巨大災害リスクのガバナンスと市場経済

シリーズ「災害と社会」(4)減災政策論入門 巨大災害リスクのガバナンスと市場経済 永松伸吾著(2008/11 弘文堂・2730円)

筆者からのメッセージ
 永松伸吾 防災科学技術研究所特別研究員
 唐突ですが、以下の主張について、皆さんはどう思いますか。
○災害による人的被害はかつてより少なくなっているので、日本は昔に比べて災害に対して強い社会になっている。
○復旧・復興対策を充実させることは、予防・被害軽減対策を阻害するため、予防対策を強力に進めるためには復旧・復興対策を抑制しなければならない。
○災害は地域や国の経済成長にとってマイナスである。
○ボランティアや救援物資は、被災者や被災地の経済にとってプラスである。
○すべての企業がBCP(事業継続計画)を作成して対策を推進すれば、災害による経済被害は抑止できる。
○地域社会の共助がかつてほど機能しなくなったのは、行政などによる「公助」が充実したからである。
○「減災」は、阪神・淡路大震災以降に初めて登場した概念である。
 以上のほとんどが「正しい」と思った方、ぜひ本書を手にとってみてください。「どれもなんとなく違うような気がするのだけど…」と思われる方、なぜ違うのか一緒に考えてみませんか。上記はいずれも誤りか、正しいとしても大きな条件付きの命題ばかりです。それがどうしてなのかは、通読して頂ければおわかり頂けると思います。
 本書は、防災・減災に関する公共政策を論じた、恐らく我が国では初めての本です。これまでは、災害被害を軽減するための技術論としての「防災対策」は熱心に行われてきました。しかし、減少や地球環境問題の悪化、経済の低成長化、我が国の財政状況の悪化など、近年の大きな社会環境の変化を前にして、災害被害の軽減をひたすら目指す「防災対策」は、もはや持続可能ではないと思います。
 そもそも、私たちの社会が直面している課題は防災ばかりではないのです。防災対策に多くの資源を投入すれば、他の政策課題に投入できる資源が少なくなることを意味します。防災・減災の必要性を声高に叫ぶだけでなく、他の社会的諸価値の存在を認め、それらとのバランスの中で新しい防災・減災の方法論を議論する時期が来ているのではないかと思います。その新しい方法論のことを本書で「減災政策論」と名付けました。
 タイトルに「入門」とありますが、これはなるべくわかりやすく書きましたという意味です。スタンダードな内容を示すというよりは、むしろ読者からの多くの批判やご意見を頂きながら、災害大国の我が国から、新しい公共政策論を構築していく一助となることを期待しています。(了)

中越発!救援物資はもういらない!? 新しい善意(マゴコロ)の届け方

中越発!救援物資はもういらない!? 新しい善意(マゴコロ)の届け方 栗田暢之、永松伸吾、林智和ほか著(2008/10 震災がつなぐ全国ネットワーク・非売品)

編集者からのメッセージ
 栗田暢之 震災がつなぐ全国ネットワーク代表
「救援物資は被災地を襲う第2の災害」と叫ばれて久しいが、このことが日本社会に十分伝わっていない。「災害からの教訓を生かせ」と災害直後は叫ばれるが、長続きはしない。
 1995年阪神・淡路大震災で全国から「救援物資」が届けられた。しかし「大量・一斉・不特定」の壁にぶち当たり、とても有効に活用されたとは言えなかった。その10年後の2004年新潟県中越地震で、悲劇は再び繰り返された。
 このブックレットでは、不特定多数の被災者あてに、不特定多数の個人から送られる、いわゆる「救援物資」はいらないとはっきり言い切った。「救援物資」に傷ついた現場をこれ以上見過ごすことができないからである。しかし、被災地に「モノ」が不必要であるはずがない。災害大国日本において、必要となるモノは、個人や行政が事前に備えておくことを原則としつつ、修羅場と化した現場への「モノ」の支援に必要なキーワードは、「善意(マゴコロ)」であるとした。つまり、相手の顔が見え、時期と被災地事情を見極め、そして善意(マゴコロ)を込めて届けられた「モノ」は、むしろ被災者の勇気と希望をもたらしたという経験知に基づき、新しい届け方として提案するものである。
 本書は、NPO、行政、専門家が、編集委員会で議論を重ねることができたからこそできた。次の災害では「救援物資」に翻弄(ほんろう)されることなく、被災者に本当に必要な「善意(マゴコロ)」が届けられるために役立つことを期待している。(了)

シリーズ「災害と社会」(5)災害ボランティア論入門

シリーズ「災害と社会」(5)災害ボランティア論入門 菅磨志保、山下祐介、渥美公秀編(2008/11 弘文堂・2730円)

編者からのメッセージ
 菅磨志保 大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任講師
 「災害ボランティア」とは何か? ボランティアは何を生み出し、何を育ててきたのか。またそこから何を生み出そうとしているのか。あまりに素朴だが、この問いこそ、分かり難く、多くの人が疑問を抱いてきたことではないかと思う。本書はこれらの問いに対して、理論−実践−思想という3つの側面からできるだけ包括的に答えようとする試みである。
 執筆には、このテーマに関わってきた研究者、ボランティア関係者、防災の実務家らが参加し、それぞれの体験・立場をベースにしながら、複雑で見え難い災害現場の実態を解き明かしていく努力と、そうした現場の実践が、現代社会においてどのような意味と価値を持っているのか、理論や思想のレベルでも論じていくことを試みている。特に実務担当者には、我々関係者が、次の2つの視点(価値)を重視してきたことを伝えたい。
 一つは、被災者に関わる「人」である。ボランティアは被災者に最も近い視点から災害という現象を見、被災者を通じて災害を疑似体験する。被災者自らがボランティアになることで再建の力を得たケースもあった。「ボランティア」は、人や問題に関わるきっかけを提供すると同時に、問題をより深く考える視点を提供してくれるように思う。
 理論編では「ボランティアとは何か」について、まず、現代リスク社会の中でその意味を問い、そこから大勢の人達による救援活動が成立する論理、さらに被災者という人に関わることの意味を論じている。
 続く実践編では、14年間の活動がどのように構築されてきたのか、実践−反省−次の実践、という循環するプロセス(これがもう一つの視点である)に焦点が当てられる。個々の「思い」を現場に役立つ「力」にしていくためには一定の組織化が必要だが、いったん組織が出来上がると、その組織の維持自体が目的化してしまいやすい。“被災者がして欲しい支援をする”という目的を達成するためには、作った仕組みを批判的に検討・改善を重ねていくことが必要である。災害の現場では、つきつけられる現実が厳しい分、こうした自己検証が求められる。仕組みを創り−超えるという2つの力のバランスをとりながら、どう現実を切り拓いていくか。実践編の各執筆者は、現実を「超えていく」ために必要な考え方、実践力、を提示することを試みている。
 以上の理論編、実践編の議論を踏まえ、本書ではさらに思想編として、市民活動の将来を展望する。「ボランティア」は、さまざまな可能性をもつ主体として期待されているが、その活動に内在する問題をきちんと見据え、足をすくわれないように慎重に考えていかなければならない。思想編の執筆者らは、この点にも注意を喚起している。
 まだまだ発展途上の活動であるが、実務担当者の皆さんには、本書を通じて災害や社会の問題を考えていく際の視点や、手がかりを感じ取っていただければ幸いである。(了)

破局噴火−秒読みに入った人類壊滅の日

破局噴火−秒読みに入った人類壊滅の日 高橋正樹著(2008/9 祥伝社新書・798円)

著者からのメッセージ
 高橋正樹 日本大学文理学部
 超巨大噴火は、超低頻度の火山災害ではあるが、いつの日か必ず起こるのは確実である。それは、もしかすると明日起こるかもしれない。いったんこの出来事が生じた場合には、想像を絶する災害が人間にもたらされる。最大規模のスーパーボルケイノの超巨大噴火が起きれば、人類自体が滅亡の危機に陥るかもしれない。約7万年前には、確かに地球上でそれは起こり、DNAの研究から当時のホモサピエンス(新人)は絶滅の危機にさらされたことが明らかにされつつある。
 日本列島も、超巨大噴火が頻発する場所である。約7000年前には、南九州でそれは起こった。29000年前には、さらに規模の大きな超巨大噴火が、南九州で発生している。もし、明日にもこうした噴火が起きてしまったら…。地球上でいつ起こるかもしれない超巨大噴火のことを思うと、いまさらのようにりつぜんとした気分にならざるを得ない。
 台風銀座ならぬ「超巨大噴火銀座」ともいえる自然環境に置かれているにもかかわらず、わが国では、超巨大噴火に対する対策は、これまでまったく考えられてこなかった。それどころか、超巨大噴火が起こり得ることへの認識すら、国民の間で十分になされているとは思えない。人類の生き残りをかけた国際協力への取り組みこそ不可欠であるにもかかわらず、この問題に対する国際社会の認識は依然として極めて低い。
 災害に向き合う役割を持つみなさんには、まずは本書で超巨大噴火に対してリアリティーをもってもらいたい。リアリティーをもって正しく対処すれば、生き残る道もおのずと生まれてくるだろう。(了)

防災教育教材「ビジュアル版 幸せ運ぼう」(改訂新版)

「ビジュアル版 幸せ運ぼう」(改訂新版) 「ビジュアル版 幸せ運ぼう」制作委員会(2008/10 非売品)

関係者からのメッセージ
 桜井誠一 神戸市保健福祉局長
 阪神淡路大震災から10年がたった2005年、神戸市民の4分の1が震災体験をしていない市民となっていた。子供たちも先生も震災を体験していない者が増えてきたこともあって、神戸市では体験を後世に伝えなければとの思いが大きくなっていた。
 そのような時、神戸大学の経営協議会で委員をしていた神戸市長と読売新聞幹部の方との何気ない「震災の風化防止に取り組んでいかなければならない」と言った会話が発端となって、「震災の記憶と風化に関するアンケート調査」を実施。「阪神淡路大震災10年シンポジウム−伝え、つなぎたい」への開催と発展し、神戸大学の大学教育「震災教育システムの開発と普及(文部科学省現代教育ニーズ取り組み支援プロジェクト)」とも連携し、震災「副読本しあわせ運ぼう」のビジュアル化に取り組んできた。
 このように防災、減災に行政、大学、マスコミが三位一体となって教材づくりの取り組みを進めた事例は新しい形態である。2006年には「中学生向け」、07年には「小学生向け」が作成された。その後全国の多くの方からもご要望があり、神戸版ではなく全国版の作成を進めてきた。
 今回の防災教育用教材「ビジュアル版 幸せ運ぼう」改訂新版は、その趣旨に答えたものであり、新たに新潟県中越沖地震や能登半島地震など最近の災害のほか、東南海・南海地震なども取り入れている。教材の構成では、中学生の作文や新聞記事・DVDから、震災時の場面を解説し、皆で考えたり、シミュレーションをしてみたりといった行動につなげる仕組みになっている。47都道府県、政令指定都市に各20−50セットをお届けしたので皆さんのお近くにある。ぜひ、全国の小中学校、地域での防災教育教材として活用していただければと願っている。(了)

