防災や危機管理に関する多様な本が出版されています。防災リスクマネジメントWebでは、筆者や編集者から、各地の自治体担当者にその本をどう読んで欲しいかのメッセージをいただいて紹介していきます。
 期間限定で、読者プレゼントも行います。無料トライアル中の方も対象となりますので、ぜひ、ご登録下さい。

【防災本】提言!仮設市街地−大地震に備えて

提言!仮設市街地−大地震に備えて 仮設市街地研究会著(2008/5 学芸出版社・2100円)

著者からのメッセージ
 濱田甚三郎 仮設市街地研究会
 中国の四川、岩手・宮城での悲惨な報道が続いている。まさに大地震は、いつ、どこで発生するかもしれないという状況にあることを思い知らされる日々である。
 大地震の到来に備えて、事前の防災に力を注ぐことを、さらに進めなければならないが、それと同時に事後の対応にもぬかりがないようにすることは当然である。事後の緊急対応については、さすがにきめ細かく、行き届いた手配が準備されてきている。しかし、その次の段階の復旧・復興の対策となると、ややおぼろげとなる。
 本書は、復旧・復興段階の困難な局面に、どう挑むかに関する基本的な指針と具体的な方策を、豊富な事例をまじえて分かりやすくまとめた復興まちづくりのテキストである。
 阪神・淡路大震災では、復興に際し地域のコミュニティが維持できず、問題を残した。
 むしろ復興の基本は、もとの住まいやまちをベースに、人と人のつながりを大切にしながら生活を再建する方式で取り組まなければならない。それを実現するのが「仮設市街地」の考え方で、それこそ復興の本流である。
 その時、自治体や企業・地域組織がどう動けばいいのかのイメージトレーニングや具体の訓練に取り組んでいただき、それぞれの復旧・復興への備えをより確かなものにしていただくことを願っている。(了)


【防災本】先端巨大科学で探る地球

先端巨大科学で探る地球 金田義行、佐藤哲也、巽好幸、鳥海光弘著(2008/6 東京大学出版会・2520円)

著者からのメッセージ
 金田義行 海洋研究開発機構海洋工学センター
 地震は、地球システムの中で発生する諸現象の中で、最も身近で災害に直結する自然現象の一つです。再来が危惧(きぐ)されている次の南海トラフの巨大地震である東南海、南海地震への備えとして、先端巨大科学による震源域の掘削科学、リアルタイムモニタリング、ならびにシミュレーションの研究を統合化し、得られた情報を予測科学につなげて、防災減災に生かす研究の整備が進められています。
 南海トラフの巨大地震の巣である紀伊半島沖の熊野灘では、地球深部探査船「ちきゅう」が東南海地震震源域の「地震の巣」を直接掘削して、海溝型巨大地震の発生メカニズムに迫ろうとしています。さらに、複数の地震計や高精度な水圧計をケーブルでつなぎ、リアルタイムで海底下の地殻活動を監視する海底観測ネットワークを構築中で、地震や津波の発生を早期に検知し、稠密(ちゅうみつ)な観測で高精度な規模の評価ができるようにするとともに、水圧計などでの地殻変動データを使って地震発生予測モデルの高度化を目的としています。今後は「地球シミュレータ」のような大型計算資源を活用し、詳細な地震動や津波の予測をはじめ、地殻変動データなどとシミュレーションを組み合わせた「データ同化」といった新たな解析研究を推進し、地震発生予測モデルの高度化を目指しています。
 このような先端巨大科学による地球システム科学研究と、南海トラフ巨大地震研究の最新情報を解説し、行政や企業の防災対策の背景にある科学研究の最前線をわかりやすく紹介しています。(了)


緊急発行!レスキューナウ特派員現地報告 中国四川大地震

緊急発行!レスキューナウ特派員現地報告 中国四川大地震 冨田きよむ著(2008/6 レスキューナウ・500円)

冨田きよむ フリーカメラマン(元有珠山ネット代表)
 やっぱりというべきか。中国が報道規制を始めたというニュースが流れた日に、今回の四川大地震の速報の冊子ができたことに感慨を抱く。取材中、まったく何の規制もなかった。入っちゃだめという地域は、物理的に入ることができない状態になっていた地域だ。この冊子は、自由に取材することができた中国の記録になった。20年前とは別の国だった。
 大マスコミが大人数を投入しても「やらないこと」や「できないこと」を基準に取材を進めた。有珠山噴火で自分が被災者となったときの体験をベースにするとき、見つめるべきものは、自分の目の前にある「つまらない」事実にこそ事の本質があると信じるようになった。その視点は、きっと復興に向かう被災者や、おそらくは自分も被災したであろう行政担当者と同じだろうなと思う。足元と目の先、5メートルの写真をご覧ください。(了)
 本の注文は以下のサイトから。
http://www.rescuenow.net/topic/shisen_kinkyu.html


事業継続計画の意義と経済効果 平常時に評価される実践マネジメントへ

事業継続計画の意義と経済効果 平常時に評価される実践マネジメントへ 丸谷浩明著(2008/5 ぎょうせい・2,500円)

著者からのメッセージ
 丸谷浩明 京都大学経済研究所教授(NPO法人事業継続推進機構理事長)
 地震、大水害、新型インフルエンザなど、企業や行政の事業継続が危うくなる事象が、残念ですが続いています。事業継続計画(BCP)の策定、事業継続マネジメント(BCM)の実施が、取引先や関係先から要求され、社会的責任として求められる状況が、今後さらに強まりそうです。
 幸い、大企業ではBCPを知らないところはあまりなくなり、策定に着手した企業も増えているようです。また、行政のBCPも、国土交通省、徳島県などが策定するなど一部で始まりました。しかし、中小企業や行政一般への普及はまさに緒に就いたばかりです。また、大企業でも、取組みを定着させていくのは今後の課題というところがほとんどです。これからが正念場であり、努力すれば今年が真のBCP元年になるかも知れません。
 私は、BCPの普及のためには、災害、事故等の発生時に限らず、「平常時においてもBCPへの取り組みにメリットがある」と認識できるよう、BCP・BCMが市場や社会から高い評価が得られる仕組みが必要と考えています。このため、NPOの仲間と作成した「中小企業ステップアップ・ガイド」にも、評価のためのチェックリストを加えるなど、努力を続けています。
 本書では、このような点を含め、BCPの基本的考え方、BCP普及策の経緯、BCMの経済的な意義、中小企業へのBCP普及策、行政のBCPのあり方、そしてISO規格化や新型インフルエンザ対策にも若干触れました。従来のBCP策定のノウハウ本とは異なる、BCPの意義を理解しメリットを実現していくための本として、お読みいただければ幸いです。(了)



シリーズ「災害と社会」(3)災害危機管理論入門

シリーズ「災害と社会」(3)災害危機管理論入門 吉井博明・田中淳編(2008/4 弘文堂・3150円)

編者からのメッセージ
 吉井博明 東京経済大教授
 危機管理という困難な業務をこなすには、組織や体制の整備と同時に人材の育成が欠かせない。危機管理は、言うまでもなく、トップの最も重要な職務であるが、トップを支える専門的スタッフの能力が成否を左右すると言っても過言ではない。しかし、そのような危機管理の専門スタッフを目指す人に向けた適切な教科書、特に入門書はなかなか見当たらない。本書は、その穴を埋めるための本を目指している。
 危機管理には周到な準備と発生時の即興(的対応)が不可欠である。事前にしっかりとした計画やマニュアルを作成しておくことは当然だが、それだけでは実際の危機が発生したときにうまく行かないことが多い。危機はきわめて多様なので、そのすべてに対応できる計画やマニュアルを作成することはできないからである。
 即興的対応を含めた、危機対応能力を身につけるには、2つの方法がある。ひとつは、想定される危機に類似した実例を詳細に調べ、そこから成否を分けた要因を読み取ることである。本書では、できる限り多くの実例を取り上げ、危機管理の成否を分けた要因をわかりやすく示すことに力点を置いた。特に、災害対策本部という危機管理の中枢がうまく機能するための条件を実例の中から抽出した。もうひとつの方法は、訓練・演習である。実際に、危機が発生した場合に、計画やマニュアルに沿った対応をするには、多くのノウハウが必要であり、そのための訓練・演習のあり方を具体的に示したことも本書の特長と言えよう。
 もちろん、限られたボリュームで、多様な危機のすべてを扱うわけにはいかないので、本書がカバーする範囲は災害、特に自然災害(地震、豪雨、火山噴火)に限定した。(了)



