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2009/08/28

【詳報】新型インフルエンザワクチンに関する意見交換会

2009年8月27日木曜日 午後5時から同7時半過ぎ、九段会館鳳凰

関連記事:持病ある人、妊婦ら最優先=輸入品は安全確認−新型インフルワクチンで医学会代表ら(090827)

配布資料〔PDF〕
議事次第、事務局資料
意見発表者 ( ※ 学会資料あり)
 日本臨床腫瘍学会 大江裕一郎 ※
 日本神経学会 水沢英洋 ※
 日本老年医学会 井藤英喜 ※
 日本感染症学会 岩本愛吉 ※
 日本肝臓学会 井廻通夫 ※
 日本透析医学会 篠田俊雄 ※
 日本小児科学会 森島恒雄 ※
 東京都健康長寿医療センター 福松孝思
 日本産科婦人科学会 水上尚典 ※
 日本呼吸器学会 渡辺彰 ※
 日本腎臓学会 守山敏樹 ※
 日本アレルギー学会 岡田賢司 ※
 日本循環器学会 島田和幸
 日本血液学会 碓井紀子
 日本糖尿病学会 加来浩平
 全国薬害被害者団体連絡協議会 花井十伍

意見発表(略)

質疑応答
尾身茂 自治医科大学教授(政府専門家諮問委員会委員長)
 個人的な感想は、ある程度のコンセンサスが出てきている。基礎疾患がある人。実際に感染しうる患者さんを診る医療関係者や妊婦も対象だ。この辺りはコンセンサスらしいものが出てきたようだ。
 みなさんに聞きたいのは、ハイエストリスクはコンセンサスが出てきているが、基礎疾患のない人をどうするかが難しい。小中学生は、乳児よりリスクが落ちるという意見もあった。高齢者はワクチンが足りた場合は年齢が多い方を先にし、さらにあれば65歳でという意見もあった。
 日本は幸い、重症者がそれほど多くなく一般化はできないが、外国では重症者の年齢は感染者より高くはなるが、65歳以上は少ないという。ワクチンがあまった場合に、だんだんと若いほうから出していくというような話にもなっている。日本では、これまでに亡くなった4人が高齢者だし、高齢者を尊重する日本の文化を考えても、ここが悩ましい。健常な小中学生と高齢者の扱いについて、ご意見があればうかがいたい。

渡辺彰 日本呼吸器学会
 小中高生については、私たちの中でも議論があった。個人的な意見も含めて言うと、メキシコ、アメリカ、ブラジル、アルゼンチンの死者で、基礎疾患がない人が見られた。メキシコシティの報告やNYの報告では、発症後5、6日まで抗インフル剤を投与されないで重症になっている。日本では抗インフル剤を1、2日目に投与している。このため、健康な方で、免疫力や体力がある人は、小中高生も含めて、早期診断、早期治療開始で対処できるのではないか。呼吸器学会の意見としては、輸入ワクチンは安全を確認してからだ。

井藤英喜 日本老年医学会
 これまで、65歳以上の高齢者が強調されてきたが、日本のように元気で外出できる高齢者がかかる可能性がある。一般的な高齢者と、かかってしまう高齢者の状況を分析する必要がある。メキシコやアメリカのデータで、高齢者に優先権を与える必要はないというのはクエスチョンだと思う。
 新しいワクチンは、輸入して検討が必要なワクチンは、有害事象が発生しやすい高齢者に対してモニタリングをしたのでは、誤った情報が出るかも知れないという危険性が覚悟の上となる。高齢者の問題は一筋縄ではいかないのが現状だろうと私も思っている。高齢者はワクチン投与の対象ではあるが、様子を見ながら、安全に使える時期まで、もっと優先度が高い人にまでワクチンを投与していくと良い。時機を見ながら進めていくのが、今の段階では妥当な考え方ではないか。

森島恒雄 日本小児科学会
 12年で1500万人いる小中高のワクチン接種の優先順位を高くしないのでは、外来でお父さん、お母さんから怒られるだろうと思っている。だが、一気にワクチンがなくなることを考えた。かなりの流行が起きているが、多くの子どもが元気に治っている。重症は基礎疾患のある方。沖縄などで小さな子ども、就学前の小さい子どもは重症化する可能性がある。輸入のワクチンにネガティブな意見もあったが、もし臨床試験をやるのであれば、小児科学会は全力を挙げてサポートする体制を作りたい。速やかに試験を行い完了させたいが、それがない段階では使えないという意見が圧倒的多数だった。