豪雨の災害情報学

豪雨の災害情報学 牛山素行著(2008/10 古今書院・3675円)

著者からのメッセージ
 牛山素行 岩手県立大学総合政策学部准教授
 「リアルタイム情報によって被害が軽減された」とか、「早期避難により人的被害をゼロにした」といったことは、自明だと感じるかも知れませんが、実は、これらを具体的・定量的に示した調査研究例はほとんどありません。本書では、まず「災害情報」という概念について整理した上で、災害情報に関して定性的によく言われることを、少しでも定量的に示すことを目指した試行錯誤を紹介します。対象とするハザードを「豪雨」に絞っていますが、災害の構造や防災の枠組みを考える上では、地震、津波など他の現象に対しても参考にしていただけるでしょう。
 結論の一つは、「災害情報という『防災対策』は、実にやっかいな代物だ」ということです。ソフト防災、あるいは災害情報は、防災対策としては目新しく、何か漠然とした期待を抱きやすいものです。しかし「効果には限界がある」という点ではハード防災とまったく同じ課題を持っています。さらに「効果を発揮させるにはハード防災よりももう一段階手間がかかる」、「効果を定量的に見積もることが容易ではない」など、ハード防災にはなかったやっかいな特徴も持っています。また「技術開発が減災に直結しない」、「情報によって軽減できる被害対象は限定される」といった側面もあります。
 予算的制約も含めてハード対策の限界が指摘される中で、災害情報の有効活用を図ろうとされている防災関係者は多いでしょう。もちろん、ソフト防災・災害情報は役立たずの代物ではありません。しかし、その効果発揮のためには、情報提供者、利用者双方にかなりの努力が必要であることを忘れてはなりません。  災害は、姿、形を変えて、絶えることなくわれわれの前に現れてきます。災害について調べたり、考えたりする人に、本書が多少なりとも参考となれば幸いです。(了)

緊急地震速報

緊急地震速報 渡辺実著(2008/9 角川SSコミュニケーションズ・角川SSC新書・798円)

著者からのメッセージ
 渡辺実 防災・危機管理ジャーナリスト/まちづくり計画研究所長
 今年の10月1日で、緊急地震速報が一般運用されて1年を向かえます。これまで、5つの地震で気象庁は緊急地震速報(警報)を発表していますが、「実際の揺れに間に合わない」、「想定した震度が誤差の範囲を超えている」、「国民の周知が進んでいない」など、課題を抱えています。
 しかし岩手・宮城内陸地震では、震央から30キロ程度以上離れた地域では緊急地震速報が機能しており、この速報によって生命を守ることができた実績も多く報告されています。震度5弱の揺れが襲った学校では、速報によって揺れの前に生徒が安全に避難でき、クリニックでは患者とスタッフの安全が確保されました。仙台空港では航空機を上空で待機させ、製造業ではガスの緊急遮断を実施し揺れがくる前に安全確保ができました。
 課題も抱えた緊急地震速報ですが、私は当初から「究極の減災情報」と位置づけて調査研究を進めています。緊急地震速報は、世界で初めて実用化した画期的な技術開発です。特に、近い将来発生が懸念されている東海地震、東南海地震地震、南海地震、宮城県沖地震など海溝型の大地震では、緊急地震速報が役立ち、揺れが襲う前に安全を確保することができます。
 これまで緊急地震速報についてやさしく解説した書籍がないことから、今回一般運用から1年目を前に本書を出版しました。緊急地震速報の導入を迷っている企業や行政、そして緊急地震速報について詳しく知りたい方の必読本です。(了)

地震と防災 “揺れ”の解明から耐震設計まで

地震と防災 “揺れ”の解明から耐震設計まで 武村雅之著(2008/9 中央公論新社・798円)

著者からのメッセージ
 武村雅之 鹿島建設小堀研究室プリンシパルリサーチャー
 地震による揺れの発生から建物の耐震設計まで、一般人にとってはひと続きだと思われていることが、多くの専門分野に切り刻まれて、それぞれ別々に研究されてきた。その結果、地震に関する現象がよく分かってきたといわれても、それらが有機的に結びついて防災に役立っているかとなると実感がわかないのが現状ではないだろうか。専門家が防災講演会などで、一般聴衆からの質問に答えられずに立ち往生するという場面をよくみかける。著者もそんな経験があるが、一般聴衆は地震と防災をひと続きとしてみているのに、専門家はそれぞれの専門に特化してそれらを切り刻んで見ているのだから無理もない。
 日本で地震に関する学問の分化がはげしくなったのは、85年前の関東大震災以降である。このことについての評価は立場によってさまざまだろうが、地震防災という観点からみれば、少なくとも何か別の仕組みが機能しなかったという意味も含めて、明らかにマイナスだったと著者は考えている。地震による揺れの発生から建物の耐震設計まで、切り刻まれて研究されてきた歴史と成果を、今こそ一思いにくし刺しにして説明できないか。そんな思いが本書を書くきっかけとなった。オビにある「これだけは知っておきたい」は、一般読者だけでなく、マスコミ、行政、民間企業の防災担当者はもちろん、地震に関するさまざまな分野の専門家に対する著者からのメッセージでもある。
 地震防災といえば、地震災害の恐ろしさを訴えて、それに対する対策を促進しようとするのが普通であるが、このような発想も切り刻みの弊害ではないかと考えている。防災リスクマネジメントWebの中川編集長らと一緒に行っている地震火山こどもサマースクールは今年で9回目を迎えた。著者も当初から加わって子供たちと一緒に学び、視野を広げてきた。地震や火山は災害の源というだけの存在ではない。我々の住む日本の豊かな自然の源であることを子供たちとともに実感し、「一人の百人力より百人の一人力」(参加者の言葉)を自覚して、災害の少ない国にしたいというのがこの活動のコンセプトである。本書の最後には、このような地震との上手なつきあい方に関する著者の考えも披露し、読者が防災に取り組む一助となればと願っている。(了)

天災日記−鹿島龍蔵と関東大震災

天災日記−鹿島龍蔵と関東大震災 武村雅之編著(2008/8 鹿島出版会・1890円)

著者からのメッセージ
 武村雅之 鹿島建設小堀研究室プリンシパルリサーチャー
 「僕の尊敬する所は鹿島さんの“人となり”なり。鹿島さんのごとく、熟して敗れざる底の東京人は今日既に見るべからず。明日はさらに稀(まれ)なるべし」(芥川龍之介著「田端人」、大正十四年)。「熟して敗れざる底の東京人」とは、人格が円熟して非の打ちどころのない正真正銘の東京人という意味である。芥川をしてそこまでいわしめた「鹿島さん」とは、この本の主人公、鹿島龍蔵である。「天災日記」はその龍蔵が、わが国の歴史上、未曾有の自然災害となった大正十二年の関東大震災の発生から十日間を詳細につづった日記である。震災とその救援・復興の過程については多くの公の記録が残されているが、民間人による詳しい手記は意外に少ない。そんな中でこの「日記」は数少ない貴重なもののひとつである。
 私は地震学者で、専門は震源での断層の動きや揺れの強さなどを明らかにすることである。そんな研究の過程で、震災を生きた人々に興味を持つようになり、被害統計などの数字だけでは大災害を実感できないことに気がついた。そこで考えたのが、研究で明らかになった過去の地震の揺れの強さや被害の様子を背景にして、手記や日記を読むことで、そこに生きた人間を蘇(よみがえ)らせようという試みである。
 震災との遭遇はめったにないことである。災害のなかで懸命に生き抜いた人間を現代に蘇らせることは、単に防災上の教訓を引き出すという意味だけでなく、人への感動が没個性に陥りやすい現代人の己を呼び覚まし、ときには生きる勇気を与えてくれる。「天災日記」はそんな目的に最適な資料である。
 そして、日記を書いた鹿島龍蔵の生きかたに触れるとき、現代社会に何かさわやかさが蘇るような感動を覚える。芥川龍之介が尊敬した龍蔵の人となりについても、ぜひ紹介したいという衝動にも駆られながらできあがったのが本書である。(了)

一日前プロジェクト 報告書・エピソード集

一日前プロジェクト 報告書・エピソード集 内閣府(防災担当) (2008/7 非売品)

著者からのメッセージ
 中川和之 防災リスクマネジメントWeb編集長
 災害被害を軽減する国民運動の一つとして始まった一日前プロジェクトとは、災害に遭われた人たちに「災害の一日前に戻れるとしたら、あなたは何をしますか」などとインタビューをし、「自分もこういう目に遭うかも」と誰もが身につまされるショートストーリーにまとめる活動です。日常生活ではなかなかイメージできないのが災害です。災害時には、ちょっとした備えが役立ったり、意外なことに困ったりします。被災地にはありふれた経験なのですが、当たり前すぎてニュースなどにはなりません。でもその話が、災害を経験したことのない人にとっては、ニュースなどでは伝わらない等身大の災害をイメージするのに役立つのです。命を奪う恐ろしい顔も見せますが、時には路地裏での三三九度など思っても見なかった場面も作りだします。当たり前に見える行動が、みんなを元気にしたりします。中には、正しいと思えない行動をした結果も含まれていますが、家庭で、職場で、地域で、どんなことが起きるのか、経験した方の語り口そのままの読みやすい文章とイラストで、244の物語にまとめられています。
 中央防災会議の国民運動専門調査会の専門委員として、このプロジェクトの立ち上げにかかわり、昨年度も雲仙普賢岳噴火や能登半島地震、平成16年台風23号の被災地で物語をまとめるお手伝いをしました。いずれもA4版の1ページにまとめられており、自治体や企業の広報紙などで自由に使ってもらえるように、全編とも内閣府のホームページでダウンロードできます。災害時要援護者の問題を取り上げたテレビニュースの一場面に、一日前プロジェクトのお話とイラストが使われたこともありました。公民館の掲示板に、平日毎日1話ずつ印刷して掲示板に張り出すだけでも、ほぼ1年分になります。この物語を使ったワークショップもできます。周囲の被災経験者から、似たような話を聞き出す場を作って、みなさんの一日前プロジェクトを行うこともできます。ぜひ、さまざまな場面でご活用下さい。(了)
http://www.bousai.go.jp/km/imp/index.html