いとしの能登よみがえれ!=ボランティアの能登ノート

いとしの能登よみがえれ!=ボランティアの能登ノート 文・村井雅清 写真・中山雅照(2008/3 震災がつなぐ全国ネットワーク・1500円)

発行者からのメッセージ
 村井雅清 被災地NGO恊働センター代表
 能登半島地震の発生後、ボランティアに入った私たちは、能登に吹く風、海や空の色、そこに暮らす人びとの素朴さや誇りに触れ、能登の地に惹(ひ)かれていきました。足湯を通じて、語られたさまざまな思いもありました。これを伝えるために、能登の風景や人びとの写真とメッセージをまとめました。
 ここには、地震の被災地らしい写真はほとんどありません。まるで観光ガイドのようなきれいな本ですが、地域での助け合いや地震からの復興のあり方をあらためて考えることができる内容になっています。
 企業や行政にとって、組織としての事業継続計画(BCP)が必要であるように、地域が被災後も継続していくための事前の計画が必要です。復興計画をたてるときにも、地域がどう継続できるかのBCPを日ごろから考えておけば大いに役に立つでしょう。復興に最も影響のある地域の特性が何か、地域が誇りとしているものが何か。能登半島では、例えば祭りが復活するということが、大きな復興のバネになります。行政や企業、ボランティアが、どのように支援し続けていけるのか。この本で、そんなことも考えていただきたいと願っています。(了)

 ※ 入手のお問い合わせは、「震災がつなぐ全国ネットワーク」052-783-7727まで

ぼうさい塾・わがまち減災MAPシミュレーション

日本生活協同組合連合会発行 水島重光(生活協同組合ちばコープ)監修(2008/3 コープ出版・315円)

発行者からのメッセージ
 亀山 薫(日本生活協同組合連合会震災担当)
 災害に対し家庭や地域の「安全・安心」を確保するには、住民一人一人の「日ごろからの災害への備え」が重要です。
 日本生協連では、自分たちの住んでいるまちを見直し、減災を一緒に考え合う企画として「コープぼうさい塾・わがまち減災MAPシミュレーション」に取り組んでいます。自分たちが住んでいるまちの地図に、避難所や病院、井戸のある家、危険な個所などを参加者が話し合いながら書き込み、防災のオリジナルの地図を完成させます。作った地図をもとに、「避難所に向かう想定」「隣の寝たきりのおじいさんを助ける想定」など、災害を具体的に仮想体験することで自助、共助の大切さを学びます。
 この活動の普及のためには、シミュレーションの体験者が地域でその活動を広めることが鍵となると考え、「ファシリテーターの手引書」を作製しました。誰もが簡単にできるよう、イラストをふんだんに使った内容にしました。ぜひ、多くの地域でご活用下さい。(了)

 ※ 入手のお問い合わせは、コープ出版(株) 03-5778-8183 まで

改訂 家庭の安全・安心−あなたと家族を守るリスクマネージメントQ&A−

(財)全国危険物安全協会編著 「家庭の安全・安心」編集委員会監修(2008/3 時事通信社・1680円)

監修者からのメッセージ
 伊藤 滋(都市防災研究所会長)
 私たちの身の回りは常にさまざまな危険にさらされています。地震や台風などの自然災害だけでなく、家の外ではいろいろな災害に遭う可能性は否定できません。
 家の中にいても、火災や高齢者を狙った悪質な詐欺、ネット犯罪など多種多様な事件や事故が待ち受けています。またBSEや添加物など食の安全や住居の耐震強度偽装、さらにはテロ・有事といった事態など、災害や事故・事件が、近年多様化・頻発化の傾向にあり、市民の日常生活の安全に対する不安が高まっています。
 こうしたなか、本書は2006年3月に発行した『家庭の安全・安心』に、新たな「安全・安心」の知識や対策を盛り込むと同時に、全体をQ&A方式に改め、イラストや図表を多く取り入れてよりわかりやすく充実した内容へと構成し直しました。
 市民の「安全・安心(生命・財産)」をどう守るかを考えなければならない消防・防災関係者をはじめ、各自治体や企業の担当者の方々が、適切な情報伝達を行うために、すぐに役立つ「安全・安心」の基礎知識を満載しています。これらの情報が活用され、市民が日常生活をより安心して暮らせるように願っています。(了)

伝承 阪神・淡路大震災 〜われわれが学んだこと〜

神戸防災技術者の会 発行・編集(2008/1、自費出版)

編著者からのメッセージ
 太田敏一 神戸防災技術者の会(神戸市職員)
 阪神・淡路大震災から13年が経過した。この大震災から教訓をくみ取り、次の大災害に生かすことは、被災地のわれわれとしても大きな使命である。「神戸防災技術者の会(略称K−TEC)」は、震災から10年を迎えようとしていた2004年、大震災の伝承、防災や減災についての学習と研究、各地で頻発する自然災害への支援などを目的に、防災や減災にかかわる制度や技術に関心を持つ神戸市役所の職員とその退職者で発足した。
 大震災での活動を振り返るとともに、2年前から始めた神戸学院大学における1年間のリレー講義の素材をベースに、その後各地で発生した自然災害の支援を通じて学んだことや毎月の定例会で学んだことなども盛り込んで、1冊の本としてまとめた。
 とりあげたテーマは、技術系分野だけにとどまらず、生活再建や経済復興などにも及び、大震災直後から復興までの全体像を得られるようになっている。この大震災では、先進的な大都市を直撃した巨大地震により、今までわれわれが経験したことがないことが起こり、その復興のために、長い努力が必要となった。その被害と復興の状況に対して数多くの研究や報告がなされてきたが、これらは、あまりにも膨大で、全容をつかめないのが実情ではないだろうか。この本は、大震災を体験した神戸市職員が、若い人たちに伝えたいエッセンスをひとまとめにしたものである。大震災の全体を理解するうえでの入門の書として多くの人にお勧めしたい。(了)

防災−協働のガイド 自助・共助・公助を超えて

高橋洋・小島誠一郎著(2008/2 日本防災出版社・2730円)

著書からのメッセージ
 高橋洋 練馬区介護保険課係長
 「総力戦」でないと大災害には立ち向かえません。そのためには「協働」の確立が不可欠です。近年、災害対策で強調されすぎている「自助・共助・公助」の枠組みを超えて、つないでいかねばなりません。災害の被害を減らしつつ、発生した事態に立ち向かうために、誰が誰を協働のパートナーとしてどのように進めるのか、要援護者対策は誰と誰がどのように手を携えて進めていくのか、災害時のボランティアの活動はどうなのかを、ゲスト筆者も加え、実例に即してまとめました。この本の隠されたテーマは「要援護者とボランティア」です。
 「防災−実務のガイド」(2005年)と「防災−訓練のガイド」(2006年)を出した後、防災をめぐる動きは、めまぐるしいものがありました。とりわけ、耐震補強等による耐震性の確保や、災害時の要援護者対策が、国から自治体まで、災害対策の第一級の課題と認識されてきました。阪神・淡路大震災後の数年間と比べると、隔世の感があります。時間はかかるかもしれませんが、全国各地で減災対策や要援護者対策が本格的に取り組まれるようになると、災害列島日本にも少しは安心して住めるようになるのかもしれません。
 「実務」「訓練」「協働」と進めてきた「防災のガイド」は、もともと市区町村の災害対策担当職員や、日々活動されている自主防災組織の人々に役立つものを出したい、という出版元の依頼で書きはじめ、2冊目からはテーマにふさわしい共著者らとともに作り上げた実践の書です。全国各地で、日夜災害対策に取り組んでおられる自治体担当者、自主防災組織、ボランティア等の方々の活動に役立てていただきたいと思います。(了)