岩本愛吉 日本感染症学会
 尾身さんからの非常に難しい投げかけだ。季節性インフルが、高齢者に多いが、先週のシンポで15歳以下の重症者が少ないということを知った。日本で高齢者を優先しなくていいという先導者になるようなことを申しあげるつもりはないが、高齢者はいろんなことが起こりえるので判断が難しい。65歳以上であるかどうかではなく、基礎疾患で必要なところは何かということで判断することでよいのでは。

森島恒雄 日本小児科学会
 外国から輸入するワクチンは、日本のものよりも免疫の効きはいいだろう。免疫機能のいいワクチンでは、小さな子どもは熱が高くなる。日本の子どもたちは一般に熱に弱い。熱性けいれんは日本が6%、アメリカはその半分と、人種間の差はある。輸入は否定しないが、どのぐらい熱が出るのか、どのぐらい抗体産生があるのか、きちんとしたデータをまず準備して、患者にキチンを説明したい。臨床試験を急ぐ。輸入は否定されない。

−質問だが、現行のワクチンは1CC製剤だが、使うのは0.5CCで二人分取れる。国内ワクチンは同じ製剤が作られるのか、一人分を限れば人数が増えるのか?

厚労省 国内のワクチンについては、季節性と同じ製法であり、同じような効果を期待している。現在の季節性は半分で使っており、おそらくそれですむと思うが、検証を並行してやる必要があると思う。
厚労省 1300−1700万人分の数字の考え方は、0.5CCを2回接種した場合の人数だ。最大で使われることが前提にしている。小児ならもっと量が取れる。1回でいいならもっと使える。できるだけ、安全な数を取っている見積もりだ。

−日本でのワクチン供給量が限られると、数の多い高齢者の優先順位は失われ、基礎疾患がある人で使い切るだろうと思う。通常のインフルエンザワクチンは、高齢者で幅広く使われるようになってから、流行が阻止されたという事実もある。
 高齢者の希望する人の権利も考慮されるべきだ。高齢者のワクチン投与希望が難しくなるような外国製のワクチン接種や輸入をしないという方針を出すことは反対だ。輸入したワクチンの安全性をどう確認して、どう日本で使っていくのかは、別次元の議論だろう。輸入しないという結論はないのでは。

田代眞人 国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長
 前回は、ただ量が足りないから輸入するという話だった。いろんな問題をディスクローズして議論しないといけない。

厚労省 輸入ワクチンが、まだ海外でも承認されてない段階で、臨床試験をやっている。有効性、安全性のエビデンスがない。ただ、海外のワクチンは、日本と違って筋肉注射で、日本は皮下注射だ。アジバントを使うことで不具合が違うこともあり得るが、データは入手できていない。データから有効性、安全性を審査したい。

田代センター長
 特例承認というメカニズムで輸入するというが、書類審査だけで、製剤基準も試験もしない白紙承認も可能と言うが、そういうことまでしてワクチンを接種しなければならないのか。そういうディスカッションはないのでは。

−通常の季節性インフルのいつものワクチン摂取率がどの程度で、今回用意しているものがどのぐらい少ないのか。また、対象者が全員ワクチンを打つのか。一般の季節性も打たないでやってきているのではないか。状況で分かれば、落ち着いた議論になるのでは。

田代センター長 5300万人が必要と新聞にあるが、その根拠は?

厚労省 確定したものではないが、CDCや国が上げている基礎疾患や妊婦、医療従事者、小中高生なども加えるとその数字になる。

尾身教授 事務局に確認したいことがある。これが分からないと輸入を急いでいる理由が分からない。
 一つは、私の理解では、仮に海外からワクチンを輸入すると、経済行為であり、契約が必要だ。そのためのデッドラインがあって、ほかにもお客があるので時間的制約がある。だから、早いうちに国の方針が欲しいと言うことなのか。
 二つめは、国が仮にいろんな理由で輸入をした場合、安全だということが国民に説明できるデータがあって初めて使うのが基本だろう。やり方はいろいろあるだろうが。最終的にはこういう理由で、安全だというデータ、分析があって初めてやる。結果、安全に疑義がある場合、輸入しても使わないというオプションがあるのでは。
 3つめは、国内のものと海外とは別にして使うほうがいい。最も優先する妊婦には、基本的には国内産を使うとか。ワクチンは国内産を最優先で使うと言うことが必要では。
 いままででていないが、輸入品を使う場合には、最終的にはその時のコンテクストで変わるだろう。患者がどんどん亡くなっている状態か、余裕がある段階かとか。どこまでぎりぎりやるか、文脈の中で変わるだろう。
 最後だが、WHOにいたからと言うわけではないが、仮に輸入したとしても、その時の文脈、コンテクストによるが、日本がいろんな分野で国際社会のリーダーをしてきて、これからも矜持(きょうじ)を持つには、輸入したものの一部を海外に出せないか。日本がタミフルを買い占めているという批判もあるが、一部をアジアに供与している。いままでの国際的なリーダーとしてやっていることだ。