提言!仮設市街地−大地震に備えて

提言!仮設市街地−大地震に備えて 仮設市街地研究会著(2008/5 学芸出版社・2100円)

著者からのメッセージ
 濱田甚三郎 仮設市街地研究会
 中国の四川、岩手・宮城での悲惨な報道が続いている。まさに大地震は、いつ、どこで発生するかもしれないという状況にあることを思い知らされる日々である。
 大地震の到来に備えて、事前の防災に力を注ぐことを、さらに進めなければならないが、それと同時に事後の対応にもぬかりがないようにすることは当然である。事後の緊急対応については、さすがにきめ細かく、行き届いた手配が準備されてきている。しかし、その次の段階の復旧・復興の対策となると、ややおぼろげとなる。
 本書は、復旧・復興段階の困難な局面に、どう挑むかに関する基本的な指針と具体的な方策を、豊富な事例をまじえて分かりやすくまとめた復興まちづくりのテキストである。
 阪神・淡路大震災では、復興に際し地域のコミュニティが維持できず、問題を残した。
 むしろ復興の基本は、もとの住まいやまちをベースに、人と人のつながりを大切にしながら生活を再建する方式で取り組まなければならない。それを実現するのが「仮設市街地」の考え方で、それこそ復興の本流である。
 その時、自治体や企業・地域組織がどう動けばいいのかのイメージトレーニングや具体の訓練に取り組んでいただき、それぞれの復旧・復興への備えをより確かなものにしていただくことを願っている。(了)

先端巨大科学で探る地球

先端巨大科学で探る地球 金田義行、佐藤哲也、巽好幸、鳥海光弘著(2008/6 東京大学出版会・2520円)

著者からのメッセージ
 金田義行 海洋研究開発機構海洋工学センター
 地震は、地球システムの中で発生する諸現象の中で、最も身近で災害に直結する自然現象の一つです。再来が危惧(きぐ)されている次の南海トラフの巨大地震である東南海、南海地震への備えとして、先端巨大科学による震源域の掘削科学、リアルタイムモニタリング、ならびにシミュレーションの研究を統合化し、得られた情報を予測科学につなげて、防災減災に生かす研究の整備が進められています。
 南海トラフの巨大地震の巣である紀伊半島沖の熊野灘では、地球深部探査船「ちきゅう」が東南海地震震源域の「地震の巣」を直接掘削して、海溝型巨大地震の発生メカニズムに迫ろうとしています。さらに、複数の地震計や高精度な水圧計をケーブルでつなぎ、リアルタイムで海底下の地殻活動を監視する海底観測ネットワークを構築中で、地震や津波の発生を早期に検知し、稠密(ちゅうみつ)な観測で高精度な規模の評価ができるようにするとともに、水圧計などでの地殻変動データを使って地震発生予測モデルの高度化を目的としています。今後は「地球シミュレータ」のような大型計算資源を活用し、詳細な地震動や津波の予測をはじめ、地殻変動データなどとシミュレーションを組み合わせた「データ同化」といった新たな解析研究を推進し、地震発生予測モデルの高度化を目指しています。
 このような先端巨大科学による地球システム科学研究と、南海トラフ巨大地震研究の最新情報を解説し、行政や企業の防災対策の背景にある科学研究の最前線をわかりやすく紹介しています。(了)

緊急発行!レスキューナウ特派員現地報告 中国四川大地震

緊急発行!レスキューナウ特派員現地報告 中国四川大地震 冨田きよむ著(2008/6 レスキューナウ・500円)

著者からのメッセージ
 冨田きよむ フリーカメラマン(元有珠山ネット代表)
 やっぱりというべきか。中国が報道規制を始めたというニュースが流れた日に、今回の四川大地震の速報の冊子ができたことに感慨を抱く。取材中、まったく何の規制もなかった。入っちゃだめという地域は、物理的に入ることができない状態になっていた地域だ。この冊子は、自由に取材することができた中国の記録になった。20年前とは別の国だった。
 大マスコミが大人数を投入しても「やらないこと」や「できないこと」を基準に取材を進めた。有珠山噴火で自分が被災者となったときの体験をベースにするとき、見つめるべきものは、自分の目の前にある「つまらない」事実にこそ事の本質があると信じるようになった。その視点は、きっと復興に向かう被災者や、おそらくは自分も被災したであろう行政担当者と同じだろうなと思う。足元と目の先、5メートルの写真をご覧ください。(了)
 本の注文は以下のサイトから。
http://www.rescuenow.net/topic/shisen_kinkyu.html

事業継続計画の意義と経済効果 平常時に評価される実践マネジメントへ

事業継続計画の意義と経済効果 平常時に評価される実践マネジメントへ 丸谷浩明著(2008/5 ぎょうせい・2,500円)

著者からのメッセージ
 丸谷浩明 京都大学経済研究所教授(NPO法人事業継続推進機構理事長)
 地震、大水害、新型インフルエンザなど、企業や行政の事業継続が危うくなる事象が、残念ですが続いています。事業継続計画(BCP)の策定、事業継続マネジメント(BCM)の実施が、取引先や関係先から要求され、社会的責任として求められる状況が、今後さらに強まりそうです。
 幸い、大企業ではBCPを知らないところはあまりなくなり、策定に着手した企業も増えているようです。また、行政のBCPも、国土交通省、徳島県などが策定するなど一部で始まりました。しかし、中小企業や行政一般への普及はまさに緒に就いたばかりです。また、大企業でも、取組みを定着させていくのは今後の課題というところがほとんどです。これからが正念場であり、努力すれば今年が真のBCP元年になるかも知れません。
 私は、BCPの普及のためには、災害、事故等の発生時に限らず、「平常時においてもBCPへの取り組みにメリットがある」と認識できるよう、BCP・BCMが市場や社会から高い評価が得られる仕組みが必要と考えています。このため、NPOの仲間と作成した「中小企業ステップアップ・ガイド」にも、評価のためのチェックリストを加えるなど、努力を続けています。
 本書では、このような点を含め、BCPの基本的考え方、BCP普及策の経緯、BCMの経済的な意義、中小企業へのBCP普及策、行政のBCPのあり方、そしてISO規格化や新型インフルエンザ対策にも若干触れました。従来のBCP策定のノウハウ本とは異なる、BCPの意義を理解しメリットを実現していくための本として、お読みいただければ幸いです。(了)

シリーズ「災害と社会」(3)災害危機管理論入門

シリーズ「災害と社会」(3)災害危機管理論入門 吉井博明・田中淳編(2008/4 弘文堂・3150円)

編者からのメッセージ
 吉井博明 東京経済大教授
 危機管理という困難な業務をこなすには、組織や体制の整備と同時に人材の育成が欠かせない。危機管理は、言うまでもなく、トップの最も重要な職務であるが、トップを支える専門的スタッフの能力が成否を左右すると言っても過言ではない。しかし、そのような危機管理の専門スタッフを目指す人に向けた適切な教科書、特に入門書はなかなか見当たらない。本書は、その穴を埋めるための本を目指している。
 危機管理には周到な準備と発生時の即興(的対応)が不可欠である。事前にしっかりとした計画やマニュアルを作成しておくことは当然だが、それだけでは実際の危機が発生したときにうまく行かないことが多い。危機はきわめて多様なので、そのすべてに対応できる計画やマニュアルを作成することはできないからである。
 即興的対応を含めた、危機対応能力を身につけるには、2つの方法がある。ひとつは、想定される危機に類似した実例を詳細に調べ、そこから成否を分けた要因を読み取ることである。本書では、できる限り多くの実例を取り上げ、危機管理の成否を分けた要因をわかりやすく示すことに力点を置いた。特に、災害対策本部という危機管理の中枢がうまく機能するための条件を実例の中から抽出した。もうひとつの方法は、訓練・演習である。実際に、危機が発生した場合に、計画やマニュアルに沿った対応をするには、多くのノウハウが必要であり、そのための訓練・演習のあり方を具体的に示したことも本書の特長と言えよう。
 もちろん、限られたボリュームで、多様な危機のすべてを扱うわけにはいかないので、本書がカバーする範囲は災害、特に自然災害(地震、豪雨、火山噴火)に限定した。(了)

いとしの能登よみがえれ!=ボランティアの能登ノート

いとしの能登よみがえれ!=ボランティアの能登ノート 文・村井雅清 写真・中山雅照(2008/3 震災がつなぐ全国ネットワーク・1500円)

発行者からのメッセージ
 村井雅清 被災地NGO恊働センター代表
 能登半島地震の発生後、ボランティアに入った私たちは、能登に吹く風、海や空の色、そこに暮らす人びとの素朴さや誇りに触れ、能登の地に惹(ひ)かれていきました。足湯を通じて、語られたさまざまな思いもありました。これを伝えるために、能登の風景や人びとの写真とメッセージをまとめました。
 ここには、地震の被災地らしい写真はほとんどありません。まるで観光ガイドのようなきれいな本ですが、地域での助け合いや地震からの復興のあり方をあらためて考えることができる内容になっています。
 企業や行政にとって、組織としての事業継続計画(BCP)が必要であるように、地域が被災後も継続していくための事前の計画が必要です。復興計画をたてるときにも、地域がどう継続できるかのBCPを日ごろから考えておけば大いに役に立つでしょう。復興に最も影響のある地域の特性が何か、地域が誇りとしているものが何か。能登半島では、例えば祭りが復活するということが、大きな復興のバネになります。行政や企業、ボランティアが、どのように支援し続けていけるのか。この本で、そんなことも考えていただきたいと願っています。(了)

 ※ 入手のお問い合わせは、「震災がつなぐ全国ネットワーク」052-783-7727まで

ぼうさい塾・わがまち減災MAPシミュレーション

日本生活協同組合連合会発行 水島重光(生活協同組合ちばコープ)監修(2008/3 コープ出版・315円)

