2007/04/04
【会議詳報】衆院・参院 災害対策特別委員会
4月4日に衆院災害対策特別委員会で行われた能登半島地震の集中審議の要旨は次の通り。
【激甚災害】
北村茂男氏(自民) 激甚災害の早期指定の見通しは。
溝手顕正防災担当大臣 被災した自治体は避難者の応急対策を最優先に取り組んでおり、その報告を待っていたのではらちがあかないと判断している。激甚災害指定の可否判断は、できるだけ速やかにと考えており、新潟県中越地震と同様に、被害推定額を使用していきたい。国土地理院の地図や航空写真を使用してこれに代えていきたい。本省や地方機関から職員を派遣し、自治体と協力して、被害状況を一刻も早く早期に把握し、できるだけ速やかに激甚の問題に決着を付けたい。
【財政・交付税】
北村氏 特別交付税の前渡しのような制度はできないのか。
椎川忍総務省審議官(財政制度・財務担当) 今回の応急対策や復旧対策に係る財源は多額に上る。各省庁で手当てしても、地方負担分もあり、十分実態をお聞きし、交付税や地方債券などで財政運用ができるよう支援したい。現状の交付金制度では12月と3月に現金交付を行うため、今回の地震では今年12月分で適切に配慮する。ただ、当面の資金繰り対策を円滑にしていただくため、今回の災害で被害を受けた石川県内の3市4町に、普通交付税6月交付分の3割を4月12日に繰り上げて交付することを決めている。4月3日には定例の交付税87億円を現金交付しており、当面の資金繰りには十分対応できるのではと考えている。
【がんばる地方応援プログラム】
谷公一氏(自民) 阪神大震災や中越地震では基金を作ったため、自治体の裁量でいろんな支援策もできたが、総務省での新たな支援方策は。
久保信保総務省総括審議官(政策企画担当) 関係地方公共団体の実情を把握して、地方財政措置を講じて適切に対処したい。独自のプロジェクトで前向きに取り組む地方団体に交付税を出す「がんばる地方応援プログラム」で、復興に向けた取り組みで、創意工夫をして独自のプロジェクトを作成し住民に公表したというものなら、国庫補助体制外でも「がんばる地方応援プログラム」の支援対象になりうると考えている。
【仮設住宅】
北村氏 仮設住宅は、50戸以上だと集会室を作れると言うが、30戸でも20戸でも集会所ができないのか。
宮島俊彦厚生労働省総括審議官 お年寄りも多く、50戸以下でも談話室の設置や、手すりやスロープの設置、断熱材の使用など、高齢者に配慮し、入居者が生活しやすいよう、地元自治体からの要望にきめ細かく応じていきたい。
【高齢化・中山間地】
谷氏 国全体が進む高齢化の先にいる能登半島で地震が起こった。過疎が進む中山間地域で、何を目配りしなければならないのか、大臣の決意をお伺いしたい。
溝手大臣 何よりも大切なのは、地域のコミュニティーをいかに維持しながら、高齢者を含めた住民の方が安心して住み続けられる環境作りだ。門前町では、高齢者の居住者にとって決定的なダメージにならないように注意することが極めて重要だ。住宅の自力再建は経済的にも体力的にも年齢的にも非常に難しい。どのように住まいを確保するか、合わせて農業や、農業以外に生きていく糧、商業、医療などを地域にどう残していくか、総合的に検討していかねばならない。中越地震の後、山古志村に既存の見込みが7割程度にとどまっているというデータがあるが、門前町ではもっと少なくなると危惧(きぐ)を抱いている。被災地の復興は極めて難しいという認識をしている。能登半島の復興対策は、山古志村の例を十分に参考にしつつ、被災地の声を十分に聞いて、地域コミュニティーが維持できるような対策を政府は十分に支えていきたい。
古屋範子氏(公明) 高齢化率は中越を大きく上回っている。ソフト面への支援も重要だ。
宮島審議官 応急仮設住宅に談話室を設置し、手すりやスロープなど高齢者に配慮した施設にしたい。高齢者のケアは、避難生活に伴って廃用症候群やエコノミー症候群に気をつけるよう、厚労省からもお知らせし、日赤などの医療班が巡回をしたり、心のケアの専門家チームを派遣するなどしている。
【生活再建支援制度】