シリーズ「災害と社会」(1)「災害社会学入門」(2)「復興コミュニティ論入門」

浦野正樹・吉井博明ほか編著(2007/12 弘文堂・各2730円)

編者からのメッセージ
 浦野正樹 早稲田大学文学部教授
 災害対策はハードからソフトの時代にと言われ出して久しいのですが、そのソフトの分野の全体像をきちんとまとめた本がなかったのはご存じでしたか?
 本シリーズは、最前線で活動する各分野の研究者・実務家によって、古今内外の豊富な事例と斬新な分析視点で、災害研究のあゆみと現状を、網羅的・立体的に提示することにより、21世紀の防災対策に実践的に貢献しようという、意欲的なシリーズです。
 第1巻は、その全体像として、防災政策の変遷、命と心、災害と情報、防災教育、被災生活と生活再建、復興まちづくり、防災福祉、ボランティア・NGO、ジェンダー、巨大災害対策、災害のグローバル化など、網羅的・専門的かつ簡潔に展開。第2巻は復興のプロセスについて豊富な事例で紹介しています。さらに続刊も予定しています。
 自治体や企業で、災害対策の文書を起案するときにも、わかりやすい参考文献として大いに役にたつことでしょう。災害・防災・復興について全体的に知見を深めたい実務者の方、これまで深めてきた知見をより体系的に位置づけなおしたい方、これから災害研究に踏み出したい方、ご自分の専門以外の分野を広く知りたい方など、多くの方に読んでいただきたいと思います。(了)

地震に負けるな地域経済:小千谷・柏崎発「弁当プロジェクト」のススメ

永松伸吾著(2007/12 (独)防災科学技術研究所災害リスクガバナンスプロジェクト 非売品)

著者からのメッセージ
 永松伸吾 防災科技研研究員 災害リスクガバナンスプロジェクト リスク政策チームリーダー
 大規模な災害現場を訪れたことのある方には、被災地に大量に寄せられる義援物資に違和感を持つ方も少なくないでしょう。本当に役に立っているものもありますが、ようやく営業再開した飲食店の前で炊き出しが行われていたりなど、かえって地域経済に悪影響を及ぼしている例も少なくないのです。
 この小冊子は、外部からの支援でなく、被災した飲食業者らが連携して地域で必要な食事を弁当として提供することで、飲食業者らの事業継続を図る仕組みとして「弁当プロジェクト」を紹介します。このプロジェクトは2004年中越地震の際小千谷で生まれ、2007年中越沖地震の際、柏崎でそのアイディアが継承され、プロジェクトとしてさらなる発展を遂げたものです。地域資源を活用した新しい災害対応のしくみとして、飲食業者だけでなく災害に関心を持つ多くの方にお読みいただければ幸甚です。(了)

地震の日本史

寒川 旭著(2007/11 中公新書・840円)

著者からのメッセージ
 寒川 旭 産業技術総合研究所招聘研究員
 プレートの運動によって形成された日本列島には、多くの活断層が分布しています。この国に住む限り、大地の激しい揺れから逃れることができないでしょう。それでも、地震の被害は、その場所ごとの地形や地質によって異なりますから、自分の住む地域で過去に発生した地震をよく知っておくことが、将来の地震から我が身を守り、被害を少なくすることにつながります。
 幸いなことに、日本では、過去千数百年におよぶ膨大な文字記録があり、この間に起きた地震の年月日や被害を知ることができます、また、全国各地で行われている考古学の遺跡発掘調査で見つかった地震の痕跡から、具体的な地盤災害や、記録にない地震の存在がわかります。文字記録と地震痕跡という2種類の資料が、これほど充実した国土は、世界でも例が無いでしょう。これに加えて、最近では活断層の研究が著しい進歩を遂げています。
 地震そのものは岩盤の破壊にともなう自然現象ですが、大きな地震のたびに、様々な悲劇や人間ドラマが生じます。それぞれの時代の地震が、当時の人々にどんな運命を与えたかを知ることは、地震への理解を血の通ったものにするでしょう。また、地震による社会への影響を考えることは、日本の歴史に対する理解を深めるでしょう。
 本書では、膨大な文字記録と地震痕跡、これに地震に遭遇した人たちを織り交ぜて、縄文時代から現代にいたるまでの間に発生した地震の歴史を組み立てました。ユニークな地震年表としての機能も備えています。地震を通してこの国の歴史を眺める壮大な旅に、出かけてみませんか!(了)

時事通信オンデマンドブックレットシリーズ
わがまちの強みと弱み−100人のトップが語る防災・危機管理

防災リスクマネジメントWeb編集部編(2007/10 時事通信社・840円)

編集者からのメッセージ
 中川和之 防災リスクマネジメントWeb編集長
 地域の災害対策を進めるには、自治体トップの強い意志が不可欠だ。災害が発生した際に、適切な判断を下し、命令口調で指示をするというリーダーシップだけを指すのではない。自治体が、日々解決が求められるさまざまな政策課題に取り組む中で、いつ起きるか分からない災害対策を進めるためには、トップの強い意志が必要なのだ。
 「防災リスクマネジメントWeb」で連載中の「トップインタビュー」を中心に、延べ100人の自治体首長や危機管理担当幹部の生の声を集めた。各地の時事通信記者が、災害対策の「最大の課題」、「誇れる点と弱点」、「トップとして大事なこと」、「日ごろから何を心掛けているか」という質問を重ねてきた。
 40を超えるトップが何らかの災害対応をした経験を持っていた。犠牲を出した市長は命の大切さを切実に説き、避難勧告や指示を出した経験者は逃げない住民が少なくないことに悩む。巨大地震の発生を確実視される地域からは、切迫感を持った言葉が並ぶ。一方で、自主防災組織や消防団を手放しで称賛するだけにとどまる首長もいる。災害対策の最前線の課題が浮かび上がる一冊だ。(了)

時事通信オンデマンドブックレット(JIJI PRESS SHOP)

緊急地震速報−揺れる前にできること

監修 目黒公郎東京大学生産技術研究所教授、藤縄幸雄リアルタイム地震情報利用協議会(2007/8 東京法令出版・2310円)

編集者からのメッセージ
 清水暁 東京法令出版
 今年10月から一般向けに配信が始まる「緊急地震速報」。地震の大きな揺れ(S波)が来る前に知ることができるため、これを使って地震被害を軽減できると期待されている。
 本書では、気象庁、内閣府、消防庁の担当者が今後の防災対策上の位置づけについて示すとともに、自治体(消防)、病院、建設現場、学校等で先行的に運用を始めている事例を中心に、利用の可能性がまとめられている。今年7月の新潟県中越沖地震のときには、部品工場の被災で自動車の生産ラインが止まる事態が生じた。事業継続は企業にとっても重要な課題であるが、本書でも「緊急地震速報」を使った生産ライン制御について取り上げている。
 一方で、「緊急地震速報」には課題もある。特に、不特定多数の人が集まる場所では、出口に人が殺到するといったパニックが起きることが心配されているため、デパート、ホテル、レジャー施設では、その対策が急がれている。本書では、災害社会学が専門の中森日大文理学部准教授が、詳細なアンケートをもとに、施設管理者に求められる対策を提言している。「緊急地震速報」は可能性を持ったツールではあるが万能ではない。本書を監修・執筆した目黒公郎教授は、直接的な被害軽減よりも、この仕組みを契機に耐震補強などの防災対策が促進されることが重要という。行政、企業で防災を担当する者は、利用可能性を最大限に生かししつつ、活用される場面ごとに正確に位置づけていくことが求められる。(了)

時事通信オンデマンドブックレットシリーズ
大震災神戸発!元広報課長の体験的危機管理

桜井誠一 神戸市保健福祉局長著(2007/7 時事通信社・680円)