発行者からのメッセージ
 亀山 薫(日本生活協同組合連合会震災担当)
 災害に対し家庭や地域の「安全・安心」を確保するには、住民一人一人の「日ごろからの災害への備え」が重要です。
 日本生協連では、自分たちの住んでいるまちを見直し、減災を一緒に考え合う企画として「コープぼうさい塾・わがまち減災MAPシミュレーション」に取り組んでいます。自分たちが住んでいるまちの地図に、避難所や病院、井戸のある家、危険な個所などを参加者が話し合いながら書き込み、防災のオリジナルの地図を完成させます。作った地図をもとに、「避難所に向かう想定」「隣の寝たきりのおじいさんを助ける想定」など、災害を具体的に仮想体験することで自助、共助の大切さを学びます。
 この活動の普及のためには、シミュレーションの体験者が地域でその活動を広めることが鍵となると考え、「ファシリテーターの手引書」を作製しました。誰もが簡単にできるよう、イラストをふんだんに使った内容にしました。ぜひ、多くの地域でご活用下さい。(了)

 ※ 入手のお問い合わせは、コープ出版(株) 03-5778-8183 まで

改訂 家庭の安全・安心−あなたと家族を守るリスクマネージメントQ&A−

(財)全国危険物安全協会編著 「家庭の安全・安心」編集委員会監修(2008/3 時事通信社・1680円)

監修者からのメッセージ
 伊藤 滋(都市防災研究所会長)
 私たちの身の回りは常にさまざまな危険にさらされています。地震や台風などの自然災害だけでなく、家の外ではいろいろな災害に遭う可能性は否定できません。
 家の中にいても、火災や高齢者を狙った悪質な詐欺、ネット犯罪など多種多様な事件や事故が待ち受けています。またBSEや添加物など食の安全や住居の耐震強度偽装、さらにはテロ・有事といった事態など、災害や事故・事件が、近年多様化・頻発化の傾向にあり、市民の日常生活の安全に対する不安が高まっています。
 こうしたなか、本書は2006年3月に発行した『家庭の安全・安心』に、新たな「安全・安心」の知識や対策を盛り込むと同時に、全体をQ&A方式に改め、イラストや図表を多く取り入れてよりわかりやすく充実した内容へと構成し直しました。
 市民の「安全・安心(生命・財産)」をどう守るかを考えなければならない消防・防災関係者をはじめ、各自治体や企業の担当者の方々が、適切な情報伝達を行うために、すぐに役立つ「安全・安心」の基礎知識を満載しています。これらの情報が活用され、市民が日常生活をより安心して暮らせるように願っています。(了)

伝承 阪神・淡路大震災 〜われわれが学んだこと〜

神戸防災技術者の会 発行・編集(2008/1、自費出版)

編著者からのメッセージ
 太田敏一 神戸防災技術者の会(神戸市職員)
 阪神・淡路大震災から13年が経過した。この大震災から教訓をくみ取り、次の大災害に生かすことは、被災地のわれわれとしても大きな使命である。「神戸防災技術者の会(略称K−TEC)」は、震災から10年を迎えようとしていた2004年、大震災の伝承、防災や減災についての学習と研究、各地で頻発する自然災害への支援などを目的に、防災や減災にかかわる制度や技術に関心を持つ神戸市役所の職員とその退職者で発足した。
 大震災での活動を振り返るとともに、2年前から始めた神戸学院大学における1年間のリレー講義の素材をベースに、その後各地で発生した自然災害の支援を通じて学んだことや毎月の定例会で学んだことなども盛り込んで、1冊の本としてまとめた。
 とりあげたテーマは、技術系分野だけにとどまらず、生活再建や経済復興などにも及び、大震災直後から復興までの全体像を得られるようになっている。この大震災では、先進的な大都市を直撃した巨大地震により、今までわれわれが経験したことがないことが起こり、その復興のために、長い努力が必要となった。その被害と復興の状況に対して数多くの研究や報告がなされてきたが、これらは、あまりにも膨大で、全容をつかめないのが実情ではないだろうか。この本は、大震災を体験した神戸市職員が、若い人たちに伝えたいエッセンスをひとまとめにしたものである。大震災の全体を理解するうえでの入門の書として多くの人にお勧めしたい。(了)

防災−協働のガイド 自助・共助・公助を超えて

高橋洋・小島誠一郎著(2008/2 日本防災出版社・2730円)

著書からのメッセージ
 高橋洋 練馬区介護保険課係長
 「総力戦」でないと大災害には立ち向かえません。そのためには「協働」の確立が不可欠です。近年、災害対策で強調されすぎている「自助・共助・公助」の枠組みを超えて、つないでいかねばなりません。災害の被害を減らしつつ、発生した事態に立ち向かうために、誰が誰を協働のパートナーとしてどのように進めるのか、要援護者対策は誰と誰がどのように手を携えて進めていくのか、災害時のボランティアの活動はどうなのかを、ゲスト筆者も加え、実例に即してまとめました。この本の隠されたテーマは「要援護者とボランティア」です。
 「防災−実務のガイド」(2005年)と「防災−訓練のガイド」(2006年)を出した後、防災をめぐる動きは、めまぐるしいものがありました。とりわけ、耐震補強等による耐震性の確保や、災害時の要援護者対策が、国から自治体まで、災害対策の第一級の課題と認識されてきました。阪神・淡路大震災後の数年間と比べると、隔世の感があります。時間はかかるかもしれませんが、全国各地で減災対策や要援護者対策が本格的に取り組まれるようになると、災害列島日本にも少しは安心して住めるようになるのかもしれません。
 「実務」「訓練」「協働」と進めてきた「防災のガイド」は、もともと市区町村の災害対策担当職員や、日々活動されている自主防災組織の人々に役立つものを出したい、という出版元の依頼で書きはじめ、2冊目からはテーマにふさわしい共著者らとともに作り上げた実践の書です。全国各地で、日夜災害対策に取り組んでおられる自治体担当者、自主防災組織、ボランティア等の方々の活動に役立てていただきたいと思います。(了)

シリーズ「災害と社会」(1)「災害社会学入門」(2)「復興コミュニティ論入門」

浦野正樹・吉井博明ほか編著(2007/12 弘文堂・各2730円)

編者からのメッセージ
 浦野正樹 早稲田大学文学部教授
 災害対策はハードからソフトの時代にと言われ出して久しいのですが、そのソフトの分野の全体像をきちんとまとめた本がなかったのはご存じでしたか?
 本シリーズは、最前線で活動する各分野の研究者・実務家によって、古今内外の豊富な事例と斬新な分析視点で、災害研究のあゆみと現状を、網羅的・立体的に提示することにより、21世紀の防災対策に実践的に貢献しようという、意欲的なシリーズです。
 第1巻は、その全体像として、防災政策の変遷、命と心、災害と情報、防災教育、被災生活と生活再建、復興まちづくり、防災福祉、ボランティア・NGO、ジェンダー、巨大災害対策、災害のグローバル化など、網羅的・専門的かつ簡潔に展開。第2巻は復興のプロセスについて豊富な事例で紹介しています。さらに続刊も予定しています。
 自治体や企業で、災害対策の文書を起案するときにも、わかりやすい参考文献として大いに役にたつことでしょう。災害・防災・復興について全体的に知見を深めたい実務者の方、これまで深めてきた知見をより体系的に位置づけなおしたい方、これから災害研究に踏み出したい方、ご自分の専門以外の分野を広く知りたい方など、多くの方に読んでいただきたいと思います。(了)

地震に負けるな地域経済:小千谷・柏崎発「弁当プロジェクト」のススメ

永松伸吾著(2007/12 (独)防災科学技術研究所災害リスクガバナンスプロジェクト 非売品)

著者からのメッセージ
 永松伸吾 防災科技研研究員 災害リスクガバナンスプロジェクト リスク政策チームリーダー
 大規模な災害現場を訪れたことのある方には、被災地に大量に寄せられる義援物資に違和感を持つ方も少なくないでしょう。本当に役に立っているものもありますが、ようやく営業再開した飲食店の前で炊き出しが行われていたりなど、かえって地域経済に悪影響を及ぼしている例も少なくないのです。
 この小冊子は、外部からの支援でなく、被災した飲食業者らが連携して地域で必要な食事を弁当として提供することで、飲食業者らの事業継続を図る仕組みとして「弁当プロジェクト」を紹介します。このプロジェクトは2004年中越地震の際小千谷で生まれ、2007年中越沖地震の際、柏崎でそのアイディアが継承され、プロジェクトとしてさらなる発展を遂げたものです。地域資源を活用した新しい災害対応のしくみとして、飲食業者だけでなく災害に関心を持つ多くの方にお読みいただければ幸甚です。(了)

地震の日本史

寒川 旭著(2007/11 中公新書・840円)

著者からのメッセージ
 寒川 旭 産業技術総合研究所招聘研究員
 プレートの運動によって形成された日本列島には、多くの活断層が分布しています。この国に住む限り、大地の激しい揺れから逃れることができないでしょう。それでも、地震の被害は、その場所ごとの地形や地質によって異なりますから、自分の住む地域で過去に発生した地震をよく知っておくことが、将来の地震から我が身を守り、被害を少なくすることにつながります。
 幸いなことに、日本では、過去千数百年におよぶ膨大な文字記録があり、この間に起きた地震の年月日や被害を知ることができます、また、全国各地で行われている考古学の遺跡発掘調査で見つかった地震の痕跡から、具体的な地盤災害や、記録にない地震の存在がわかります。文字記録と地震痕跡という2種類の資料が、これほど充実した国土は、世界でも例が無いでしょう。これに加えて、最近では活断層の研究が著しい進歩を遂げています。
 地震そのものは岩盤の破壊にともなう自然現象ですが、大きな地震のたびに、様々な悲劇や人間ドラマが生じます。それぞれの時代の地震が、当時の人々にどんな運命を与えたかを知ることは、地震への理解を血の通ったものにするでしょう。また、地震による社会への影響を考えることは、日本の歴史に対する理解を深めるでしょう。
 本書では、膨大な文字記録と地震痕跡、これに地震に遭遇した人たちを織り交ぜて、縄文時代から現代にいたるまでの間に発生した地震の歴史を組み立てました。ユニークな地震年表としての機能も備えています。地震を通してこの国の歴史を眺める壮大な旅に、出かけてみませんか!(了)

時事通信オンデマンドブックレットシリーズ
わがまちの強みと弱み−100人のトップが語る防災・危機管理

防災リスクマネジメントWeb編集部編(2007/10 時事通信社・840円)