厚労省 輸入についてはいま、交渉中だが、10月下旬から国産ワクチンが使えるようになる。それまでには優先順位を決めねばならない。それにあわせて、輸入の可否を考えておくべきだということだ。安全性が説明できるデータは、輸入品も海外承認をしたものが前提で、海外のデータをみる。海外でも、緊急的に審査しているので、どのぐらいのデータがそろっているのか把握できていない。何が分かって、分かっていないのか、何をその後調査すべきか、特定をして、承認前にやる、承認後にやることも確認する。国内の臨床試験をやって、安全性に問題があれば使わないという選択肢は当然ある。
 国内と海外の違いを分かるように、国内を最優先にという点だが、どういうメーカーが作ったものかは、当然、表示するし、医療関係者にも、どういうワクチンがどういうリスクがあるのかも情報提供をして、患者の同意を得て接種するのが原則だ。輸入物は、外国の承認なので時期が遅れる。国内産が先に使われるという状況になる。
厚労省 1300−1700万人分はあくまで12月まで。年が明ければ、またできてくる。焦眉(しょうび)の課題は年内までどうするか。一度に1700万人分ができるわけではなく、順次投与しなければならない。この場には、どういう順序で打つかの検討をお願いしている。そこに大きな母集団が来ると一気に足りなくなる。もし、小中高生に打てと言われたら、あっという間になくなるので、輸入を迅速にやらねばならなくなると言うことになる。対象手段が拡大することになると、輸入をしなければならなくなるということだ。
 途上国へのワクチン供与だが、基本的なスタンスは、買ってどこかの国に出すことは考えていない。WHOがイニシアチブをとって、日本もこの分野に貢献しろと言われたら考える。WHOというような国際機関を通じて供与することは考えているが、どの程度かは考えていない。

田代センター長 国内での製造キャパシティーは、国民全員分を作るには1年半かかると言うことは前から分かっていた。なぜ、急にこういう話になるのか?

厚労省 国内メーカーがもう少し製造能力を高めていただければ。鶏卵ワクチンより、細胞培養だと早いし。

田代センター長 なぜ、輸入問題をもっと早く検討しておかなかったのか?

厚労省 田代さんは、ご存じで質問されていると思うが、増殖率の見込み違いがあった。輸入も各社がどのぐらい供給できるのか、値段なども分かっていない。数カ月でいろんなことが分かってきた。早くできなかったかと言うことはあるが、製品がどこにもない状態でやっていた。私どもとしては国産でたくさんできるという判断があった。基本的枠組みは変わっていないが、国産も、輸入も増え方が悪いので、検討のし直しになってきた。

花井十伍 全国薬害被害者団体連絡協議会
 皆さんの話を聞いていると、輸入をしなくても、ぎりぎりやりくりをして年を越せるのではないか。輸入品の安全確認ができればいいが、何だか分からないのであれば、病気の人が必要な薬だというなら別だが、健康な人は治療をすれば助かるのが今回の新型インフルエンザ。母数の数で上げられた人が全部打つことになるのかとも思う。臨床試験は、(舛添厚労相が言った)100人ぐらいのデータでは難しい。そういうプロダクトを使うメリットが、天びんに乗せるものであるかどうか分からない。輸入は、安全性に厳しく考えて頂きたい。
 感染症の文脈で、国策として緊急供給するのであれば、医薬品の文脈とは別だ。手厚い救済制度を検討し、因果関係の懸念はあったが、国策としての感染症対策なので、国民の犠牲に国が対応するという国の原則で救済することで考えればよい。

田代センター長 今日の話を聞いて、積極的に輸入をした方がいいという意見はないが、個人的にはセーフティガードとして必要になるだろうから、契約は進めておけばいい。掛け捨ての保険と同じ考え方だ。安全性が確かめられて、必要があれば使うというステップが必要だ。モノを買ったので、そのまま使うと言うことは決してあってはいけない。(了)



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