筆者からのメッセージ
 桜井誠一 神戸市保健福祉局長
 このたび防災Webで連載させていただいたのをブックレットにしていただきました。より多くの方にお読みいただけることを願っています。
 阪神淡路大震災での神戸市行政を取り巻く出来事を書いていますので、自分の街や自分の仕事では参考にならないと思われるかも知れません。しかし、コミュニケーションという視点で行間を読んでいただき、中川編集長のコメントも合わせお読みいただくと、災害時以外でもきっと参考になることがたくさんあると思います。特に非常時には政治や行政のトップは「なぜ意図が伝わらないのか」と苛立ち、市民や住民は「なぜ思いを聞き入れてくれないのか」と苛立ちます。災害を含め危機には「情報伝達」のみではなく「広報・広聴」が重要なのです。東大地震研究所の島崎教授にはこの連載をゼミの学生さんの教材に使っていただき、好評だったとお褒めいただきました。本のタイトルに「元広報課長」とさせていただいたのも、非常時の信頼には日頃のコミュニケーションが大切であり、リスク管理や危機管理セクションとしての広報にこだわりを持っているからです。
 これからも、危機管理と広報にこだわりを持って続編を書きたいと思っています。そのためにも、このブックレットをお読みいただき、皆様からのご意見もお聞かせいただければ幸いです。(了)

時事通信オンデマンドブックレット(JIJI PRESS SHOP)

水害現場でできたこと、できなかったこと 被災地からおくる防災・減災・復旧ノウハウ

水害サミット実行委員会事務局編(2007/6 (株)ぎょうせい・2600円)

実行委員の一人からのメッセージ
 中貝宗治 兵庫県豊岡市長

◇繰り返される失敗と批判
 押し寄せる濁流。届かない避難勧告。勧告を聞いても逃げない人々。困惑する行政。やっとの思いで避難した人々は、ぬれた服を着て固い床の上で一夜を過ごす。
 やがてごみと泥との闘いが始まる。そのごみも、実はごみではなく、人々の大切な品々ばかり。市町村は、どう処理をして、人々をどう勇気づければいいのか。
 毎年、国内のどこかで大水害が発生している。しかし、個々の市町村にとっては、ほとんどの場合「初めての経験」であり、災害発生の前後を通じて、どう対処すべきか確信を持てず、右往左往しているのが実態である。そして、毎年のように、避難勧告が遅かったのではないかなどの批判が繰り返されている。

◇共有化されない経験
 残念ながら、他地域での災害はあくまで「他人(ひと)事」であり、市町村長も職員もそこから何かを学び取ろうという姿勢はそれほど強いものではない。他方、被災した地域も、自らの経験を積極的には外に発信してこなかった。経験は共有されないまま、風化していく。

◇被災地責任を果たす
 そこで私たちは、大水害を経験した市町にアンケートを行い、経験から得られた貴重な教訓、ノウハウ、反省を集め、分類し、時系列に並べる作業を行った。私たちの経験を少しでも他地域の減災に役立てたい、との思いからであった。
 想定外のことが次々に生じる中で、トップと職員は何をしたのか。何を成し遂げ、何に失敗したのか。  水害現場で本当に苦しんだ者たちの生の声をもとに被災市町が自ら編集したこの本には、机上の理論や計画では決して得られないさまざまな教訓が詰まっている。
 自治体トップと職員に一人でも多く読んでいただけることを願ってやまない。(了)

KOBEの検証シリーズ「別冊」避難所のこと考えたぞう!

大分県ボランティア・市民活動センター編(2007/6 震災がつなぐ全国ネットワーク・650円)

編集者からのメッセージ
 村野淳子 震災がつなぐ全国ネットワーク事務局次長(大分県社会福祉協議会専門員)
 全国で災害救援活動を行ってきた私たちは、予期しない災害に遭遇して甚大な災害から免れたのに、その後の避難生活でさらにつらい思いをして体調を崩したりする事実を、活動を通じて目の当たりにしてきました。行政が避難所に指定しているところは、一時的な避難場所であり、本来生活の場所ではありません。避難所が長期化すると、生活の場に改善していかなければならないのです。私たちはその際に、このブックレットが役立つことを願っています。
 能登半島地震の現地支援活動に参加し、地震10日後ぐらいから、救急車のサイレンを日に3回ほど聞くようになりました。朝5時過ぎの静寂の中で聞こえるサイレンは、被災された方の悲鳴のように聞こえ、心が締め付けられるようでした。
 この本には、それぞれの専門家や経験者が、深い知識と経験を寄せてくださいました。これまでのようなことが繰り返されないよう、過去の被災地での教訓が生かされるよう、ぜひこの冊子を活用していただきたいと思います。(了)

地震予知の科学

日本地震学会地震予知検討委員会編(2007/5 東大出版会・2100円)

著者の一人からのメッセージ
 束田進也 日本地震学会地震予知検討委員会委員(気象庁)
 「実は変な雲を見たんだけど、もうすぐ地震が起こるのでは? 知っていて隠しているでしょう」などというような話をされ困った経験がある人はいませんか? そんな時、日本地震学会地震予知検討委員会のメンバーが「式が一本出るごとに読者が一割減る」という合言葉のもと作り上げたこの本が、きっと役に立つでしょう。
 今回はこの種の本によくありがちな単純な分担執筆はしていません。8人の科学者が何度も推敲(すいこう)を重ね、大激論を交わし続けてまとめたのです。それは単に委員が「おしゃべり」だったから、ばかりではなく、ちまたで繰り返される地震雲やら、動物異常現象、あるいは地震予知不可能論に言いたいことが山ほどあったからです。
 なぜ、これまで地震予知の科学について正面から取り上げ、わかりやすく解説する試み、いや、挑戦が少なかったのでしょうか。数千年というタイムスケールから、強く揺れる直前までを一続きの流れとして、科学的に取り扱う地震予知の戦略は、あたかも一つ一つの楽器の音が重ねあわされて、重厚な交響曲となる様相と似ています。それを自分たちだけで演奏して満足するだけでなく、聴衆にも味わっていただかなければなりません。しかし、一つ一つの楽器を一人前に演奏すること自体難しいと信じているわれわれにとって、このような一般向けの解説書を作る企画は、とてもハードルが高かったのです。このような解説本をお待ちになっていた方々、お待たせして申し訳ありませんでした。
 この本では、地震予知に関する最近10年ほどの成果を述べるとともに、地震予知への道、つまり科学的な地震予知に関するトータルな戦略を示そうとしました。地震予知の現状と成果を等身大にまとめていますが、夢や挑戦に向けたワクワク感も多くの人に正しく伝えたいのです。
 10年以上も前にはやっていたステレオタイプ的な話で地震予知を語るのはもうやめませんか。状況は新たな展開を見せています。今、意外とすごいことまで分かってきたんですよ。皆さん。(了)

地震イツモノート
阪神・淡路大震災の被災者167人にきいたキモチの防災マニュアル

地震イツモプロジェクト編・渥美公秀監修(2007/04、木楽舎・1500円)

企画者からのメッセージ
 永田宏和 NPO法人プラス・アーツ理事長
 今年の4月6日から5月6日までの1カ月間、横浜BankARTで開催された「地震EXPO〜未来は夢見るものではなく備えるものになった」の公式ガイドブックとして制作され、出版されました。文字通り、地震が「もしも起こったら」と考えるのではなく、「いつも起こりうる」ものだととらえ、心構えをしておくことを奨励し、地震との新たな付き合い方を提案する本となっています。
 ベースに敷かれているのは、阪神・淡路大震災の被災体験者167人の生の声です。彼らの貴重な体験を地震直後から避難所での生活にいたるまで時間軸で整理し、ほぼすべての声をイラストで表現しました。「こういう時はこうしなさい!」といった一方通行的で断定的な防災マニュアルが多いなかで、この本は被災体験者が語った「こうしていて助かった」「あの時困ったから今はこうしている」といった防災の知恵や教訓を網羅的に並べ、さらにあの時こういう気持ちだったという被災時の人の気持ちをそのままイラストにすることで、読んだ人が地震のことを自分のこととしてとらえ、考え直すきっかけとなるような双方向的なものをめざして作られています。「あいさつも防災でした」この本にはこうした示唆に富み、心に響く言葉があふれています。そして新進気鋭のイラストレーター・寄藤文平氏がこうした言葉たちを独特のタッチのイラストを添えることで読みやすく、わかりやすいものにアレンジ、監修は自身も被災体験者である大阪大学コミュニケーションデザインセンター准教授の渥美公秀氏です。ぜひ多くの方々に読んでいただきたい本です。(了)