編集者からのメッセージ
 中川和之 防災リスクマネジメントWeb編集長
 地域の災害対策を進めるには、自治体トップの強い意志が不可欠だ。災害が発生した際に、適切な判断を下し、命令口調で指示をするというリーダーシップだけを指すのではない。自治体が、日々解決が求められるさまざまな政策課題に取り組む中で、いつ起きるか分からない災害対策を進めるためには、トップの強い意志が必要なのだ。
 「防災リスクマネジメントWeb」で連載中の「トップインタビュー」を中心に、延べ100人の自治体首長や危機管理担当幹部の生の声を集めた。各地の時事通信記者が、災害対策の「最大の課題」、「誇れる点と弱点」、「トップとして大事なこと」、「日ごろから何を心掛けているか」という質問を重ねてきた。
 40を超えるトップが何らかの災害対応をした経験を持っていた。犠牲を出した市長は命の大切さを切実に説き、避難勧告や指示を出した経験者は逃げない住民が少なくないことに悩む。巨大地震の発生を確実視される地域からは、切迫感を持った言葉が並ぶ。一方で、自主防災組織や消防団を手放しで称賛するだけにとどまる首長もいる。災害対策の最前線の課題が浮かび上がる一冊だ。(了)

時事通信オンデマンドブックレット(JIJI PRESS SHOP)

緊急地震速報−揺れる前にできること

監修 目黒公郎東京大学生産技術研究所教授、藤縄幸雄リアルタイム地震情報利用協議会(2007/8 東京法令出版・2310円)

編集者からのメッセージ
 清水暁 東京法令出版
 今年10月から一般向けに配信が始まる「緊急地震速報」。地震の大きな揺れ(S波)が来る前に知ることができるため、これを使って地震被害を軽減できると期待されている。
 本書では、気象庁、内閣府、消防庁の担当者が今後の防災対策上の位置づけについて示すとともに、自治体(消防)、病院、建設現場、学校等で先行的に運用を始めている事例を中心に、利用の可能性がまとめられている。今年7月の新潟県中越沖地震のときには、部品工場の被災で自動車の生産ラインが止まる事態が生じた。事業継続は企業にとっても重要な課題であるが、本書でも「緊急地震速報」を使った生産ライン制御について取り上げている。
 一方で、「緊急地震速報」には課題もある。特に、不特定多数の人が集まる場所では、出口に人が殺到するといったパニックが起きることが心配されているため、デパート、ホテル、レジャー施設では、その対策が急がれている。本書では、災害社会学が専門の中森日大文理学部准教授が、詳細なアンケートをもとに、施設管理者に求められる対策を提言している。「緊急地震速報」は可能性を持ったツールではあるが万能ではない。本書を監修・執筆した目黒公郎教授は、直接的な被害軽減よりも、この仕組みを契機に耐震補強などの防災対策が促進されることが重要という。行政、企業で防災を担当する者は、利用可能性を最大限に生かししつつ、活用される場面ごとに正確に位置づけていくことが求められる。(了)

時事通信オンデマンドブックレットシリーズ
大震災神戸発!元広報課長の体験的危機管理

桜井誠一 神戸市保健福祉局長著(2007/7 時事通信社・680円)

筆者からのメッセージ
 桜井誠一 神戸市保健福祉局長
 このたび防災Webで連載させていただいたのをブックレットにしていただきました。より多くの方にお読みいただけることを願っています。
 阪神淡路大震災での神戸市行政を取り巻く出来事を書いていますので、自分の街や自分の仕事では参考にならないと思われるかも知れません。しかし、コミュニケーションという視点で行間を読んでいただき、中川編集長のコメントも合わせお読みいただくと、災害時以外でもきっと参考になることがたくさんあると思います。特に非常時には政治や行政のトップは「なぜ意図が伝わらないのか」と苛立ち、市民や住民は「なぜ思いを聞き入れてくれないのか」と苛立ちます。災害を含め危機には「情報伝達」のみではなく「広報・広聴」が重要なのです。東大地震研究所の島崎教授にはこの連載をゼミの学生さんの教材に使っていただき、好評だったとお褒めいただきました。本のタイトルに「元広報課長」とさせていただいたのも、非常時の信頼には日頃のコミュニケーションが大切であり、リスク管理や危機管理セクションとしての広報にこだわりを持っているからです。
 これからも、危機管理と広報にこだわりを持って続編を書きたいと思っています。そのためにも、このブックレットをお読みいただき、皆様からのご意見もお聞かせいただければ幸いです。(了)

時事通信オンデマンドブックレット(JIJI PRESS SHOP)

水害現場でできたこと、できなかったこと 被災地からおくる防災・減災・復旧ノウハウ

水害サミット実行委員会事務局編(2007/6 (株)ぎょうせい・2600円)

実行委員の一人からのメッセージ
 中貝宗治 兵庫県豊岡市長

◇繰り返される失敗と批判
 押し寄せる濁流。届かない避難勧告。勧告を聞いても逃げない人々。困惑する行政。やっとの思いで避難した人々は、ぬれた服を着て固い床の上で一夜を過ごす。
 やがてごみと泥との闘いが始まる。そのごみも、実はごみではなく、人々の大切な品々ばかり。市町村は、どう処理をして、人々をどう勇気づければいいのか。
 毎年、国内のどこかで大水害が発生している。しかし、個々の市町村にとっては、ほとんどの場合「初めての経験」であり、災害発生の前後を通じて、どう対処すべきか確信を持てず、右往左往しているのが実態である。そして、毎年のように、避難勧告が遅かったのではないかなどの批判が繰り返されている。

◇共有化されない経験
 残念ながら、他地域での災害はあくまで「他人(ひと)事」であり、市町村長も職員もそこから何かを学び取ろうという姿勢はそれほど強いものではない。他方、被災した地域も、自らの経験を積極的には外に発信してこなかった。経験は共有されないまま、風化していく。

◇被災地責任を果たす
 そこで私たちは、大水害を経験した市町にアンケートを行い、経験から得られた貴重な教訓、ノウハウ、反省を集め、分類し、時系列に並べる作業を行った。私たちの経験を少しでも他地域の減災に役立てたい、との思いからであった。
 想定外のことが次々に生じる中で、トップと職員は何をしたのか。何を成し遂げ、何に失敗したのか。  水害現場で本当に苦しんだ者たちの生の声をもとに被災市町が自ら編集したこの本には、机上の理論や計画では決して得られないさまざまな教訓が詰まっている。
 自治体トップと職員に一人でも多く読んでいただけることを願ってやまない。(了)

KOBEの検証シリーズ「別冊」避難所のこと考えたぞう!

大分県ボランティア・市民活動センター編(2007/6 震災がつなぐ全国ネットワーク・650円)

編集者からのメッセージ
 村野淳子 震災がつなぐ全国ネットワーク事務局次長(大分県社会福祉協議会専門員)
 全国で災害救援活動を行ってきた私たちは、予期しない災害に遭遇して甚大な災害から免れたのに、その後の避難生活でさらにつらい思いをして体調を崩したりする事実を、活動を通じて目の当たりにしてきました。行政が避難所に指定しているところは、一時的な避難場所であり、本来生活の場所ではありません。避難所が長期化すると、生活の場に改善していかなければならないのです。私たちはその際に、このブックレットが役立つことを願っています。
 能登半島地震の現地支援活動に参加し、地震10日後ぐらいから、救急車のサイレンを日に3回ほど聞くようになりました。朝5時過ぎの静寂の中で聞こえるサイレンは、被災された方の悲鳴のように聞こえ、心が締め付けられるようでした。
 この本には、それぞれの専門家や経験者が、深い知識と経験を寄せてくださいました。これまでのようなことが繰り返されないよう、過去の被災地での教訓が生かされるよう、ぜひこの冊子を活用していただきたいと思います。(了)

地震予知の科学

日本地震学会地震予知検討委員会編(2007/5 東大出版会・2100円)

著者の一人からのメッセージ
 束田進也 日本地震学会地震予知検討委員会委員(気象庁)
 「実は変な雲を見たんだけど、もうすぐ地震が起こるのでは? 知っていて隠しているでしょう」などというような話をされ困った経験がある人はいませんか? そんな時、日本地震学会地震予知検討委員会のメンバーが「式が一本出るごとに読者が一割減る」という合言葉のもと作り上げたこの本が、きっと役に立つでしょう。
 今回はこの種の本によくありがちな単純な分担執筆はしていません。8人の科学者が何度も推敲(すいこう)を重ね、大激論を交わし続けてまとめたのです。それは単に委員が「おしゃべり」だったから、ばかりではなく、ちまたで繰り返される地震雲やら、動物異常現象、あるいは地震予知不可能論に言いたいことが山ほどあったからです。
 なぜ、これまで地震予知の科学について正面から取り上げ、わかりやすく解説する試み、いや、挑戦が少なかったのでしょうか。数千年というタイムスケールから、強く揺れる直前までを一続きの流れとして、科学的に取り扱う地震予知の戦略は、あたかも一つ一つの楽器の音が重ねあわされて、重厚な交響曲となる様相と似ています。それを自分たちだけで演奏して満足するだけでなく、聴衆にも味わっていただかなければなりません。しかし、一つ一つの楽器を一人前に演奏すること自体難しいと信じているわれわれにとって、このような一般向けの解説書を作る企画は、とてもハードルが高かったのです。このような解説本をお待ちになっていた方々、お待たせして申し訳ありませんでした。
 この本では、地震予知に関する最近10年ほどの成果を述べるとともに、地震予知への道、つまり科学的な地震予知に関するトータルな戦略を示そうとしました。地震予知の現状と成果を等身大にまとめていますが、夢や挑戦に向けたワクワク感も多くの人に正しく伝えたいのです。
 10年以上も前にはやっていたステレオタイプ的な話で地震予知を語るのはもうやめませんか。状況は新たな展開を見せています。今、意外とすごいことまで分かってきたんですよ。皆さん。(了)

地震イツモノート
阪神・淡路大震災の被災者167人にきいたキモチの防災マニュアル

地震イツモプロジェクト編・渥美公秀監修(2007/04、木楽舎・1500円)

企画者からのメッセージ
 永田宏和 NPO法人プラス・アーツ理事長
 今年の4月6日から5月6日までの1カ月間、横浜BankARTで開催された「地震EXPO〜未来は夢見るものではなく備えるものになった」の公式ガイドブックとして制作され、出版されました。文字通り、地震が「もしも起こったら」と考えるのではなく、「いつも起こりうる」ものだととらえ、心構えをしておくことを奨励し、地震との新たな付き合い方を提案する本となっています。
 ベースに敷かれているのは、阪神・淡路大震災の被災体験者167人の生の声です。彼らの貴重な体験を地震直後から避難所での生活にいたるまで時間軸で整理し、ほぼすべての声をイラストで表現しました。「こういう時はこうしなさい!」といった一方通行的で断定的な防災マニュアルが多いなかで、この本は被災体験者が語った「こうしていて助かった」「あの時困ったから今はこうしている」といった防災の知恵や教訓を網羅的に並べ、さらにあの時こういう気持ちだったという被災時の人の気持ちをそのままイラストにすることで、読んだ人が地震のことを自分のこととしてとらえ、考え直すきっかけとなるような双方向的なものをめざして作られています。「あいさつも防災でした」この本にはこうした示唆に富み、心に響く言葉があふれています。そして新進気鋭のイラストレーター・寄藤文平氏がこうした言葉たちを独特のタッチのイラストを添えることで読みやすく、わかりやすいものにアレンジ、監修は自身も被災体験者である大阪大学コミュニケーションデザインセンター准教授の渥美公秀氏です。ぜひ多くの方々に読んでいただきたい本です。(了)