日森文尋氏(社民) 高齢者が大変多いということもあり、現行の生活再建支援法で十分なのか。大胆に踏み込んでいくべきではないか。決意を。
溝手大臣 大きな問題は被災者の高齢化だ。自分たちの住んでいた家を再建する意欲、能力、年齢的に耐えられるかどうかなど、この法が想定していた問題点とは別にある。非常に悩ましい。300万円が500万円になっても過疎地域の問題が解決できるわけではない。地元自治体、県庁としっかり協議して、国全体でバックアップしていく体制を作らないと、被災者生活再建支援制度だけでは難しい。見直しの委員会の先生方も現地に行っていただき、議論をすべきで、できるだけの努力をしたい。
参院災害対策特別委員会で行われた能登半島地震の集中審議の要旨は次の通り。
【高齢化・中山間地】
岡田直樹氏(自民) 今回の地震の特徴は、高齢化が進む過疎地型の地震。過疎地で地震が起こると、復興が非常に難しい。過疎地型の災害については独自の対策が必要では。
溝手大臣 今回の地震は、長い間過疎化が進み、住む人が少なくなって、そこに地震が来た。災害救助法や生活再建支援法でカバーできないことがあるのではないか。被災者に再建する意欲があるか、その経済負担に耐えられるか、復興の時間に耐えられるかが、大きな課題となる。
魚住裕一郎氏(公明) コミュニティーや集落の維持のために、大臣の決意を。
溝手大臣 私が最初に想定したのは、グループホームのようなものを行政で作っていくような方向で考えたらどうかと、地方自治体の長をしていたことから考えた。災害はトータルに受けるので、一省庁だけで考えても問題がある。住民にとってどういう回復がいいのかを考える、議論をする機会はあるべきだ。
魚住氏 高齢少子社会における災害対策をどうしていくのか、大臣の決意を。
溝手大臣 能登の被災地は、特に高齢化、過疎化が進んでいるところ。大変な事態だとあらためて痛感した。再建支援法の適用よりもそれ以前に大きな課題を抱えているのではという思いも意を強くした。財政力も弱く、市町村でできることには限りがあり、国としてしっかりやらねば。私見を申しあげれば、減少しているという公共事業に少し色を付けてと、私からも冬柴大臣にお願いしたいところだ。全体でスクラムを組んでお願いしたい。
【生活再建支援制度】
岡田氏 壊れた住宅の解体、整地には支援金が活用できるが、住宅本体の再建には使えない。弾力的にご検討をいただきたい。災害を受けた地域は、コミュニティーの維持が、集落自体の存続が危うくなっている。個人が住宅を建てるのはコミュニティーの再生に寄与する。再建支援法の対象にしていただきたい。
溝手大臣 財産形成に国庫のお金を投入できるかのそもそも論があるが、今進めている見直しでそれに結論を出すのは避けて通れないだろう。半壊も対象にならない。さまざまな意見もあるだろう。ただ、個人的な意見だが、門前町の住宅再建は生活再建支援法の少々の改善ではとても解決できる問題ではないと感じている。門前町のようなところに住む人を前提にしたような法律ではない。どう対応するかは、別の観点から考えていく必要があるのではと思っている。
【観光・伝統産業】
岡田氏 能登の主要産業は観光といってもいい。一段落した後も、風評被害に悩むことになることを懸念している。払しょくについて国内外への情報発信をお願いしたい。
柴田耕介国土交通省総合観光政策審議官 本日も1軒営業再開したという話があるが、旅行会社に適切な情報提供もお願いしており、風評被害が起きないような対策をお願いしている。
岡田氏 輪島塗は、日本が誇る伝統産業の一つと位置づけていただいているが、復興にお力添えをいただきたい。
内山俊一経済産業省製造産業局 現地におもむいて、関係者から話を伺い、被害状況を把握したが、漆の上塗りをする作業所の多くが土壁作りで、老朽化し耐震構造ではないため土壁が崩れるなどの被害があった。事業者に政府系中小企業3機関などで特別相談窓口や貸し付けなどを行っている。産地の一刻も早い復旧のため、財団法人伝統的工芸品産業振興協会で輪島塗特別展示会の開催を計画するなど、支援に万全を期したい。(了)