高層難民

渡辺実著(2007/4 新潮社・新潮新書・714円)

著者からのメッセージ
 渡辺実 防災・危機管理ジャーナリスト/まちづくり計画研究所長
 巨大地震が大都市を襲った時、その瞬間から大都市が見せるこれまでにはない「震災の新しい顔」として「震災難民」という概念を提起しています。急激に増加し続ける高層マンションの住民が「高層難民」になる。交通機関が動かなくなって主要ターミナルに「帰宅難民」が大量に発生する。そして膨大な被災者を収容できない「避難所難民」が発生する。「震災難民」とは、この三大震災難民を指します。この実態を明らかにして、そして我々が具体的に採りうる対策法についてもまとめました。
 特に「高層難民」については、これまで行政や防災関係者がその現実から目を背けていた感があり、あえて本書のタイトルにしました。地震によっての停電でエレベーターは停止し移動が不可能になり、同時に閉じ込め事故が発生します。また水道の供給が止まればトイレが使用できない状況が誰でも容易に想像できます。超高層マンションは、一瞬にして地獄の塔になるのです。地震発生確率が高まりつつある今、こんな地獄を生むようなまちづくりを推進していくべきなのでしょうか。その現実があるのであれば、防災行政として無策でこの発生する地獄を見過ごしていていていいのでしょうか。東京都中央区では、急ピッチで進む高層マンション開発が止められない現実をふまえ、今年から新しく建設される高層マンションに備蓄機能などの防災機能を持たせる開発指導要綱を施行します。こうした行政施策でベストではありませんが、より巨大地震が発生した際のリスク軽減策を実行に移したことは、評価に値します。
 多くの防災関係者に本書を読んでいただき、現実から目を背けずに大都市が巨大地震に襲われた時必ず発生する三大震災難民対策を、早急に実施することを期待します。(了)

いのちをまもる智恵 減災に挑む30の風景

いのちをまもる智恵制作委員会(2007/03 レスキューストックヤード・非売品)

監修者の1人からのメッセージ
 室崎益輝 総務省消防庁消防大学校消防研究センター所長
 災害は多くの犠牲を人間に強いるが、人間はその犠牲を糧に多くのことを学ぶ。その学びは、減災のための智恵を紡ぎだす。その智恵は被災地で育まれ、安全のための文化として結実する。ところでこの智恵や文化は、被災地だけのものであってはならない。これから災害の洗礼を受けるかもしれない地域にこそ伝え、1人でも多くの生命を救う力としなければならない。といっても、この智恵や文化を伝えることはなかなか難しい。一言で語り尽くせないからである。それゆえに、被災体験が伝わらず同じ過ちを繰り返すことになってしまう。ところが、この困難な伝承をいとも簡単にやってのける冊子というか絵本が刊行された。それがこの「いのちをまもる智恵」である。災害体験でうまれた智恵の集積というべき30の減災文化を、やさしい語りと美しいイラストのハーモニーで伝えてくれる。それゆえに、減災のための智恵を広める伝道師の役割をこの冊子が果たすことを期待して、みなさんに一読をすすめたい。(了)


いのちをまもる智恵(レスキューストックヤードhp)

防災実務者のための学術誌「減災」Vol.2(土木施工3月号別冊)

編集企画:阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター(2007/3、山海堂・2800円)

編集者からのメッセージ
 矢守克也 「減災」企画編集委員会幹事長(京大防災研助教授)
 昨年、「防災実務者のための学術誌」と銘打って新しく刊行した雑誌「減災」の第2号ができあがりました。「減災」は、研究者や専門家だけを対象にした専門誌ではありません。専門的な知見を踏まえながらも、自治体や企業で防災・減災の実務にあたられる方々が、「この手法は、うちでもすぐ使えそうだ」、「巨大災害の被災地では、こんなことも起こるんだ」と、職場の仲間に気軽に手渡すことができるような雑誌を目指しています。

 第2号では、「広域災害にどう備えるか」という特集が組まれ、首都直下地震の被害想定、ハリケーン「カトリーナ」の被害についてまとめたカラーグラフに続いて、8つの論文が掲載されています。首都直下地震、東海・東南海・南海地震など、わが国が今後立ち向かっていかねばならない大規模広域災害に対する減災対策について、具体的かつ多面的に議論されています。8編の論文のうち、4編は自治体の職員、3編は大学の研究者、残りの1編は企業の実務家によって執筆されており、内容も視点も非常に多彩です。
 また、第2号から、創刊号にはなかった一般論文(合計7編)も掲載されています。同時に、現場ですぐに役立つ情報が満載された「減災への取り組み事例」、草の根の減災活動を担う民間の団体の活動について紹介する「民間団体活動紹介」のコーナーも新しく設けられ、より具体的で、実務的な内容となりました。

時事通信オンデマンドブックレットシリーズ
防災でも元気印「恐るべし名古屋!」その仕掛け人たち

防災リスクマネジメントWeb編集部編(2007/3 時事通信社・840円)

編集者からのメッセージ
 中川和之 防災リスクマネジメントWeb編集長
 防災の基本は、地域防災力の向上である。自主防災が重要と言われ、バケツリレーや避難訓練が役に立つのか疑問だが、ほかに何をしていいか分からない。危機管理を担う組織のはずが、いざというときに現場もトップも想定通り動けるとはとても思えないが、どう一歩を踏み出したらいいか分からない。地域にはたくさんの担い手がいる。県域や市区町村単位、学区・町内会など、さまざまな役者がいるが、その思いもある人たちを、どうつないだらいいか分からない。10年前の名古屋は、このような状況とそう変わらなかったはずだ。
 名古屋大でのホームドクター宣言から5年で、一気に浮上した。昨年4月、首相官邸にいつもの実験セットを持ち込み、中央防災会議の場で小泉純一郎首相に「紙ぶるる」の実験で耐震化の重要性を納得させた福和伸夫教授ら大学が裏から支え、メディアやNPOが引っ張り、企業が動き、行政ががんばり、市民が飛び跳ねて、名古屋の防災の元気を作っている。昨年8月に中心街で開かれた防災フェアも、何だか妙なエネルギーに満ちていた。71人の筆者が、それぞれに、ここまでに至ったプロセスを書きつづったのが本書だ。元気がわいてくる連携の地域防災力向上、減災の国民運動の教科書が一冊できあがった。(了)

時事通信オンデマンドブックレット(JIJI PRESS SHOP)
産官学民の71人の筆者が、ダイナミックに連携して地域防災力向上に取り組んだり議論した結果は、各地での減災の国民運動の教科書だ。

危機対応社会のインテリジェンス戦略 事例に学ぶ情報共有と組織間連携

危機管理社会の情報共有研究会著(2006/12 日経BP出版センター・1995円)