高層難民

渡辺実著(2007/4 新潮社・新潮新書・714円)

著者からのメッセージ
 渡辺実 防災・危機管理ジャーナリスト/まちづくり計画研究所長
 巨大地震が大都市を襲った時、その瞬間から大都市が見せるこれまでにはない「震災の新しい顔」として「震災難民」という概念を提起しています。急激に増加し続ける高層マンションの住民が「高層難民」になる。交通機関が動かなくなって主要ターミナルに「帰宅難民」が大量に発生する。そして膨大な被災者を収容できない「避難所難民」が発生する。「震災難民」とは、この三大震災難民を指します。この実態を明らかにして、そして我々が具体的に採りうる対策法についてもまとめました。
 特に「高層難民」については、これまで行政や防災関係者がその現実から目を背けていた感があり、あえて本書のタイトルにしました。地震によっての停電でエレベーターは停止し移動が不可能になり、同時に閉じ込め事故が発生します。また水道の供給が止まればトイレが使用できない状況が誰でも容易に想像できます。超高層マンションは、一瞬にして地獄の塔になるのです。地震発生確率が高まりつつある今、こんな地獄を生むようなまちづくりを推進していくべきなのでしょうか。その現実があるのであれば、防災行政として無策でこの発生する地獄を見過ごしていていていいのでしょうか。東京都中央区では、急ピッチで進む高層マンション開発が止められない現実をふまえ、今年から新しく建設される高層マンションに備蓄機能などの防災機能を持たせる開発指導要綱を施行します。こうした行政施策でベストではありませんが、より巨大地震が発生した際のリスク軽減策を実行に移したことは、評価に値します。
 多くの防災関係者に本書を読んでいただき、現実から目を背けずに大都市が巨大地震に襲われた時必ず発生する三大震災難民対策を、早急に実施することを期待します。(了)

いのちをまもる智恵 減災に挑む30の風景

いのちをまもる智恵制作委員会(2007/03 レスキューストックヤード・非売品)

監修者の1人からのメッセージ
 室崎益輝 総務省消防庁消防大学校消防研究センター所長
 災害は多くの犠牲を人間に強いるが、人間はその犠牲を糧に多くのことを学ぶ。その学びは、減災のための智恵を紡ぎだす。その智恵は被災地で育まれ、安全のための文化として結実する。ところでこの智恵や文化は、被災地だけのものであってはならない。これから災害の洗礼を受けるかもしれない地域にこそ伝え、1人でも多くの生命を救う力としなければならない。といっても、この智恵や文化を伝えることはなかなか難しい。一言で語り尽くせないからである。それゆえに、被災体験が伝わらず同じ過ちを繰り返すことになってしまう。ところが、この困難な伝承をいとも簡単にやってのける冊子というか絵本が刊行された。それがこの「いのちをまもる智恵」である。災害体験でうまれた智恵の集積というべき30の減災文化を、やさしい語りと美しいイラストのハーモニーで伝えてくれる。それゆえに、減災のための智恵を広める伝道師の役割をこの冊子が果たすことを期待して、みなさんに一読をすすめたい。(了)


いのちをまもる智恵(レスキューストックヤードhp)

防災実務者のための学術誌「減災」Vol.2(土木施工3月号別冊)

編集企画:阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター(2007/3、山海堂・2800円)

編集者からのメッセージ
 矢守克也 「減災」企画編集委員会幹事長(京大防災研助教授)
 昨年、「防災実務者のための学術誌」と銘打って新しく刊行した雑誌「減災」の第2号ができあがりました。「減災」は、研究者や専門家だけを対象にした専門誌ではありません。専門的な知見を踏まえながらも、自治体や企業で防災・減災の実務にあたられる方々が、「この手法は、うちでもすぐ使えそうだ」、「巨大災害の被災地では、こんなことも起こるんだ」と、職場の仲間に気軽に手渡すことができるような雑誌を目指しています。

 第2号では、「広域災害にどう備えるか」という特集が組まれ、首都直下地震の被害想定、ハリケーン「カトリーナ」の被害についてまとめたカラーグラフに続いて、8つの論文が掲載されています。首都直下地震、東海・東南海・南海地震など、わが国が今後立ち向かっていかねばならない大規模広域災害に対する減災対策について、具体的かつ多面的に議論されています。8編の論文のうち、4編は自治体の職員、3編は大学の研究者、残りの1編は企業の実務家によって執筆されており、内容も視点も非常に多彩です。
 また、第2号から、創刊号にはなかった一般論文(合計7編)も掲載されています。同時に、現場ですぐに役立つ情報が満載された「減災への取り組み事例」、草の根の減災活動を担う民間の団体の活動について紹介する「民間団体活動紹介」のコーナーも新しく設けられ、より具体的で、実務的な内容となりました。

時事通信オンデマンドブックレットシリーズ
防災でも元気印「恐るべし名古屋!」その仕掛け人たち

防災リスクマネジメントWeb編集部編(2007/3 時事通信社・840円)

編集者からのメッセージ
 中川和之 防災リスクマネジメントWeb編集長
 防災の基本は、地域防災力の向上である。自主防災が重要と言われ、バケツリレーや避難訓練が役に立つのか疑問だが、ほかに何をしていいか分からない。危機管理を担う組織のはずが、いざというときに現場もトップも想定通り動けるとはとても思えないが、どう一歩を踏み出したらいいか分からない。地域にはたくさんの担い手がいる。県域や市区町村単位、学区・町内会など、さまざまな役者がいるが、その思いもある人たちを、どうつないだらいいか分からない。10年前の名古屋は、このような状況とそう変わらなかったはずだ。
 名古屋大でのホームドクター宣言から5年で、一気に浮上した。昨年4月、首相官邸にいつもの実験セットを持ち込み、中央防災会議の場で小泉純一郎首相に「紙ぶるる」の実験で耐震化の重要性を納得させた福和伸夫教授ら大学が裏から支え、メディアやNPOが引っ張り、企業が動き、行政ががんばり、市民が飛び跳ねて、名古屋の防災の元気を作っている。昨年8月に中心街で開かれた防災フェアも、何だか妙なエネルギーに満ちていた。71人の筆者が、それぞれに、ここまでに至ったプロセスを書きつづったのが本書だ。元気がわいてくる連携の地域防災力向上、減災の国民運動の教科書が一冊できあがった。(了)

時事通信オンデマンドブックレット(JIJI PRESS SHOP)
産官学民の71人の筆者が、ダイナミックに連携して地域防災力向上に取り組んだり議論した結果は、各地での減災の国民運動の教科書だ。

危機対応社会のインテリジェンス戦略 事例に学ぶ情報共有と組織間連携

危機管理社会の情報共有研究会著(2006/12 日経BP出版センター・1995円)

編集協力者からのメッセージ
 南敏彦 尼崎市今北総合センター所長(前防災対策課長)
 ごく普通の自治体に突然発生した緊急事態。JR福知山線脱線事故のような災害は、いつどこで起きても不思議ではない、まさにあたりまえの日常に存在する危機です。私たちはこのような災害にどのように対処したらよいのか。本書では、緊急事態が発生したとき、情報の共有と組織間の連携がいかに重要であるかについて、JR福知山線脱線事故の対策を分析するとともに、阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件を通じた日本の危機管理体制の現状、アメリカでの危機管理体制や実際の事例などをもとに詳細に報告されています。
 その時、何ができて何ができなかったのか、また何をすべきだったのか。結果としては及第点であったかもしれない今回の尼崎市での対策ですが、実際に対応した者にとっては、どれだけ反省点が多く課題が残るものであったかを、本書での分析を通じて現状の体制や他の事例とも比較しながら感じていただければと思います。どの報告書などよりも詳細にまとめられた尼崎市での事故対策のタイムラインは、資料としても貴重なものであり、危機管理に関する自治体や関係機関の関係者の方々にはぜひ一読していただきたい一冊だと思います。(了)

世界一おいしい火山の本−チョコやココアで噴火実験

林信太郎著(2006/12 小峰書店・1575円)

著者からのメッセージ
 林信太郎 秋田大学教育文化学部教授
 災害教育は、あつかう対象がたいへん「こわい」ものです。しかし、こわいこわいと子どもたちを脅しても、なかなか災害について学んでもらえません。子どもが怖がって、かえって逆効果だったりします。
 子どもたちに火山について知ってもらうことは、火山災害をへらすためにとても役に立ちます。これからの人生が長い子どもたちのほうが、火山災害にあう可能性が高いからです。どんなことが起こるか知っていれば、パニックを起こす可能性も少なくなります。また、噴火に関するイメージがあれば、すばやく避難するようになります。
 では、どうやったら火山について学んでもらえるのでしょうか? そして、火山災害の話を受け入れてもらえるのでしょうか? 中学校や小学校で出前授業を続けながら、5年間考えた答えが、この本です。
 この本のコンセプトは「楽しく学んで噴火にそなえる」です。火山噴火をココアやチョコなど子どもたちに身近な食材を使って再現することで、火山噴火を模擬体験し、実感できるようになっています。例えば、「潜在溶岩ドーム実験」では、ガナッシュクリームをマグマ、ココアを地盤のかわりにつかっています(実験後にできあがるのはトリュフ!)。このように、噴火のしくみをイメージできて、ついでにおいしい10の実験が収録されています。
 また、噴火のすごさを知ってもらうために、怪獣・ガメラの破壊範囲と噴火の破壊範囲を比較したり、富士山噴火の推定被害総額の札束の高さを、富士山自体の高さと比べてみたりといった工夫をしてあります。火山噴火以外の災害(地震や津波や土砂災害など)の教育や普及活動のヒントがきっとこの本にあると思います。ぜひ、防災関係の大人の方々にも読んでいただきたいと思います。(了)

スーパー都市災害から生き残る

河田惠昭著(2006/6 新潮社・1260円)

編集者からのメッセージ
 風元正 新潮社出版企画部ノンフィクション編集部
 去年は台風+豪雨、今年は竜巻。もちろん、大地震は毎年のように各地で起こり、日本は未曾有の災害多発期に入っています。にもかかわらず、日常生活は便利になる一方で、携帯電話やインターネットがなく、電車や自動車が動かない状況など想定することはできません。もはや、はた迷惑な隣人となってしまった災害とどう付き合ってゆくか。これは重要な課題だ、と考えた瞬間、徹底した現場分析から智恵を引き出す河田惠昭先生の温顔が真っ先に浮かびました。
 大災害が起こった時、自治体の担当者の判断がどれだけ大きな影響を及ぼすか。この本の中で、豊富な実例とともに分析されています。しかし、河田先生が強調されるのは「想像力」です。二度同じ災害が起こることはありません。過去の事例から学び、被害をどうやって軽減してゆくか。防災のプロの鮮やかな思考の筋道をぜひ、参考にして頂きたいと思います。(了)

超巨大地震がやって来た−スマトラ沖地震津波に学べ

木股文昭・田中重好・木村玲欧編著(2006/11 時事通信社・1890円)

著者からのメッセージ
 木村玲欧 名古屋大学大学院環境学研究科
 将来、日本列島で起こる大地震や大津波に対して、国民はどれだけ明確なイメージを持っているだろうか。家族・組織がどのように行動すればよいかわかっているだろうか。本書は、2004年12月26日、22万人を超える犠牲者をだして世界中を震かんさせたスマトラ沖地震津波の実態をわかりやすく紹介しながら、日本が学ぶべき教訓についてまとめたものである。
 筆者は、名古屋大学大学院環境学研究科に所属する、地震学・地理学・経済学・社会学・心理学の研究者である。災害発生後、それぞれの専門分野を生かしながら、インドネシアやタイでの現地調査を精力的に行い、スマトラ沖地震津波災害の全容を明らかにするとともに、将来の日本にも生かされる貴重な教訓を堀り起こす作業を行ってきた。
 理系・文系双方の研究者が、地震・津波の原理、人々や社会に与えた被害・影響、生活再建・復興の様子についてまで、図や写真を多用しながら解説している。興味を持った中高生でも容易に読み進めることができるように、分かりやすく書かれている。また、スマトラ沖地震津波災害を総合的に知ることができるだけでなく、この教訓がどのように日本の防災に生かせるのかについても十分に紙数が割かれている。スマトラ沖地震津波災害が「対岸の火事」ではないことを知った良識ある人々によって、個人や地域の防災力が向上することを願ってやまない。(了)

時事通信オンデマンドブックレットシリーズ
防災リスクマネジメントWeb 実践防災フォーラム「どう変える防災訓練」

防災リスクマネジメントWeb編集部編(2006/10 時事通信社・680円)

編集者からのメッセージ
 住民は見学者で、自衛隊も参加しない出初め式のようなショーが当たり前だった防災訓練。阪神大震災を機に変わりしつつありますが、先進自治体でもまだ試行錯誤なのが実態です。
 行政の防災担当者向けメディア「防災リスクマネジメントWeb」(防災Web)が2006年2月にサービスを開始したのを記念して、同年5月に開催した実践防災フォーラム「どう変える、防災訓練」全記録の連載をまとめたのが本書です。連載になかった発表資料の抜粋を加え、内閣府(防災)、総務省消防庁、兵庫県、静岡県、東京都練馬区、山口県宇部市の報告に加え、まとめ役の重川希志依富士常葉大教授(中央防災会議委員)、会場の自治体関係者やDIGの生みの親の小村富士常葉大助教授ら研究者らも加わった熱い議論は、今、最前線に立つ担当者には必読です。(了)


時事通信オンデマンドブックレット(JIJI PRESS SHOP)

天災・人災 海洋災害の分析と防災対策

藤縄幸雄編(2006/05 生物研究社・3150円)

編者からのメッセージ
 藤縄幸雄 特定非営利活動法人リアルタイム地震情報利用協議会専務理事
 わが国は、四囲を海に囲まれ、明美な風光と豊富な海産物に恵まれています。反面、海の地震、津波、波浪などの災害にさらされているのは、宿命というべきです。
 先年海洋理工学会でシンポジウム「21世紀の海洋災害に向き合う」を開催しました。開催の動機は、「阪神淡路大震災のあとに多くの新たな方策が試みられたが、次の地震が起きたときに役に立つのか。防災にかかわる個人・専門家・機関にとって最も大切なことは何か。それがきちんと把握され、いざというときに実行されるか」という問題意識からでした。
 海洋災害は多岐にわたります。シンポジウムでは、この問題意識を共有した分野の異なる7人の専門家が、地震による津波、隕石(いんせき)衝突による大津波、海底地震観測、漁業災害、リアルタイム地震情報、地震災害論、地震対策の戦略について講演し、例にないほどの参加者をみました。
 本書は、広く一般の読者にも読んでいただけるよう、あらためて7人の講演者に執筆を依頼し、最新の情報もふまえながら、わかりやすくまとめ直したものです。一見ばらばらにみえる内容ですが、海岸を持つ自治体の防災担当者とっては、ぜひ一読していただきたい本です。(了)

高齢者・障害者の災害時の避難支援のポイント

災害時要援護者避難支援研究会編著(2006/07 ぎょうせい・2000円)

著者の1人からのメッセージ
 鍵屋一 板橋区福祉部板橋福祉事務所長
 現在の福祉政策の目標は「自立支援」です。その考え方は、高齢者や障害者を弱者として保護・救済することから、一人ひとりがもっている人間としての自立の可能性を支援することです。また、制度的には行政中心の保護対策から、各種の社会資源の連携による自立支援に移行しています。同時に、地域社会での見守り活動のような柔らかい社会連帯も期待されます。
 災害時の高齢者・障害者対策も、福祉政策の一環としてとらえるならば、弱者として緊急的に救助・保護するだけではなく、高齢者・障害者一人ひとりがもつ自立の可能性を災害時であっても支援する対策が考えられます。また、行政中心の対策から、地域の社会資源の連携による支援、地域社会での支えあいへ、という方向性も重要です。
 これらは、災害時に急に実施しようとしてもできません。平常時から、要援護者をはじめ、家族、支援者、関係機関との連携により、具体的な支援計画を作成し、訓練する必要があるからです。すなわち、福祉と防災の連携による予防対策が一層重要になります。
 このように「自立支援」の理念によって、要援護者対策は新たなステージに入ってきた、といえます。  本書は、要援護者対策の課題を整理するとともに、先進事例を豊富に紹介して、市町村職員の不安や疑問に応えるものとなっています。(了)

時事通信オンデマンドブックレットシリーズ
地方行政 特集・阪神大震災から5年

地方行政編集部編(2006/08 時事通信社・840円)

著者の1人からのメッセージ
 中川和之 防災リスクマネジメントWeb編集長
 インフラはほぼ震災前の状態に戻り、震災が残した傷跡は徐々に姿を消しつつあった。最後の仮設住宅居住者が復興公営住宅に転居し、住民たちが復興まちづくりに試行錯誤していた。被災地に暮らしていた私も含む時事通信社神戸総局記者と元神戸総局記者たちが、震災から5年たった現状を中心に追い、自治体首長や企画部局などを対象にしたニュースレター「地方行政」に連載した記事を1冊にまとめたのがこの本だ。
 人びとの暮らしや住まいの問題から、まちづくり、経済復興、ボランティア、経験の継承、住宅の耐震化などのテーマに加え、知事や市長のインタビュー、時事独自の全国調査結果などによって、情緒的な報道と一線を画して5年目を切り取ったつもりだ。地震から11年が過ぎた今、地元自治体ですら震災を知る職員の減少に悩んでいる。復興のプロセスで課題になることは何なのか、何が被災地・被災者を元気づけるのかを知るために、全国の自治体で活用して欲しい。また、国内外の専門家による兵庫県の国際検証会議の20分野の成果を自治体担当者向けに要約しているのも、ここだけの貴重なコンテンツだ。(了)


時事通信オンデマンドブックレット(JIJI PRESS SHOP)

防災−訓練のガイド「頭脳の防災訓練」のすすめ

高橋洋・小村隆史著(2006/07 日本防災出版社・2730円)

著者の1人からのメッセージ
 高橋洋 練馬区介護保険課係長
 まじめに取り組まれている担当者の方ほど、ご自分たちの防災訓練について、いろいろ感じていらっしゃる場合があると思います。「毎年、同じ日に、同じような訓練を行っていて、マンネリ化している」、「参加者が、いつも同じで金太郎飴のようだ」、「住民は高齢者ばかりが参加していて、このような防災訓練に意味があるのか」、「災害が発生する可能性は高まっているのに、ショーのような防災訓練でいいのか」等々。
 長年同じようにやってきた防災訓練を変えようとすると大変な労力が必要で、ためらうことも多いと思います。けれども、実際に被害を受けた自治体、文字通り自主的な「自主防災活動」が行われている地域、自分たちの受ける可能性が高い被害を真剣に受け止めて想像力豊かに防災活動に取り組んでいる自治体では、全国各地で「変革」が始まっています。
 小村氏と私は、研究者と自治体の防災担当者という、それぞれの角度からこのような防災訓練の問題解決に取り組んできました。本書では、小さな工夫から大胆な転換までの、各種取り組みをご紹介しています。災害図上訓練DIG(Disaster Imagination Game)をはじめ、各種の頭脳の防災訓練を紹介しています。これらの訓練は、自らの役割の自覚、フェーズによる適切な判断、多機関連携等に役立ちます。また首長などの自治体幹部や警察・消防・自衛隊などの防災機関から、自主防災組織やボランティアの方々まで、災害対策活動に従事するすべての人々が集い、比較的容易に取り組むことができます。
 今年度は、全国の基礎自治体(市区町村)が、国民保護法制度の中での自らの役割を計画化するよう要請されています。小村氏をメインにこの点を考察し、関連した訓練構築の考え方も、お示しすることができたと自負しています。(了)

災害のあと始末 被災後3日目からの対処マニュアル

監修 林春男(京都大学防災研究所教授)(2006/7 エクスナレッジ・945円)

監修者からのメッセージ
 この本は被災者が復旧・復興という長い苦しい過程をのりきるためのガイドブックです。災害を初めて体験した被災者にとっては、復旧・復興の過程も初めての体験です。そのため想定外の問題がたくさん起こります。そこで起きる混乱を少しでも減らすことがこの本の目的です。
 復旧・復興の主役は被災者自身ですが、被災自治体にも被災者の復旧・復興を支援するという大きな役割があります。自治体が行う支援には2種類があります。自治体が自ら直接行うべき仕事と、被災者の活動がしやすくなる環境を提供する仕事です。このバランスをきちんと保つには、被災自治体の職員自身が復旧・復興の過程について体系的に理解する必要があります。この本はそのためのガイドブックでもあります。皆さんが復旧・復興過程のシミュレーションをする際に、役に立てば幸いです。(了)