編集協力者からのメッセージ
 南敏彦 尼崎市今北総合センター所長(前防災対策課長)
 ごく普通の自治体に突然発生した緊急事態。JR福知山線脱線事故のような災害は、いつどこで起きても不思議ではない、まさにあたりまえの日常に存在する危機です。私たちはこのような災害にどのように対処したらよいのか。本書では、緊急事態が発生したとき、情報の共有と組織間の連携がいかに重要であるかについて、JR福知山線脱線事故の対策を分析するとともに、阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件を通じた日本の危機管理体制の現状、アメリカでの危機管理体制や実際の事例などをもとに詳細に報告されています。
 その時、何ができて何ができなかったのか、また何をすべきだったのか。結果としては及第点であったかもしれない今回の尼崎市での対策ですが、実際に対応した者にとっては、どれだけ反省点が多く課題が残るものであったかを、本書での分析を通じて現状の体制や他の事例とも比較しながら感じていただければと思います。どの報告書などよりも詳細にまとめられた尼崎市での事故対策のタイムラインは、資料としても貴重なものであり、危機管理に関する自治体や関係機関の関係者の方々にはぜひ一読していただきたい一冊だと思います。(了)

世界一おいしい火山の本−チョコやココアで噴火実験

林信太郎著(2006/12 小峰書店・1575円)

著者からのメッセージ
 林信太郎 秋田大学教育文化学部教授
 災害教育は、あつかう対象がたいへん「こわい」ものです。しかし、こわいこわいと子どもたちを脅しても、なかなか災害について学んでもらえません。子どもが怖がって、かえって逆効果だったりします。
 子どもたちに火山について知ってもらうことは、火山災害をへらすためにとても役に立ちます。これからの人生が長い子どもたちのほうが、火山災害にあう可能性が高いからです。どんなことが起こるか知っていれば、パニックを起こす可能性も少なくなります。また、噴火に関するイメージがあれば、すばやく避難するようになります。
 では、どうやったら火山について学んでもらえるのでしょうか? そして、火山災害の話を受け入れてもらえるのでしょうか? 中学校や小学校で出前授業を続けながら、5年間考えた答えが、この本です。
 この本のコンセプトは「楽しく学んで噴火にそなえる」です。火山噴火をココアやチョコなど子どもたちに身近な食材を使って再現することで、火山噴火を模擬体験し、実感できるようになっています。例えば、「潜在溶岩ドーム実験」では、ガナッシュクリームをマグマ、ココアを地盤のかわりにつかっています(実験後にできあがるのはトリュフ!)。このように、噴火のしくみをイメージできて、ついでにおいしい10の実験が収録されています。
 また、噴火のすごさを知ってもらうために、怪獣・ガメラの破壊範囲と噴火の破壊範囲を比較したり、富士山噴火の推定被害総額の札束の高さを、富士山自体の高さと比べてみたりといった工夫をしてあります。火山噴火以外の災害(地震や津波や土砂災害など)の教育や普及活動のヒントがきっとこの本にあると思います。ぜひ、防災関係の大人の方々にも読んでいただきたいと思います。(了)

スーパー都市災害から生き残る

河田惠昭著(2006/6 新潮社・1260円)

編集者からのメッセージ
 風元正 新潮社出版企画部ノンフィクション編集部
 去年は台風+豪雨、今年は竜巻。もちろん、大地震は毎年のように各地で起こり、日本は未曾有の災害多発期に入っています。にもかかわらず、日常生活は便利になる一方で、携帯電話やインターネットがなく、電車や自動車が動かない状況など想定することはできません。もはや、はた迷惑な隣人となってしまった災害とどう付き合ってゆくか。これは重要な課題だ、と考えた瞬間、徹底した現場分析から智恵を引き出す河田惠昭先生の温顔が真っ先に浮かびました。
 大災害が起こった時、自治体の担当者の判断がどれだけ大きな影響を及ぼすか。この本の中で、豊富な実例とともに分析されています。しかし、河田先生が強調されるのは「想像力」です。二度同じ災害が起こることはありません。過去の事例から学び、被害をどうやって軽減してゆくか。防災のプロの鮮やかな思考の筋道をぜひ、参考にして頂きたいと思います。(了)

超巨大地震がやって来た−スマトラ沖地震津波に学べ

木股文昭・田中重好・木村玲欧編著(2006/11 時事通信社・1890円)

著者からのメッセージ
 木村玲欧 名古屋大学大学院環境学研究科
 将来、日本列島で起こる大地震や大津波に対して、国民はどれだけ明確なイメージを持っているだろうか。家族・組織がどのように行動すればよいかわかっているだろうか。本書は、2004年12月26日、22万人を超える犠牲者をだして世界中を震かんさせたスマトラ沖地震津波の実態をわかりやすく紹介しながら、日本が学ぶべき教訓についてまとめたものである。
 筆者は、名古屋大学大学院環境学研究科に所属する、地震学・地理学・経済学・社会学・心理学の研究者である。災害発生後、それぞれの専門分野を生かしながら、インドネシアやタイでの現地調査を精力的に行い、スマトラ沖地震津波災害の全容を明らかにするとともに、将来の日本にも生かされる貴重な教訓を堀り起こす作業を行ってきた。
 理系・文系双方の研究者が、地震・津波の原理、人々や社会に与えた被害・影響、生活再建・復興の様子についてまで、図や写真を多用しながら解説している。興味を持った中高生でも容易に読み進めることができるように、分かりやすく書かれている。また、スマトラ沖地震津波災害を総合的に知ることができるだけでなく、この教訓がどのように日本の防災に生かせるのかについても十分に紙数が割かれている。スマトラ沖地震津波災害が「対岸の火事」ではないことを知った良識ある人々によって、個人や地域の防災力が向上することを願ってやまない。(了)

時事通信オンデマンドブックレットシリーズ
防災リスクマネジメントWeb 実践防災フォーラム「どう変える防災訓練」

防災リスクマネジメントWeb編集部編(2006/10 時事通信社・680円)

編集者からのメッセージ
 住民は見学者で、自衛隊も参加しない出初め式のようなショーが当たり前だった防災訓練。阪神大震災を機に変わりしつつありますが、先進自治体でもまだ試行錯誤なのが実態です。
 行政の防災担当者向けメディア「防災リスクマネジメントWeb」(防災Web)が2006年2月にサービスを開始したのを記念して、同年5月に開催した実践防災フォーラム「どう変える、防災訓練」全記録の連載をまとめたのが本書です。連載になかった発表資料の抜粋を加え、内閣府(防災)、総務省消防庁、兵庫県、静岡県、東京都練馬区、山口県宇部市の報告に加え、まとめ役の重川希志枝富士常葉大教授(中央防災会議委員)、会場の自治体関係者やDIGの生みの親の小村富士常葉大助教授ら研究者らも加わった熱い議論は、今、最前線に立つ担当者には必読です。(了)


時事通信オンデマンドブックレット(JIJI PRESS SHOP)

天災・人災 海洋災害の分析と防災対策

藤縄幸雄編(2006/05 生物研究社・3150円)

編者からのメッセージ
 藤縄幸雄 特定非営利活動法人リアルタイム地震情報利用協議会専務理事
 わが国は、四囲を海に囲まれ、明美な風光と豊富な海産物に恵まれています。反面、海の地震、津波、波浪などの災害にさらされているのは、宿命というべきです。
 先年海洋理工学会でシンポジウム「21世紀の海洋災害に向き合う」を開催しました。開催の動機は、「阪神淡路大震災のあとに多くの新たな方策が試みられたが、次の地震が起きたときに役に立つのか。防災にかかわる個人・専門家・機関にとって最も大切なことは何か。それがきちんと把握され、いざというときに実行されるか」という問題意識からでした。
 海洋災害は多岐にわたります。シンポジウムでは、この問題意識を共有した分野の異なる7人の専門家が、地震による津波、隕石(いんせき)衝突による大津波、海底地震観測、漁業災害、リアルタイム地震情報、地震災害論、地震対策の戦略について講演し、例にないほどの参加者をみました。
 本書は、広く一般の読者にも読んでいただけるよう、あらためて7人の講演者に執筆を依頼し、最新の情報もふまえながら、わかりやすくまとめ直したものです。一見ばらばらにみえる内容ですが、海岸を持つ自治体の防災担当者とっては、ぜひ一読していただきたい本です。(了)

高齢者・障害者の災害時の避難支援のポイント

災害時要援護者避難支援研究会編著(2006/07 ぎょうせい・2000円)

著者の1人からのメッセージ
 鍵屋一 板橋区福祉部板橋福祉事務所長
 現在の福祉政策の目標は「自立支援」です。その考え方は、高齢者や障害者を弱者として保護・救済することから、一人ひとりがもっている人間としての自立の可能性を支援することです。また、制度的には行政中心の保護対策から、各種の社会資源の連携による自立支援に移行しています。同時に、地域社会での見守り活動のような柔らかい社会連帯も期待されます。
 災害時の高齢者・障害者対策も、福祉政策の一環としてとらえるならば、弱者として緊急的に救助・保護するだけではなく、高齢者・障害者一人ひとりがもつ自立の可能性を災害時であっても支援する対策が考えられます。また、行政中心の対策から、地域の社会資源の連携による支援、地域社会での支えあいへ、という方向性も重要です。
 これらは、災害時に急に実施しようとしてもできません。平常時から、要援護者をはじめ、家族、支援者、関係機関との連携により、具体的な支援計画を作成し、訓練する必要があるからです。すなわち、福祉と防災の連携による予防対策が一層重要になります。
 このように「自立支援」の理念によって、要援護者対策は新たなステージに入ってきた、といえます。  本書は、要援護者対策の課題を整理するとともに、先進事例を豊富に紹介して、市町村職員の不安や疑問に応えるものとなっています。(了)

時事通信オンデマンドブックレットシリーズ
地方行政 特集・阪神大震災から5年

地方行政編集部編(2006/08 時事通信社・840円)

著者の1人からのメッセージ
 中川和之 防災リスクマネジメントWeb編集長
 インフラはほぼ震災前の状態に戻り、震災が残した傷跡は徐々に姿を消しつつあった。最後の仮設住宅居住者が復興公営住宅に転居し、住民たちが復興まちづくりに試行錯誤していた。被災地に暮らしていた私も含む時事通信社神戸総局記者と元神戸総局記者たちが、震災から5年たった現状を中心に追い、自治体首長や企画部局などを対象にしたニュースレター「地方行政」に連載した記事を1冊にまとめたのがこの本だ。
 人びとの暮らしや住まいの問題から、まちづくり、経済復興、ボランティア、経験の継承、住宅の耐震化などのテーマに加え、知事や市長のインタビュー、時事独自の全国調査結果などによって、情緒的な報道と一線を画して5年目を切り取ったつもりだ。地震から11年が過ぎた今、地元自治体ですら震災を知る職員の減少に悩んでいる。復興のプロセスで課題になることは何なのか、何が被災地・被災者を元気づけるのかを知るために、全国の自治体で活用して欲しい。また、国内外の専門家による兵庫県の国際検証会議の20分野の成果を自治体担当者向けに要約しているのも、ここだけの貴重なコンテンツだ。(了)


時事通信オンデマンドブックレット(JIJI PRESS SHOP)

防災−訓練のガイド「頭脳の防災訓練」のすすめ

高橋洋・小村隆史著(2006/07 日本防災出版社・2730円)

著者の1人からのメッセージ
 高橋洋 練馬区介護保険課係長
 まじめに取り組まれている担当者の方ほど、ご自分たちの防災訓練について、いろいろ感じていらっしゃる場合があると思います。「毎年、同じ日に、同じような訓練を行っていて、マンネリ化している」、「参加者が、いつも同じで金太郎飴のようだ」、「住民は高齢者ばかりが参加していて、このような防災訓練に意味があるのか」、「災害が発生する可能性は高まっているのに、ショーのような防災訓練でいいのか」等々。
 長年同じようにやってきた防災訓練を変えようとすると大変な労力が必要で、ためらうことも多いと思います。けれども、実際に被害を受けた自治体、文字通り自主的な「自主防災活動」が行われている地域、自分たちの受ける可能性が高い被害を真剣に受け止めて想像力豊かに防災活動に取り組んでいる自治体では、全国各地で「変革」が始まっています。
 小村氏と私は、研究者と自治体の防災担当者という、それぞれの角度からこのような防災訓練の問題解決に取り組んできました。本書では、小さな工夫から大胆な転換までの、各種取り組みをご紹介しています。災害図上訓練DIG(Disaster Imagination Game)をはじめ、各種の頭脳の防災訓練を紹介しています。これらの訓練は、自らの役割の自覚、フェーズによる適切な判断、多機関連携等に役立ちます。また首長などの自治体幹部や警察・消防・自衛隊などの防災機関から、自主防災組織やボランティアの方々まで、災害対策活動に従事するすべての人々が集い、比較的容易に取り組むことができます。
 今年度は、全国の基礎自治体(市区町村)が、国民保護法制度の中での自らの役割を計画化するよう要請されています。小村氏をメインにこの点を考察し、関連した訓練構築の考え方も、お示しすることができたと自負しています。(了)

災害のあと始末 被災後3日目からの対処マニュアル

監修 林春男(京都大学防災研究所教授)(2006/7 エクスナレッジ・945円)

監修者からのメッセージ
 この本は被災者が復旧・復興という長い苦しい過程をのりきるためのガイドブックです。災害を初めて体験した被災者にとっては、復旧・復興の過程も初めての体験です。そのため想定外の問題がたくさん起こります。そこで起きる混乱を少しでも減らすことがこの本の目的です。
 復旧・復興の主役は被災者自身ですが、被災自治体にも被災者の復旧・復興を支援するという大きな役割があります。自治体が行う支援には2種類があります。自治体が自ら直接行うべき仕事と、被災者の活動がしやすくなる環境を提供する仕事です。このバランスをきちんと保つには、被災自治体の職員自身が復旧・復興の過程について体系的に理解する必要があります。この本はそのためのガイドブックでもあります。皆さんが復旧・復興過程のシミュレーションをする際に、役に立てば幸いです。(了)

地震の揺れを科学する−みえてきた強震動の姿

山中浩明編著/武村雅之・岩田知孝・香川敬生・佐藤俊明著(2006/7 東大出版会・2310円)

著者からのメッセージ
 武村雅之 鹿島建設小堀研究所次長
 あなたの自治体では、地震の災害対策の前提となる被害想定は、どうやって行っていますか? 断層がずれることが地震なら、最近分かってきた浜名湖の真下でのゆっくり滑りでも地震が起きるはずですが、そうではありませんよね。地震の揺れとは何でしょうか。あなたは、住民が納得のいく説明ができますか? 地震防災対策の根拠となる被害想定は、すべて地表の揺れが前提です。その仕組みについて、どこまで分かっていますか? コンサル任せになっていませんか?
 地震による強い揺れを“強震動”と言いますが、強震動をとらえて科学的に分析すると、さまざまな要素が絡み合った現象であることがわかります。震源で断層がどのように、またどのくらいの規模ですべるのか? またその際生まれた地震波がどのような経路をたどってわれわれのいるところまで到達するのか? そして最後に、その強さを決める一番重要な要素は、われわれのいる場所がどのような地盤の上にあるのか?などです。地震は、どこでも同じように起きて、同じように揺れるのではありません。地盤の問題が、揺れのかなりの部分を決するのです。
 この本は、第一線で活躍する強震動の研究者が力を合わせ、このように複雑な揺れの現象をできるだけわかりやすく解説したものです。昨今、国や自治体がこぞって発表している強震動予測地図も理解不足では役に立ちません。また、自治体のさまざまなセクションが持っているデータを総合的に生かすことで、住民にもっと役に立つ情報を提供することができます。自治体の行政担当者が、これらの意味を理解し有効に活用するためにも必読の一冊です。(了)

これからの非常食・災害食に求められるもの−災害からの教訓に学ぶ

新潟大学地域連携フードサイエンスセンター編(2006/6、光琳・2625円)

編集者からのメッセージ
 藤村忍 新潟大学助教授/新潟大学地域連携フードサイエンスセンター事務局
 中越地震の被災地、新潟は、食品関連企業1000社以上を抱える地域です。被災により、災害時の食の課題が浮き彫りとなり、新たな食品開発の気運が高まりました。本書は、各界の専門家ともに災害時の「食」を掘り下げ、また新たに開発された食品の事例紹介などを通し、「災害食」の確立を目指した書籍です。