地震の揺れを科学する−みえてきた強震動の姿

山中浩明編著/武村雅之・岩田知孝・香川敬生・佐藤俊明著(2006/7 東大出版会・2310円)

著者からのメッセージ
 武村雅之 鹿島建設小堀研究所次長
 あなたの自治体では、地震の災害対策の前提となる被害想定は、どうやって行っていますか? 断層がずれることが地震なら、最近分かってきた浜名湖の真下でのゆっくり滑りでも地震が起きるはずですが、そうではありませんよね。地震の揺れとは何でしょうか。あなたは、住民が納得のいく説明ができますか? 地震防災対策の根拠となる被害想定は、すべて地表の揺れが前提です。その仕組みについて、どこまで分かっていますか? コンサル任せになっていませんか?
 地震による強い揺れを“強震動”と言いますが、強震動をとらえて科学的に分析すると、さまざまな要素が絡み合った現象であることがわかります。震源で断層がどのように、またどのくらいの規模ですべるのか? またその際生まれた地震波がどのような経路をたどってわれわれのいるところまで到達するのか? そして最後に、その強さを決める一番重要な要素は、われわれのいる場所がどのような地盤の上にあるのか?などです。地震は、どこでも同じように起きて、同じように揺れるのではありません。地盤の問題が、揺れのかなりの部分を決するのです。
 この本は、第一線で活躍する強震動の研究者が力を合わせ、このように複雑な揺れの現象をできるだけわかりやすく解説したものです。昨今、国や自治体がこぞって発表している強震動予測地図も理解不足では役に立ちません。また、自治体のさまざまなセクションが持っているデータを総合的に生かすことで、住民にもっと役に立つ情報を提供することができます。自治体の行政担当者が、これらの意味を理解し有効に活用するためにも必読の一冊です。(了)

これからの非常食・災害食に求められるもの−災害からの教訓に学ぶ

新潟大学地域連携フードサイエンスセンター編(2006/6、光琳・2625円)

編集者からのメッセージ
 藤村忍 新潟大学助教授/新潟大学地域連携フードサイエンスセンター事務局
 中越地震の被災地、新潟は、食品関連企業1000社以上を抱える地域です。被災により、災害時の食の課題が浮き彫りとなり、新たな食品開発の気運が高まりました。本書は、各界の専門家ともに災害時の「食」を掘り下げ、また新たに開発された食品の事例紹介などを通し、「災害食」の確立を目指した書籍です。

 被災地で非常食はどのように迎えられたのでしょうか? 時系列的に被災者の食事の要求内容は変わります(第4章)。また高齢者、子供、病弱者の食は乾パンでは不十分です。これらは既知の事実のようですが、実際、物資を救援された過去の被災地から声が上がることは少なく、専門家が集中して取り組んだ事例も見られません。
 この問題を考える上で、阪神大震災、中越地震における食(第1、5章)、国際緊急援助隊の携行食品と現地の食事(第2章)、軍事食・救難食と対比させた非常食・災害食のあり方(第5章)などをとらえ直しました。
 そして新潟では被災をきっかけに、10秒程度ですぐに食べられて画期的においしい即席おかゆ(まつや(株)、新潟市、特許製法)や、発熱体とセットで暖かい状態で食べられる非常食(ホリカフーズ(株)、魚沼市)などが開発され、発売に至りました。
 また、救難者である消防署員用の食事メニュー18例、被災地の口腔(こうこう)ケアと誤嚥(えん)性肺炎対策の重要性(第3、6章)などを示し、「食」という新たな視点からの防災を訴えています。
 災害時の食に関連する被害を減少させ、「食」を原動力として震災復興を少しでも早めるため、防災担当者の皆さま、ぜひご活用ください。(了)

防災実務者のための学術誌「減災」(土木施工4月号別冊)

編集企画:阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター(2006/4 山海堂・2800円)

編集者からのメッセージ
「減災」企画編集委員会 幹事長 矢守克也(京大防災研)
 地域防災計画を作る、企業防災をすすめる、あるいは自主防災組織の活動を見直す―。このような防災・減災の現場の実務に直接役立つ知識・情報が欲しい。でも、薄手でお手軽なハウツー書で事足れりとするのは不安だ…。「減災」は、そんなニーズにピタリとフィットする新しい雑誌です。

 「減災」は、研究者や専門家だけを対象にした専門誌ではありません。専門的な知見を踏まえながらも、「防災、減災」と耳にしてもピンと来てくれない職場の仲間に、「この論文はわかりやすくて参考になるよ」と気軽に手渡すことができるような雑誌を目指しています。
 阪神・淡路大震災から10年目に刊行された創刊号では、「阪神・淡路大震災のレビュー」を特集し、被災地・神戸に拠点を置く若手研究者が、震災の全貌をコンパクトにまとめています。また、阪神・淡路大震災をはじめ、新潟県中越地震、インド洋大津波災害、ハリケーンカトリーナ災害など、内外の大災害の被災地を知り尽くした減災のプロフェッショナルが多彩な読み物を寄稿しています。

 次号からは、一般からの投稿も受け付けるほか(詳しくは、創刊号、または、人と防災未来センターのホームページを参照)、全国の自治体、地域、ボランティア団体など第一線で活躍するキーパーソンに、減災実務のツボをスバリ尋ねる取材記事、実務に役立つ書籍、ツール、ウェブサイトの紹介コーナーなど、より具体的、実務的な内容を充実させます。
 新しい時代の防災・減災実務をリードするオピニオン誌「減災」を、是非ご購読ください。(了)

家庭の安全・安心 −くらしの危機管理マニュアル−

(財)全国危険物安全協会編著 「家庭の安全・安心」編集委員会監修(2006/3 時事通信社・1680円)

編著者からのメッセージ
 山越芳男 (財)全国危険物安全協会理事長
 地震・津波・台風・集中豪雨などの自然災害、交通事故や火災、ネット犯罪や振り込め詐欺、子どもが犠牲になる事件、またBSEや添加物など食の安全や住居の耐震強度偽装、さらにはテロ・有事といった事態など、災害や事故・事件が、近年多様化・頻発化の傾向にあり、一般市民の日常生活の安全に対する不安が格段の高まりを見せています。
 こうした情勢を背景に、本書は住民の「安全・安心(生命・財産)」をどう守るかを考えなければならない消防防災関係者をはじめ、各自治体の担当者にとって住民に対してより適切な情報伝達を行うために、手元に置いてすぐ引いて役立つ「安全・安心」の基礎知識を満載しています。(了)

防災−実務のガイド 担当者のここまでとここから

高橋洋著(2005/5、日本防災出版社・2730円)

著者からのメッセージ
 この本は、その時の首長(前区長)から末端まで、東京23区の一つである私たち練馬区の職員が、戦後初の都市型震災とか、現代都市が始めて受けた大震災などといわれた阪神大震災の衝撃を受け止めて、自分たちの防災への考え方や取り組みを転換したこと。そして地元の自主防災活動をしている皆さんや、各種防災機関、協定業界や団体・法人等とともに、約10年の間に、なにをやってきたのかを書いたものです。
 ショー型の防災訓練からの脱却、在住職員の地元での活動、全部局での防災の取組み等。一つ一つの話は、地味な内容だと思います。けれども、全国の防災をご存知の方々ほど、私たちの地味な取組みを高く評価していただいてきたことから、先進的取組みをされている場所は別として、全国の同じ悩みを抱えた防災担当者や、自主防災活動を行われている人々に、ひとつのヒント、場合によっては解決策の参考にしていただけるものと思います。(了)

大地震 死んではいけない! 間違いだらけの「常識」にだまされるな!

(株)レスキューナウ編 目黒公郎監修(2006/4、アスコム・1000円)

編者からのメッセージ
 市川啓一 レスキューナウ社長
 本書は、実際の事例を取り入れながら、取るべき最新の災害対策をわかりやすく解説した防災入門書です。
 「まず水・食料」は間違い! 「すぐに火を消せ」は間違い! 「歩いて帰宅」は間違い!
 社会は豊かになり、様々な防災・防火の技術も向上した現代の日本にあって、あるべき防災対策とは何か? 時代とともに災害対策も進歩し、今までの常識が非常識になっています。
 ご自分の自治体の防災対策、マニュアル、市民への啓発資料は大丈夫ですか? 地域住民・職員のいのちを預かる防災関係者に、ぜひ最新の正しい知識を身に付けていただきたいとの思いを込めた一冊です。(了)

中央防災会議「事業継続ガイドライン」の解説とQ&A

丸谷浩明、指田朝久編著(2006/1、日科技連出版社・2625円)

筆者からのメッセージ
 丸谷浩明 京都大学経済研究所教授(前内閣府企画官)
 本書は、事業継続計画(BCP)と政府のガイドラインのわかりやすい解説書です。BCPとは、企業や組織が災害にあっても重要事業を中断させず早急に復旧させる戦略です。「重要業務の絞込み」「目標復旧時間」などの新たな概念を含みます。災害被害の波及抑制のため、政府の防災基本計画に、企業がBCP策定に努めるよう定められました。
 今後、中小企業にも他企業から取引に際して要求されると見込まれ、ISO規格化の議論も始まります。また、政府は公的機関のBCP促進も準備中です。企業の方はもちろん、行政の企業、防災・危機管理担当の方にお勧めします。(了)

舞台 阪神淡路大震災 全記録

岡本貴也著 (2006/2 三修社・1680円)

編集者からのメッセージ
 渡邊豊 三修社編集部
 本書は、未曾有の大災害である「阪神・淡路大震災」を事実演劇の手法で戯曲化した、05年〜06年の全国ツアー【舞台|阪神淡路大震災】の脚本(戯曲)およびその企画・プロデュースを含む公演の全記録をドキュメント形式で記録したものです。
 戯曲には、自らも被災者である現場の行政マンと被災者の対立と相互理解の経過、ボランティアの成長なども余すところなく描かれています。戯曲は実際に起きた事実を基にしたたくさんのシーンの連続なので、自らの体験を元にしたシーンの入れ替えをすることで、地域に即した自分たちバージョンに出来ます。とくに、高校生・大学生・地域住民が演じることで、地域の防災教育に役立てることも十分可能です。(了)