 被災地で非常食はどのように迎えられたのでしょうか? 時系列的に被災者の食事の要求内容は変わります(第4章)。また高齢者、子供、病弱者の食は乾パンでは不十分です。これらは既知の事実のようですが、実際、物資を救援された過去の被災地から声が上がることは少なく、専門家が集中して取り組んだ事例も見られません。
 この問題を考える上で、阪神大震災、中越地震における食(第1、5章)、国際緊急援助隊の携行食品と現地の食事(第2章)、軍事食・救難食と対比させた非常食・災害食のあり方(第5章)などをとらえ直しました。
 そして新潟では被災をきっかけに、10秒程度ですぐに食べられて画期的においしい即席おかゆ(まつや(株)、新潟市、特許製法)や、発熱体とセットで暖かい状態で食べられる非常食(ホリカフーズ(株)、魚沼市)などが開発され、発売に至りました。
 また、救難者である消防署員用の食事メニュー18例、被災地の口腔(こうこう)ケアと誤嚥(えん)性肺炎対策の重要性(第3、6章)などを示し、「食」という新たな視点からの防災を訴えています。
 災害時の食に関連する被害を減少させ、「食」を原動力として震災復興を少しでも早めるため、防災担当者の皆さま、ぜひご活用ください。(了)

防災実務者のための学術誌「減災」(土木施工4月号別冊)

編集企画:阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター(2006/4 山海堂・2800円)

編集者からのメッセージ
「減災」企画編集委員会 幹事長 矢守克也(京大防災研)
 地域防災計画を作る、企業防災をすすめる、あるいは自主防災組織の活動を見直す―。このような防災・減災の現場の実務に直接役立つ知識・情報が欲しい。でも、薄手でお手軽なハウツー書で事足れりとするのは不安だ…。「減災」は、そんなニーズにピタリとフィットする新しい雑誌です。

 「減災」は、研究者や専門家だけを対象にした専門誌ではありません。専門的な知見を踏まえながらも、「防災、減災」と耳にしてもピンと来てくれない職場の仲間に、「この論文はわかりやすくて参考になるよ」と気軽に手渡すことができるような雑誌を目指しています。
 阪神・淡路大震災から10年目に刊行された創刊号では、「阪神・淡路大震災のレビュー」を特集し、被災地・神戸に拠点を置く若手研究者が、震災の全貌をコンパクトにまとめています。また、阪神・淡路大震災をはじめ、新潟県中越地震、インド洋大津波災害、ハリケーンカトリーナ災害など、内外の大災害の被災地を知り尽くした減災のプロフェッショナルが多彩な読み物を寄稿しています。

 次号からは、一般からの投稿も受け付けるほか(詳しくは、創刊号、または、人と防災未来センターのホームページを参照)、全国の自治体、地域、ボランティア団体など第一線で活躍するキーパーソンに、減災実務のツボをスバリ尋ねる取材記事、実務に役立つ書籍、ツール、ウェブサイトの紹介コーナーなど、より具体的、実務的な内容を充実させます。
 新しい時代の防災・減災実務をリードするオピニオン誌「減災」を、是非ご購読ください。(了)

家庭の安全・安心 −くらしの危機管理マニュアル−

(財)全国危険物安全協会編著 「家庭の安全・安心」編集委員会監修(2006/3 時事通信社・1680円)

編著者からのメッセージ
 山越芳男 (財)全国危険物安全協会理事長
 地震・津波・台風・集中豪雨などの自然災害、交通事故や火災、ネット犯罪や振り込め詐欺、子どもが犠牲になる事件、またBSEや添加物など食の安全や住居の耐震強度偽装、さらにはテロ・有事といった事態など、災害や事故・事件が、近年多様化・頻発化の傾向にあり、一般市民の日常生活の安全に対する不安が格段の高まりを見せています。
 こうした情勢を背景に、本書は住民の「安全・安心(生命・財産)」をどう守るかを考えなければならない消防防災関係者をはじめ、各自治体の担当者にとって住民に対してより適切な情報伝達を行うために、手元に置いてすぐ引いて役立つ「安全・安心」の基礎知識を満載しています。(了)

防災−実務のガイド 担当者のここまでとここから

高橋洋著(2005/5、日本防災出版社・2730円)

著者からのメッセージ
 この本は、その時の首長(前区長)から末端まで、東京23区の一つである私たち練馬区の職員が、戦後初の都市型震災とか、現代都市が始めて受けた大震災などといわれた阪神大震災の衝撃を受け止めて、自分たちの防災への考え方や取り組みを転換したこと。そして地元の自主防災活動をしている皆さんや、各種防災機関、協定業界や団体・法人等とともに、約10年の間に、なにをやってきたのかを書いたものです。
 ショー型の防災訓練からの脱却、在住職員の地元での活動、全部局での防災の取組み等。一つ一つの話は、地味な内容だと思います。けれども、全国の防災をご存知の方々ほど、私たちの地味な取組みを高く評価していただいてきたことから、先進的取組みをされている場所は別として、全国の同じ悩みを抱えた防災担当者や、自主防災活動を行われている人々に、ひとつのヒント、場合によっては解決策の参考にしていただけるものと思います。(了)

大地震 死んではいけない! 間違いだらけの「常識」にだまされるな!

(株)レスキューナウ編 目黒公郎監修(2006/4、アスコム・1000円)

編者からのメッセージ
 市川啓一 レスキューナウ社長
 本書は、実際の事例を取り入れながら、取るべき最新の災害対策をわかりやすく解説した防災入門書です。
 「まず水・食料」は間違い! 「すぐに火を消せ」は間違い! 「歩いて帰宅」は間違い!
 社会は豊かになり、様々な防災・防火の技術も向上した現代の日本にあって、あるべき防災対策とは何か? 時代とともに災害対策も進歩し、今までの常識が非常識になっています。
 ご自分の自治体の防災対策、マニュアル、市民への啓発資料は大丈夫ですか? 地域住民・職員のいのちを預かる防災関係者に、ぜひ最新の正しい知識を身に付けていただきたいとの思いを込めた一冊です。(了)

中央防災会議「事業継続ガイドライン」の解説とQ&A

丸谷浩明、指田朝久編著(2006/1、日科技連出版社・2625円)

筆者からのメッセージ
 丸谷浩明 京都大学経済研究所教授(前内閣府企画官)
 本書は、事業継続計画(BCP)と政府のガイドラインのわかりやすい解説書です。BCPとは、企業や組織が災害にあっても重要事業を中断させず早急に復旧させる戦略です。「重要業務の絞込み」「目標復旧時間」などの新たな概念を含みます。災害被害の波及抑制のため、政府の防災基本計画に、企業がBCP策定に努めるよう定められました。
 今後、中小企業にも他企業から取引に際して要求されると見込まれ、ISO規格化の議論も始まります。また、政府は公的機関のBCP促進も準備中です。企業の方はもちろん、行政の企業、防災・危機管理担当の方にお勧めします。(了)

舞台 阪神淡路大震災 全記録

岡本貴也著 (2006/2 三修社・1680円)

編集者からのメッセージ
 渡邊豊 三修社編集部
 本書は、未曾有の大災害である「阪神・淡路大震災」を事実演劇の手法で戯曲化した、05年〜06年の全国ツアー【舞台|阪神淡路大震災】の脚本(戯曲)およびその企画・プロデュースを含む公演の全記録をドキュメント形式で記録したものです。
 戯曲には、自らも被災者である現場の行政マンと被災者の対立と相互理解の経過、ボランティアの成長なども余すところなく描かれています。戯曲は実際に起きた事実を基にしたたくさんのシーンの連続なので、自らの体験を元にしたシーンの入れ替えをすることで、地域に即した自分たちバージョンに出来ます。とくに、高校生・大学生・地域住民が演じることで、地域の防災教育に役立てることも十分可能です。(了)